日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)共同声明

令和3年9月2日
防衛省

  1. 日・太平洋島嶼国国防大臣会合(Japan Pacific Islands Defense Dialogue)は、テレビ会議方式で2021年9月2日に開催された。日本、フィジー共和国、パプアニューギニア、トンガ、オーストラリア、カナダ、クック諸島、フランス、ミクロネシア連邦、キリバス共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、ニュージーランド、ニウエ、パラオ共和国、ソロモン諸島、ツバル、英国、米国及びバヌアツの防衛大臣及び代表者(以下「大臣及び代表者」という。)が、同会合に参加し、JPIDDの初開催のための日本の発意を歓迎した。
  2. 大臣及び代表者は、太平洋・島サミット(PALM)プロセスに基づき着実に発展してきた首脳レベルのパートナーシップを踏まえ、地域の安全保障上の課題に対応するに当たり、国防当局間における相互理解及び信頼醸成の必要性を強調した。
  3. 岸大臣は、自由で開かれたインド太平洋に関するビジョンを共有する全ての当事者と共に、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けた防衛省及び自衛隊のコミットメントを新たにした。岸大臣は、PALM9で発表された「太平洋のキズナ政策」に基づき、自衛隊の艦艇による寄港や航空機による寄航等の交流や、海洋安全保障や災害救援をはじめとする分野における人材育成面での協力を通じて、国防当局間における協力を推進していくとの日本の意図を表明した。大臣及び代表者は、当該協力を推進する日本の意図を歓迎した。
  4. 大臣及び代表者は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、安全保障に影響を与えうる課題であると認識し、国防当局間による感染症対策から得た知見や教訓の相互共有を通じて、各国の感染症対応能力の向上に努めることの重要性を確認した。
  5. 大臣及び代表者は、航行及び上空飛行の自由並びに国際法、特に国連海洋法条約に従った紛争の平和的解決の重要性を強調した。また、当該地域において、違法・無報告・無規制漁業への対策や海上法執行強化の継続が必要との認識を共有した。
  6. 大臣及び代表者は、「今なすべき喫緊の気候変動行動のためのカイナキ宣言」の要請及び気候変動と防災が第9回太平洋・島サミットの5つの重点協力分野のうちの一つであることに留意し、防災、特に強靱性の構築に関する国防当局間の協力を強化することの重要性を強調した。この文脈で、岸大臣は、2021年5月に防衛省内に「気候変動タスクフォース」を設置し、気候変動により国際社会が直面している安全保障上の課題について検討を進めている旨説明した。
  7. 大臣及び代表者は、当該地域における自然災害によって引き起こされる危機の際の人道支援及び災害救援の実施にあたり、国防当局及び関係当局間において効果的に連携することによる利益を強調した。
  8. 大臣及び代表者は、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄(CVID)の実現の重要性を強調した。また、違法な「瀬取り」を含む北朝鮮による制裁回避手法への対処を含め、関連する国連安保理決議を完全に履行し、また執行することに対するコミットメントを再確認した。
  9. 大臣及び代表者は、JPIDDのパートナーシップの重要性を確認した。また、初となるJPIDDの成功を踏まえ、地域の安全保障上の課題に対処するため、対話と協力を継続することの重要性を確認した。