防衛力整備計画
Ⅱ 自衛隊の能力等に関する主要事業

 2027年度までに、我が国への侵攻に対し、我が国が主たる責任をもって対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止・排除できる防衛力を構築するため、防衛力の抜本的強化に当たって重視する主要事業を1から7までのとおり実施することとする。

1 スタンド・オフ防衛能力

 我が国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊等に対して、脅威圏外から対処する能力を強化するため、12 式地対艦誘導弾能力向上型(地上発射型・艦艇発射型・航空機発射型)、島嶼防衛用高速滑空弾及び極超音速誘導弾の開発・試作を実施・継続する。島嶼防衛用高速滑空弾及び極超音速誘導弾を始め、各種誘導弾の長射程化を実施する。防衛力の抜本的強化を早期に実現するため、上記のスタンド・オフ・ミサイルの量産弾を取得するほか、米国製のトマホークを始めとする外国製スタンド・オフ・ミサイルの着実な導入を実施・継続する。

 また、発射プラットフォームの更なる多様化のための研究・開発を進めるとともに、スタンド・オフ・ミサイルの運用能力向上を目的として、潜水艦に搭載可能な垂直ミサイル発射システム(VLS)、輸送機搭載システム等を開発・整備する。

 スタンド・オフ防衛能力の実効性確保のため、目標情報の一層効果的な収集を行う観点から、衛星コンステレーションを活用した画像情報等の取得や無人機(UAV)、目標観測弾の整備等を行い、情報収集・分析機能及び指揮統制機能を強化する。スタンド・オフ・ミサイルの運用は、目標情報の収集、各部隊への目標の割当てを含む一連の指揮統制を一元的に行う必要があるため、統合運用を前提とした態勢を構築する。スタンド・オフ・ミサイル等を保管するための火薬庫を増設するとともに、射場利用の確保を含め、試験・整備等に必要な施策を着実に実施することで、スタンド・オフ・ミサイルの開発・運用に必要な一連の機能を確保する。

2 統合防空ミサイル防衛能力

 極超音速滑空兵器(HGV)等の探知・追尾能力を強化するため、固定式警戒管制レーダー(FPS)等の整備及び能力向上、次期警戒管制レーダーの換装・整備を図る。また、地対空誘導弾ペトリオット・システムを改修し、新型レーダー(LTAMDS)を導入することで、能力向上型迎撃ミサイル(PAC-3MSE)による極超音速滑空兵器(HGV)等への対処能力を向上させる。

 各種事態により実効的に対応するため、航空自衛隊の高射部隊の編成及び配置の見直しに着手するとともに、中距離地対空誘導弾部隊と合わせた重層的な要域防空体制を構築し、平素からの展開配置のための部隊運用を行う。また、基地防空用地対空誘導弾の能力向上を推進する。加えて、滑空段階での極超音速滑空兵器(HGV)等への対処を行い得る誘導弾システムの調査及び研究を実施する。

 極超音速滑空兵器(HGV)等に対処する能力を強化するため、03 式中距離地対空誘導弾(改善型)の能力向上を図るほか、弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル(SM-3ブロックⅡA)、能力向上型迎撃ミサイル(PAC-3MSE)、長距離艦対空ミサイル(SM-6)等を取得する。

 ネットワーク化による効果的かつ効率的な対処の実現のため、護衛艦等の間で連携した射撃を可能とするネットワークシステム(FCネットワーク)を取得し、共同交戦能力(CEC)を保持する。また、地対空誘導弾ペトリオット・システムの情報調整装置(ICC)を改修することで、各種誘導弾システムをネットワークで連接する。

 我が国の防空能力強化のため、主に弾道ミサイル防衛に従事するイージス・システム搭載艦を整備する。

 高出力レーザーや高出力マイクロ波(HPM)等の指向性エネルギー技術の組み合わせにより、小型無人機(UAV)等への非物理的な手段による対処能力を早期に整備する。

 なお、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力を反撃能力として用いる。この反撃能力の運用は、統合運用を前提とした一元的な指揮統制の下で行う。

3 無人アセット防衛能力

 人的損耗を局限しつつ任務を遂行するため、既存の装備体系・人員配置を見直しつつ、各種無人アセットを早期に整備する。その整備に当たっては、安全性の確保と効果的な任務遂行の両立を図るものとする。

 隙のない情報収集・警戒監視・偵察・ターゲティング(ISRT)を実施するため、洋上監視に資する滞空型無人機(UAV)及び艦載型の無人アセットや相手の脅威圏内において目標情報を継続的に収集し得る偵察用無人機(UAV)のほか、用途に応じた様々な情報収集・警戒監視・偵察・ターゲティング(ISRT)用無人アセットを整備する。また、広域に分散展開した部隊、離隔した基地、艦艇等への迅速な補給品の輸送を実施するため、輸送用無人機(UAV)の導入について検討の上、必要な措置を講じる。

 我が国への侵攻を阻止・排除するため、空中から人員・車両・艦艇等を捜索・識別し、迅速に目標に対処することが可能となるよう、各種攻撃機能を効果的に保持した多用途/攻撃用無人機(UAV)及び小型攻撃用無人機(UAV)を整備する。

 艦艇と連携し、効果的に各種作戦運用が可能な無人水上航走体(USV)を開発・整備する。また、水中優勢を獲得するための各種無人水中航走体(UUV)を整備する。

 このほか、無人車両(UGV)と無人機(UAV)を効果的に組み合わせることにより、駐屯地・基地等や重要施設の警備及び防護体制の効率化を図る。加えて、有人機と無人機(UAV)の連携を強化するとともに、複数の無人アセットを同時に運用する能力の強化を図る。

4 領域横断作戦能力

  1.  宇宙領域における能力
     スタンド・オフ・ミサイルの運用を始めとする領域横断作戦能力を向上させるため、宇宙領域を活用した情報収集、通信等の各種能力を一層向上させる。具体的には、米国との連携を強化するとともに、民間衛星の利用等を始めとする各種取組によって補完しつつ、目標の探知・追尾能力の獲得を目的とした衛星コンステレーションを構築する。また、衛星を活用した極超音速滑空兵器(HGV)の探知・追尾等の対処能力の向上について、米国との連携可能性を踏まえつつ、必要な技術実証を行う。さらに、増大する衛星通信の需要に対応するため、従来のXバンド通信に加え、より抗たん性の高い通信帯域を複層化する取組を進める。
     宇宙領域の安定的利用に対する脅威が増大する中、宇宙領域への対応として、相手方の指揮統制・情報通信等を妨げる能力を更に強化する。また、平素からの宇宙領域把握(SDA)に関する能力を強化するため、2026年度に打ち上げ予定の宇宙領域把握(SDA)衛星の整備に加え、更なる複数機での運用についての検討を含めた各種取組を推進する。さらに、我が国の衛星を含む宇宙システムの抗たん性を強化するため、準天頂衛星を含む複数の測位信号の受信や民間衛星等の利用を推進しつつ、衛星通信の抗たん性技術の開発実証に着手する。
     諸外国との協力について、米国等と宇宙領域把握(SDA)に係る情報共有を推進するほか、高い抗たん性を有する通信波を多国間で共同使用するなどの連携強化を推進する。
     宇宙領域に係る組織体制・人的基盤を強化するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)等の関係機関や米国等の同盟国・同志国との交流による人材育成を始めとした連携強化を図るほか、関係省庁間で蓄積された宇宙分野の知見等を有効に活用する仕組みを構築するなど、宇宙領域に係る人材の確保に取り組む。
  2.  サイバー領域における能力
     政府全体において、サイバー安全保障分野の政策が一元的に総合調整されることを踏まえ、防衛省・自衛隊においては、自らのサイバーセキュリティのレベルを高めつつ、関係省庁、重要インフラ事業者及び防衛産業との連携強化に資する取組を推進することとする。
     サイバー攻撃を受けている状況下において、指揮統制能力及び優先度の高い装備品システムを保全し、自衛隊の任務遂行を保証できる態勢を確立するとともに、防衛産業のサイバー防衛を下支えできる態勢を構築する。
     このため、最新のサイバー脅威を踏まえ、境界型セキュリティのみでネットワーク内部を安全に保ち得るという従来の発想から脱却し、もはや安全なネットワークは存在しないとの前提に立ち、サイバー領域の能力強化の取組を進める。この際、ゼロトラストの概念に基づくセキュリティ機能の導入を検討するとともに、常時継続的にリスクを管理する考え方を基礎に、情報システムの運用開始後も継続的にリスクを分析・評価し、適切に管理する「リスク管理枠組み(RMF)」を導入する。さらに、装備品システムや施設インフラシステムの防護態勢を強化するとともに、ネットワーク内部に脅威が既に侵入していることも想定し、当該脅威を早期に検知するためのサイバー・スレット・ハンティング機能を強化する。また、防衛関連企業に対するサイバーセキュリティ対策の強化を下支えするための取組を実施する。
     防衛省・自衛隊のサイバーセキュリティ態勢の強化のため、陸上自衛隊通信学校を陸上自衛隊システム通信・サイバー学校に改編し、サイバー要員を育成する教育基盤を拡充する。さらに、我が国へのサイバー攻撃に際して当該攻撃に用いられる相手方のサイバー空間の利用を妨げる能力の構築に係る取組を強化する。
     これらの取組を行う組織全体としての能力を強化するため、2027年度を目途に、自衛隊サイバー防衛隊等のサイバー関連部隊を約 4,000人に拡充し、さらに、システム調達や維持運営等のサイバー関連業務に従事する隊員に対する教育を実施する。これにより、2027年度を目途に、サイバー関連部隊の要員と合わせて防衛省・自衛隊のサイバー要員を約2万人体制とし、将来的には、更なる体制拡充を目指す。
  3.  電磁波領域における能力
     自衛隊の通信妨害やレーダー妨害能力の強化と併せて、電磁波の探知・識別能力の強化や電磁波を用いた欺まんの手段を獲得するなど電子戦能力を向上させるとともに、レーザー等を活用した小型無人機(UAV)への対処等の電磁波の利用方法を拡大する。また、自衛隊の使用する電磁波の利用状況を適切に管理・調整する機能を強化する。
     このため、通信・レーダー妨害機能を有するネットワーク電子戦システム(NEWS)の整備、脅威圏外から通信妨害等を行うスタンド・オフ電子戦機及び脅威圏内において各種電子妨害を行うスタンド・イン・ジャマー等の開発、電波探知器材の搭載による艦艇及び固定翼哨戒機の信号探知・識別能力の向上、陸上からレーダー妨害を行う対空電子戦装置の整備を行う。また、固定翼哨戒機等への電子妨害能力の付与について、試験的に検証し、必要な措置を講じる。加えて、小型無人機(UAV)に対処する車両搭載型レーザー装置の運用を開始するとともに、高出力レーザー、高出力マイクロ波(HPM)等の指向性エネルギー技術の早期装備化を図る。防衛省・自衛隊のシステムに電磁波の利用状況を把握・管理するための機能を整備するとともに、関係省庁と緊密に連携し、自衛隊の各種活動に必要な電波利用を確保していく。
  4.  陸・海・空の領域における能力
     各自衛隊において、装備品等の取得及び能力向上等を加速し、領域横断作戦の基本となる陸・海・空の領域の能力を強化する。先進的な技術を積極的に活用し、各自衛隊の装備品等を着実に整備するとともに、無人アセットと連携する高度な運用能力を獲得する。

5 指揮統制・情報関連機能

  1.  指揮統制機能の強化
     迅速・確実な指揮統制を行うため、抗たん性のある通信、システム・ネットワーク及びデータ基盤を構築し、スタンド・オフ防衛能力及び統合防空ミサイル防衛能力を始めとする各種能力を統合的に運用するため、リアルタイムに指揮統制を行う態勢を概成するとともに、各自衛隊の一元的な指揮を可能とする指揮統制能力に関する検討を進め、必要な措置を講じる。
     このため、領域横断作戦に資する情報共有機能の強化を図るため、共通基盤としてのクラウドの整備、自衛隊の指揮統制機能及び関係省庁等との連接機能を強化する中央指揮システムの換装を行う。また、陸上自衛隊の自律的な作戦遂行能力を強化する将来指揮統制システムの整備、海上自衛隊の意思決定サイクルを一層高速化する指揮統制システムの換装、航空自衛隊の指揮統制機能の抗たん性を強化する自動警戒管制システム(JADGE)の換装、指揮統制機能の機動性・柔軟性の強化、宇宙関連装備品の運用を一元的に指揮統制する宇宙作戦指揮統制システムの整備及び衛星利用の抗たん性強化を行う。さらに、それらの情報を共有するために必要な防衛情報通信基盤(DII)の強化を行う。
  2.  情報収集・分析等機能の強化
     我が国周辺における軍事動向等を常時継続的に情報収集し、その処理、分析、共有等を行う能力及び態勢を抜本的に強化することにより、隙のない情報収集・分析体制を構築するとともに、政策判断や部隊運用に資する情報を迅速に提供することができる態勢を確立する。加えて、米軍との情報共有態勢及び無人アセットに係る統合運用の在り方について検討し、必要な措置を講じる。
     このため、我が国の防衛における情報機能の中核を担う情報本部を中心に、電波情報、画像情報、人的情報、公刊情報等の機能別能力を強化するとともに、分析官等の育成基盤の拡充や地理空間情報の活用、防衛駐在官制度の充実を始めとする情報収集・分析等に関する体制を強化する。特に、情報収集衛星・民間衛星等を活用した宇宙領域からの情報収集能力を強化するとともに、米国との連携強化や、民間衛星の利用等を始めとする各種取組によって補完しつつ、目標の探知・追尾能力の獲得を目的とした衛星コンステレーションを構築する。また、効果的な情報収集・警戒監視・偵察・ターゲティング(ISRT)の実施に必要な無人機(UAV)等を取得する。
  3.  認知領域を含む情報戦等への対処
     国際社会において、紛争が生起していない段階から、偽情報や戦略的な情報発信等を用いて他国の世論・意思決定に影響を及ぼすとともに、自らの意思決定への影響を局限することで、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に重点が置かれている状況を踏まえ、我が国として情報戦に確実に対処できる体制・態勢を構築する。
     このため、情報戦対処の中核を担う情報本部において、情報収集・分析・発信に関する体制を強化する。さらに、各国等の動向に関する情報を常時継続的に収集・分析することが可能となる人工知能(AI)を活用した公開情報の自動収集・分析機能の整備、各国等による情報発信の真偽を見極めるためのSNS上の情報等を自動収集する機能の整備、情勢見積りに関する将来予測機能の整備を行う。

6 機動展開能力・国民保護

 島嶼部への侵攻阻止に必要な部隊等を南西地域に迅速かつ確実に輸送するため、輸送船舶(中型級船舶(LSV)、小型級船舶(LCU)及び機動舟艇)、輸送機(C-2)、空中給油・輸送機(KC-46A等)、輸送・多用途ヘリコプター(CH-47J/JA、UH-2)等の各種輸送アセットの取得を推進する。また、海上輸送力を補完するため、車両及びコンテナの大量輸送に特化した民間資金等活用事業(PFI)船舶を確保する。

 南西地域への輸送における自己完結性を高めるため、輸送車両(コンテナトレーラー)及び荷役器材(大型クレーン、大型フォークリフト等)を取得する。また、港湾規模に制約のある島嶼部への輸送の効率性を高めるため、揚陸支援システムの研究開発を進める。同時に、輸送を必要とする補給品の南西地域への備蓄により、輸送所要を軽減する取組を講じる。

 また、自衛隊の機動展開や国民保護の実効性を高めるために、平素から各種アセット等の運用を適切に行えるよう、政府全体として、特に南西地域における空港・港湾等を整備・強化する施策に取り組むとともに、既存の空港・港湾等を運用基盤として使用するために必要な措置を講じる。さらに、自衛隊の機動展開のための民間船舶・航空機の利用の拡大について関係機関等との連携を深めるとともに、当該船舶・航空機に加え自衛隊の各種輸送アセットも利用した国民保護措置を計画的に行えるよう調整・協力する。その際、政府全体として、武力攻撃事態等を念頭に置いた国民保護訓練の強化や様々な種類の避難施設の確保を行う。また、国民保護にも対応できる自衛隊の部隊の強化、予備自衛官の活用等の各種施策を推進する。

7 持続性・強靱性

  1.  弾薬等の整備
     12式地対艦誘導弾能力向上型等のスタンド・オフ・ミサイル、弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル(SM-3ブロックⅡA)、能力向上型迎撃ミサイル(PAC-3MSE)、長距離艦対空ミサイル(SM-6)、03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上型等の各種弾薬について、必要な数量を早期に整備する。加えて、早期かつ安定的に弾薬を量産するために、防衛産業による国内製造態勢の拡充等を後押しする。さらに、弾薬の維持整備体制の強化を図る。
     また、増加する弾薬の保管所要に対応するため、火薬庫の増設及び不用弾薬の廃棄を促進する。
  2.  燃料等の確保
     自衛隊が行う作戦に必要な燃料所要量を早期かつ安定的に確保するため、燃料タンクの新規整備及び民間燃料タンクの借り上げを実施する。加えて、糧食・被服の必要数量を確保する。
  3.  防衛装備品の可動数向上
     防衛装備品の高度化・複雑化に対応しつつ、リードタイムを考慮した部品費と修理費の確保により、部品不足による非可動を解消し、2027年度までに装備品の可動数を最大化する。
     このため、需給予測の精緻化を図るとともに、部隊が部品を受け取るまでの時間を短縮化するため、補給倉庫の改修を進める。可動数の増加に当たっては、限られた資源を有効に活用するため、維持整備等の部外委託を推進するなど、部外力を活用する。加えて、後方支援分野においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入を推進し、維持整備の最適化を図る。また、維持整備に係る成果の達成に応じて対価を支払う契約方式(PBL)等を含む包括契約の拡大を図る。
  4.  施設整備
     スタンド・オフ・ミサイルを始めとした各種弾薬の取得に連動して、必要となる火薬庫を整備する。また、火薬庫の確保に当たっては、各自衛隊の効率的な協同運用、米軍の火薬庫の共同使用、弾薬の抗たん性の確保の観点から島嶼部への分散配置を追求、促進する。
     主要な装備品、司令部等を防護し、粘り強く戦う態勢を確保するため、主要司令部等の地下化・構造強化・電磁パルス(EMP)攻撃対策、戦闘機用の分散パッド、アラート格納庫のえん体化、ライフライン多重化等を実施する。あわせて、省人化を図りつつ、基地警備機能を強化する。
     また、無人アセット等の新たな装備品を効率的に運用可能な施設整備を行う。
     既存施設の更新に際しては、爆発物、核・生物・化学兵器、電磁波、ゲリラ攻撃等に対する防護性能を付与するものとし、施設の機能・重要度に応じた構造強化、離隔距離確保のための再配置、集約化等を実施する。
     大規模災害時等における自衛隊施設の被災による機能低下を防ぐため、被害想定が甚大かつ運用上重要な駐屯地・基地等から、津波等の災害対策等を推進する。今後、気候変動に伴う各種課題へ適応・対応し、的確に任務・役割を果たしていけるよう、駐屯地・基地等の施設及びインフラの強靱化等を進める。
     こうした施設整備は、関係省庁や民間の知見を活用しつつ、5年間で集中して、円滑に執行していく。