令和7(2025)年7月
沖縄県宜野湾市に所在する普天間飛行場は、市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、これを利用する航空機が市街地上空を飛行するため、世界で最も危険な飛行場と言われています。
普天間飛行場は、過去の事件や普天間飛行場内での航空機墜落事故などを契機に、沖縄の皆様の強い要請も踏まえ、沖縄県内(名護市辺野古)に代替施設を建設した上で、全面返還することが決まりました。
普天間飛行場の返還により、危険性が除去されるとともに、跡地(約476ha:東京ドーム約100個分)の活用により、宜野湾市をはじめとする沖縄のさらなる発展が期待されます。
この普天間飛行場の辺野古移設は、同飛行場を単純に移設するものではなく、沖縄における基地の機能や面積の縮小を伴い、騒音による影響も大幅に軽減されるなど、沖縄の負担軽減に十分資するものです。
普天間飛行場代替施設建設事業について、建設工事は可能なのかとの声もありますが、一般的で施工実績が豊富な地盤改良工法により、護岸の安定性を十分に確保することができる強度の地盤になり、問題なく埋立地を完成させ、飛行場を建設できるものです。
市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思います。
辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づいて着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えています。
防衛省としては、引き続き、地元の皆様に丁寧な説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、自然環境や住民の生活環境にも十分に配慮しつつ、辺野古への移設工事を着実に進めてまいります。
普天間飛行場については、過去の事件や普天間飛行場内での航空機墜落事故などを契機に、沖縄県からの要請を受けて、平成8(1996)年4月に橋本総理(当時)とモンデール米駐日大使(当時)が会談し、県内移設と全面返還について日米で合意しました。
その上で、具体的な移設先としては、
などを総合的に勘案し、当時の沖縄県知事と名護市長の同意を得て、平成11(1999)年12月、辺野古への移設が閣議決定されました。
また、滑走路の形については、地元の要請を受け、離陸・着陸のいずれの飛行経路も海上になるよう、「V字型」とすることで、沖縄県、名護市と合意をしました。
その上で、普天間飛行場代替施設建設事業の実施に当たっては、平成19(2007)年から約5年間にわたり環境影響評価を行い、当時の沖縄県知事から1,500件以上に及ぶ御意見を頂き、これらを適切に環境影響評価の内容に反映させた上で、平成25(2013)年、公有水面埋立承認願書を沖縄県に提出し、同年、当時の県知事から埋立承認を得て、代替施設建設事業に着手しました。
このように、地元の皆様との対話を積み重ね、自然環境や住民の生活環境に十分配慮して事業を進めてきたところです。
普天間飛行場の全面返還が実現すれば、飛行場の跡地約476ha(東京ドーム約100個分)を活用した、宜野湾市を始めとする沖縄のまちづくりの更なる発展が期待されます。経済効果を例に挙げれば、普天間飛行場の返還後は、返還前の約32倍となる年間3,866億円もの経済効果が地元で試算されるなど、大きな期待が寄せられています。
現在、沖縄県と宜野湾市において、跡地利用計画の策定に向けて取り組んでおり、令和4(2022)年7月には、「全体計画の中間取りまとめ(第2回)」が作成されています。
また、内閣府においても、沖縄県及び跡地関係市町村との密接な連携の下、跡地利用の推進に向けた取組を行っています。
沖縄は、米国本土、ハワイなどと比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、わが国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点を有しています。また、南西諸島のほぼ中央にあり、わが国のシーレーンに近いなど、安全保障上、極めて重要な位置にあります。
このような位置にある沖縄に、優れた即応性・機動性を持ち、武力紛争から自然災害に至るまで、多種多様な任務に対応可能な米海兵隊が駐留し、あらゆる事態に対して迅速かつ柔軟な対応が可能となることが、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素です。それゆえ、海兵隊が沖縄に駐留することは、わが国のみならず、インド太平洋地域の平和や安全の確保のために重要な役割を果たしています。
海兵隊の部隊は、航空、陸上、後方支援の部隊や司令部機能から構成されており、優れた機動性・即応性を特徴とする海兵隊の運用では、これらの部隊や機能が相互に連携し合うことが不可欠です。もし、普天間飛行場に駐留する航空部隊を他の海兵隊の部隊から切り離し、国外又は県外に移転すれば、航空部隊と陸上部隊等とが離れた場所に所在することにより、海兵隊の持つ優れた機動性・即応性という特性を損なう懸念があることや、現在、沖縄の訓練施設で行っている訓練の効率的な実施が困難となり、海兵隊の練度の低下をきたすことなどの問題が生起します。そのため、普天間飛行場に駐留する航空部隊が、訓練、演習などにおいて日常的に活動をともにする組織の近くに位置するよう、代替施設も沖縄県内に設ける必要があります。
代替施設の埋立面積は、普天間飛行場の面積の3分の1程度(約476ha⇒約152ha)となります。滑走路の長さも3分の2程度(2,740m⇒1,800m(オーバーランを含む。))に短縮されます。
普天間飛行場のすべての機能が、キャンプ・シュワブに移転するわけではありません。普天間飛行場の主要な3つの機能(①空中給油機の運用機能、②緊急時における航空機の受入機能、③オスプレイなどの運用機能)のうち、2つ(①と②)は県外に移転し(※)、キャンプ・シュワブにはオスプレイなどの運用機能(③)のみ移転します。
なお、日米両政府において合意されている「再編の実施のための日米ロードマップ」(平成18(2006)年)では、米国政府が普天間飛行場代替施設から戦闘機を運用する計画を有していないことを明記しています。
※主要な3つの機能のうち、①空中給油機の運用機能については、平成26(2014)年8月、KC-130、15機全機について山口県(岩国飛行場)へ移転完了。また、②緊急時における航空機の受入機能については、福岡県(航空自衛隊 築城基地)及び宮崎県(同 新田原基地)へ移転予定であるところ、令和5(2023)年3月までに、築城基地の滑走路延長を除き施設整備が完了しており、築城基地の滑走路の延長については、令和6(2024)年9月から護岸工事に着手しています。
普天間飛行場を使用する航空機の飛行経路は、現在は市街地上空になってしまいますが、キャンプ・シュワブに移設後は、沖縄県と名護市との合意に基づき、滑走路をV字型に配置することにより、離陸・着陸のいずれの飛行経路も海上となります。そのため、飛行場の周辺地域における安全性が格段に向上するとともに、騒音による影響も大幅に軽減されます。また、住宅防音工事も普天間飛行場周辺での1万数千戸からゼロになります。
普天間飛行場代替施設建設事業においては、平成26(2014)年から平成30(2018)年までに行った土質調査の結果を詳細に整理・分析することにより、大浦湾側の土の堆積状況や強度等を詳細に把握できております。キャンプ・シュワブの大浦湾側の地盤で確認されている粘性土の層は、「非常に硬い粘性土」から「中くらいの粘性土」に分類されるものです。
本事業における地盤改良等の設計は、羽田空港等の多くの海上埋立空港で使用されている、国土交通省が監修した基準に基づいて行っており、海面下最大70mまで砂杭を打設して地盤改良を行うことで、構造物等の安定性を十分に確保できるとの結論を得ています。つまり、海面下70mより深いところにある粘性土については、地盤改良を行わなくても構造物等の安定性を十分確保できることを確認しています。
その地盤改良の規模については、羽田空港の再拡張事業や関西国際空港の建設事業よりも少ない砂杭等で施工可能なものであり、また、日本企業によって、韓国で海面下70mまで、横浜で海面下65mの深さまで施工した実績があります。
また、本事業における地盤改良工法については、羽田空港や関西国際空港、那覇空港でも用いられている、長年にわたり多数の施工実績があるもの(※1)を採用しています。
本事業における地盤改良等の設計、施工については、沖縄防衛局が設置した有識者で構成される技術検討会(※2)において確認いただいています。
※1 サンドコンパクションパイル工法、サンドドレーン工法及びペーパードレーン工法
※2 護岸や埋立地等の設計・施工・維持管理を合理的なものとするため、有識者より技術的・専門的見地から客観的に提言・助言を得ることを目的として開催
このように、大浦湾側の地盤において確認されている粘性土は、一般的で施工実績が豊富な地盤改良工法により、護岸の安定性を十分に確保することができる強度の地盤になり、問題なく埋立地を完成させ、飛行場を建設することができます。
本事業の工事については、平成25年(2013)年に沖縄県知事による公有水面埋立法に基づく埋立承認を得て、辺野古側において、平成29(2017)年11月に護岸工事を開始し、平成30(2018)年12月には埋立工事を開始しました。辺野古側における埋立工事はおおむね完了し、現在は、大浦湾側の埋立てに使用する土砂の仮置きを実施しているところです。
また、令和5(2023)年12月には、地盤改良工事の追加などに伴う埋立変更承認申請が承認され、それ以降、大浦湾側における護岸工事や埋立工事を進めてきており、令和6(2024)年12月には地盤改良工事に着手するなど、工事が着実に進捗しているところです。
普天間飛行場代替施設建設事業の工期については、変更後の計画に基づく工事に着手してから、
を要するとお示ししています。
この工期については、沖縄防衛局において、有識者から成る技術検討会の助言を得て、施工方法等をしっかりと検討し、護岸や埋立て等の施工順序の工夫などを行いつつ、国土交通省が監修する一般的な作業能力や作業時間に係る基準を参考にしながら設定したものです。
また、普天間飛行場代替施設建設事業等の経費については、令和元(2019)年12月に、地盤改良工事の追加に伴う工事計画の見直しの結果や、当時の工事の状況等を踏まえ、経費の概略として約9,300億円とお示ししたところです。
辺野古移設に係る経費は、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するために不可欠な経費です。引き続き、経費の抑制に努めながら、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいります。
| 項目 | 金額 | |
|---|---|---|
| 環境保全措置等に要する経費 | 約700億円 | |
| 埋立工事に要する経費 | 仮設工事 | 約2,000億円 |
| 護岸工事 | 約1,500億円 | |
| 埋立工事 | 約3,600億円 | |
| 付帯工事 | 約125億円 | |
| 飛行場施設整備に要する経費 | 約625億円 | |
| キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費 | 約750億円 | |
| 合計 | 約9,300億円 | |
本事業においては、部外の有識者から成る「環境監視等委員会」の指導・助言を踏まえつつ、様々な環境保全措置を実施するなど、環境保全に十分配慮しながら工事を進めています。
サンゴ類に対する環境保全措置として、サンゴ類に影響を与える工事に着手する前に、保護対象の約10万1,000群体の移植・移築を実施しました。さらに、移植・移築したサンゴ類の生息状況を適切に把握するため、引き続き、モニタリング調査を実施しているところです。
移植を実施したレッドリストサンゴ類のオキナワハマサンゴについては、移植後5年目の調査が終了した時点においても移植による影響は見られず、移植先において幼生の放出による再生産が確認されるなど、移植先において十分に順応しており、レッドリストサンゴ類に対する環境保全措置は適切に実施されたとの評価を得ています。これまでオキナワハマサンゴに関する知見は少なく、生態について不明な点が多かったものの、移植に伴う一連の観察により、貴重な知見を得ることができました。
また、埋立てによってサンゴ類の生息域が減少するため、陸上施設で育てたサンゴ類を大浦湾周辺海域に移植する取組も実施しています。採苗した幼サンゴは、陸上施設や海中の中間育成施設で順調に成長し、大浦湾周辺海域に移植されています。
絶滅危惧ⅠA類であるジュゴンへの影響にも配慮しています。ジュゴンの姿は平成31年3月以降確認されていませんが、ジュゴンが大浦湾に来遊することを前提に様々な環境保全措置を講じています。
具体的には、部外の有識者から成る環境監視等委員会の指導・助言を踏まえつつ、ジュゴンの生息状況を把握するために、航空機を用いた生息状況調査、食跡調査、水中録音装置による鳴音確認等を実施するとともに、日々の工事においても、監視船を配置し、施工区域へのジュゴンの接近を警戒・監視しているところであり、ジュゴンが施工区域内で確認された場合は、施工区域から離れたことを確認したのち、工事に着手することとしています。
また、ジュゴンやアオウミガメは海草藻場をエサ場として利用するところ、埋立てによりその区域内の海草藻場が消失するため、できる限り影響を低減するよう、埋立予定区域周辺に海草の種苗を植え付け、海草藻場の生育範囲拡大を図る保全措置を講じています。
これらのほか、工事による改変区域内に生息・生育する動植物種から選定した移動・移植対象種についても、工事の着手前に、生息・生育に適した改変区域外の場所へ移動・移植を実施しています。
普天間飛行場の全面返還は日米両政府間で合意されています。日米両政府はこの実現のため、引き続き全力で取り組んでいきます。
普天間飛行場の返還条件は、平成25(2013)年に日米両政府で作成し、公表した「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画(沖縄統合計画)」において、以下の計8項目が返還条件として示されており、これらについて、着実に進捗しているところです。そして、返還条件の中核は辺野古への移設であり、その他の条件は、これに関連したものです。
また、普天間飛行場の固定化を避けるために辺野古移設が唯一の解決策である点についても、米側との間で累次にわたり確認してきています。さらに、辺野古という移設先を含め、普天間飛行場代替施設に係る現行の計画は、在日米軍の運用をしっかりと踏まえた上で、日米両政府間で合意され、現在も実現に向けて緊密に協力しているものです。
令和6(2024)年4月の日米首脳会談において、辺野古における普天間飛行場代替施設の建設を含め、「沖縄統合計画」に従った在日米軍再編の着実な実施について一致したほか、日米安全保障協議委員会(「2+2」)や日米防衛相会談においても、普天間飛行場の可能な限り早期の全面返還に向けた辺野古における普天間飛行場代替施設の建設を含め、「沖縄統合計画」に基づく米軍再編計画を着実に進展させていくことを確認しています。したがって、辺野古移設完了後も、普天間飛行場が返還されないという状況は全く想定されません。