令和6年11月21日
防衛省
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令和6年11月21日(木)、ラオス人民民主共和国(ビエンチャン)において「第11回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)」が開催され、我が国から中谷防衛大臣が出席しました。本会議では、参加各国の国防大臣等の間で地域的・国際的な安全保障課題について意見交換が行われ、中谷防衛大臣は、概要以下を発言しました。
- 我が国は、東シナ海・南シナ海における力又は威圧による一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対する旨を強調しました。また、台湾海峡の平和と安定は、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が、対話によって平和的に解決されることを期待する旨を表明しました。
- 悪化の一途を辿っているミャンマー情勢については、ミャンマー国軍に平和的な問題解決に真剣に取り組むよう改めて強く求めるとともに、ASEANの取組を引き続き後押しすることを表明しました。
- 北朝鮮は、国連安保理決議に違反して、先日のICBM級弾道ミサイル発射も含め、弾道ミサイルの発射を繰り返しており、10月には、北朝鮮の兵士がロシアに派遣されていることが確認された旨を指摘しました。我が国としては、派遣された兵士がウクライナに対する戦闘に参加していると認識しており、本件を含む最近の露朝軍事協力の進展の動きを強く非難する旨を表明しました。加えて、北朝鮮の拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、拉致問題の即時解決に向け、引き続き各国の理解と協力を要請しました。
- ロシアによるウクライナ侵略は国際法の深刻な違反であり、欧州のみならずアジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であることを強調しました。また、北朝鮮によるウクライナに対する戦闘への参加も含め、最近の露朝軍事協力の進展の動きは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも、深刻に憂慮すべきものである旨を指摘しました。
- 中東情勢のエスカレーションは、地域及び国際社会全体にとって極めて危険なものである旨を強調した上で、ADMMプラス参加国が全ての関係者に最大限の自制と外交的解決をより一層働きかける必要性を強調しました。
- 加えて、サイバー攻撃や偽情報、気候変動が安全保障に及ぼすリスクといった非伝統的な国際安全保障課題が顕在化している旨を指摘しました。
- その上で、ASEANの原則と枠組みの重要性を強調し、ADMMプラスの枠組みの下で展開している様々な取組に対し、今後も我が国は支援を惜しまない旨を表明しました。特に、気候変動が重要な課題であることを強調し、能力構築支援や専門家会合での取組等を通じ、我が国が地域の強靭性向上に向けて貢献していく旨を表明しました。
- ASEANとの防衛協力については、我が国が昨年提示した「防衛協力強化のための日ASEAN大臣イニシアティヴ:ジャスミン」の下で、具体的な取組が進展していることを強調しました。その上で、今後もASEANとの緊密なコミュニケーションをとりつつ、「ビエンチャン・ビジョン2.0」の精神に則り、ASEANとの協力を更に具体化させていく決意を表明しました。
- さらに、気候変動や災害対応のような地域の共通の課題に効果的に対処するためには、ASEAN・日本・太平洋島嶼国など、地域の連結性を向上させることが必要である旨を強調しました。この文脈で、本年12月に、防衛の観点から「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP)を実施するための海洋協力及び連結性会議をインドネシアと共催することを発表しました。
本会議では、参加各国による意見交換の後、「ベストプラクティスの交換及び能力構築等を通じた気候関連及びその他の自然災害に対する強靭性に関する共同声明」が採択されました。
併せて、中谷防衛大臣は、米豪比韓との間で防衛相会談を行ったほか、韓国、中国、ニュージーランド、ラオス、フィリピン、インド、ブルネイと二国間防衛相会談を実施し、防衛協力・交流を一層推進していくことを確認しました。
(以上)