令和6年3月21日
防衛省
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3月19日及び20日、防衛省は、太平洋島嶼国及び地域のパ―トナー国を招き、都内にて「第2回日・太平洋島嶼国国防大臣会合(Japan Pacific Islands Defense Dialogue:JPIDD)」を対面形式では初めて開催しました。
同会合には、軍を保有する太平洋島嶼国3か国のうち、トンガからはウルカララ皇太子、フィジーからはティコンドゥアンドゥア内務移民大臣、パプアニューギニアからジョセフ国防大臣が代表として参加したほか、軍を保有しない島嶼国11か国から法執行機関の次官級等、並びに、パートナー国7か国からは国防当局の局長級等が代表として参加し、我が国を含め合計22か国が参加しました。なお、一部の国(ニウエ、ツバル、チリ)はオンラインで参加しました。
(※)招待国
本会合では、共通の安全保障課題やそれらに対する各国の取組等について幅広く意見交換を行い、相互の理解を深めるとともに、今後の太平洋島嶼国地域における協力・連携の在り方について建設的な議論が活発に行われました。特に、木原防衛大臣は20日に行った基調講演の中で、今後の地域における協力の方向性を示し、「太平洋島嶼国地域における一体となった安全保障の取組のための協力コンセプト(Cooperation Concept for United Security Efforts in the Pacific Islands Region)」として発表しました。その上で、参加国からは本コンセプトに対する歓迎の意が示され、今後も日本と太平洋島嶼国そしてパートナー国が緊密に連携し、より一層地域の平和と安定に向け重要な役割を果たしていくことへの期待が示されました。
三宅政務官から、自衛隊の艦艇や航空機による寄港や寄航、能力構築支援等を通じて、太平洋島嶼国地域の平和と安定、そして強靭かつ持続的な発展に貢献してきたことを紹介しました。
我が国から、インド太平洋地域における法の支配に基づく既存の国際秩序が様々な挑戦に晒されていること、こうした状況下でも、インド太平洋地域における全ての国が平和と安定と繁栄を享受するには、自由で開かれ安定した海を守っていく必要があることを強調しました。そして、更なる力や威圧による一方的な現状変更の試みを抑止し、利益や意見の相違の平和的解決を促進するために、対話と意思疎通の強化と、安全保障上の能力の向上を積極的に支援していくことの重要性を指摘しました。
参加国からも、それぞれの安全保障環境認識が共有され、互いの認識について理解を深めるとともに、参加国が共有する様々な安全保障課題について各国が協力し、法の支配に基づく国際秩序を擁護していく必要性について一致しました。
我が国からは、技術の発展によって安全保障の領域が宇宙やサイバー等へと拡大しており、加えて偽情報による影響工作や、AIといった新興技術の利用等は地域の安定にも様々な影響を与えるものとなっている旨述べ、これに伴い太平洋島嶼国が脆弱性を抱えることのないよう、各国と連携しながら、協力を進める必要性を強調しました。
参加国からは、こうした新たな安全保障課題の重要性は太平洋島嶼国にとっても切実なものであるとの声があがり、パートナー国が連携して太平洋島嶼国に効果的な協力を実施していく必要性等について活発な意見交換が行われました。
我が国から、IUU(違法・無報告・無規制)漁業、海賊行為、密航・密輸を含む越境犯罪等といった海洋安全保障上の諸課題への対応と抑止には、海洋状況把握能力と海上法執行能力が重要である旨指摘しました。
特に、軍を保有しない国が多く存在する太平洋島嶼国地域に向けて、海上保安庁が、海上法執行機関の意義と太平洋島嶼国地域における協力について説明しました。また、笹川平和財団からも太平洋島嶼国地域における取組などについて説明がなされました。
参加国からは、地域における海洋安全保障上の深刻な課題に関する具体例が共有され、法の支配に基づく国際秩序の下で、自由で開かれ安定した海の確保が太平洋島嶼国地域の繁栄のために重要であり、関係国・機関が連携する必要性が指摘され、活発な議論が交わされました。
太平洋島嶼国地域における防衛・安全保障協力を更に推進するため、以下の三つの原則と二つの連携を「太平洋島嶼国地域における一体となった安全保障の取組のための協力コンセプト(Cooperation Concept for United Security Efforts in the Pacific Islands Region)」(以下、「5点の協力コンセプト」)(※)として提示しました。
我が国から、気候変動は我々の存続にかかわる脅威であり、気候変動によって自然災害は更に激甚化・頻発化していることを指摘し、防衛省・自衛隊による、「防衛省気候変動対処戦略」の策定や、関係省庁や自治体と連携した自然災害への対応、「女性・平和・安全保障」(WPS)に関する取組の強化、太平洋島嶼国に対する能力構築支援や国際緊急援助活動等の取組を説明しました。
参加国からは、気候変動の影響に対する強い危機感が示されるともに、我が国を含むパートナー国からの太平洋島嶼国への協力等について高い評価が示されました。また、引き続きパートナー国を含む関係国が連携し、互いの災害対応能力を高めつつ、HA/DRにおいて実践的な協力を一層行っていく必要性とそのための施策について活発な議論が交わされました。
我が国から、PIFの「ブルー・パシフィック大陸のための2050年戦略」を強力に支持し、太平洋島嶼国との間で長年に亘り培ってきた「キズナ」を土台に、「5点の協力コンセプト」の下で、太平洋島嶼国地域における防衛・安全保障協力を更に促進していきたい旨強調しました。
本コンセプトに対して太平洋島嶼国やパートナー国からは、歓迎の意が示されました。今後も地域において、JPIDDをはじめとする機会を通じて、関係国や関係機関が更に緊密に連携することが重要であるとの認識が示されました。
最後に、木原大臣から、活発な議論への謝辞を伝え、これを土台とし、更なる実践的な協力・連携が促進されることへの期待を示すとともに、法の支配に基づく国際秩序の下で、自由で開かれ安定した海を共に守る我が国の決意を改めて示しました。
(以上)