第7回日仏外務・防衛閣僚会合 共同声明

2023年5月9日

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  1. 林芳正日本国外務大臣及び浜田靖一日本国防衛大臣並びにカトリーヌ・コロンナ・フランス共和国欧州・外務相及びセバスチャン・ルコルニュ・フランス共和国軍事相(以下「四閣僚」という。)は、2023年5月9日、テレビ会議形式にて第7回日仏外務・防衛閣僚会合(以下「2+2」という。)を開催した。
  2. 四閣僚は、2023年に10周年を迎え、自由、民主主義、法の支配及び人権の尊重といった共通の基本的価値に基づく日仏間の「特別なパートナーシップ」の重要性を再確認した。
  3. 四閣僚は、2022年12月に発表された日本の国家安全保障戦略及び2022年11月に発表されたフランスの国家戦略レビューにおいて日本とフランスがそれぞれ策定した戦略方針を歓迎した。四閣僚は、多国間主義及び法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を共に守るべく、安全保障・防衛分野における日仏協力、及び国連安全保障理事会を始めとする国際場裡における緊密な連携を強化することで一致した。
  4. 四閣僚は、海洋問題について二国間協力の強化への意欲を再確認し、両国間の特別なパートナーシップの重要な要素である日仏包括的海洋対話の重要性を強調した。また、両国は、海上保安能力向上支援の分野での取組の連携の重要性を確認した。
  5. 四閣僚は、特にインド太平洋地域における寄港や二国間及び多数国間での共同訓練を通じた日本国自衛隊とフランス軍との間の運用面での交流が定期的な、かつ、質の高いものであることを歓迎した。四閣僚は、前回の「2+2」(2022年1月20日)以降に実施された二国間及び多数国間での交流、中でも2022年と2023年の6回にわたる二国間共同訓練「オグリ・ヴェルニー」、2022年8月と2023年3月の2回にわたる多国間共同訓練「ラ・ペルーズ」、また、2023年初頭の2回にわたる海上自衛隊の護衛艦とフランス空母打撃群との共同訓練を始めとする一連の共同訓練を高く評価した。四閣僚は、2022年の日本の艦艇のフランスへの2回の寄港及び2022年11月の日本の国際観艦式へのフランスの航空機の参加を歓迎した。四閣僚は、共同訓練を通じ、インド太平洋地域の平和と安定に引き続き積極的に貢献することを再確認し、フランスによる大規模展開「ペガーズ」、「ジャンヌ・ダルク」及び日本による「インド太平洋方面派遣」等の交流機会を活用することを確認した。四閣僚は、両国間の防衛装備・技術協力を深化させ、特に次世代機雷探知技術に係る共同研究を着実に進展させることで一致した。
  6. 四閣僚は、日本国自衛隊とフランス軍との間での共同運用・演習のための行政上、政策上及び法律上の手続を相互に改善するための恒常的な枠組みについての議論の進展を歓迎し、議論を一層加速させるよう事務当局に指示した。
  7. 四閣僚は、二国間の枠組みで、同盟国やパートナー国とも協力しつつ、包摂的な形で、自由で開かれたインド太平洋に向けた協力を強化することを確認した。その観点から、フランス側両閣僚は、2023年3月20日に岸田総理大臣がニューデリーで発表した「自由で開かれたインド太平洋のための新たなプラン」の方針を歓迎し、フランス及びEUの戦略と方向性が一致していることを確認した。また、四閣僚は、太平洋島嶼国のために日仏協力を強化する意思を再確認した。さらに、南太平洋防衛大臣会合(SPDMM)の重要性を確認した。2022年5月の仏領ポリネシアでの訓練「マララ」及び2023年4月のニューカレドニアでの訓練「南十字星」への日本の自衛隊の関与は、南太平洋の安定に貢献するとの認識を共有した。日本側両大臣は、フランスがインド太平洋国家であることを踏まえ、南太平洋(ニューカレドニア、仏領ポリネシア、ワリス・フテュナ)におけるフランスのプレゼンスの重要性を再確認し、フランス側両閣僚は、2023年1月の日本の在ヌメア領事事務所の開設、及びこれによる二国間協力の発展の展望を歓迎した。
  8. 四閣僚は、東シナ海及び南シナ海情勢における重大な懸念を共有した上で、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みへの反対を再確認した。また、四閣僚は、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素としての台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認し、両岸問題の平和的解決を促した。四閣僚は、日仏両国の台湾に関する基本的立場に変わりがないことを確認した。
  9. 四閣僚は、国際法の明白な違反であるロシアによるウクライナ侵略に対する最も強い非難を改めて表明した。四閣僚は、必要である限りウクライナへの支援を継続し、G7の枠組みを始めとする国際的なパートナーとともに連携して行動し続けることで一致した。四閣僚は、対露制裁について緊密に連携する意思を改めて表明した。また、ロシアの無責任な核のレトリックは受け入れられず、ロシアによるいかなる核兵器の使用も明白な国際的非難及び深刻な結果を被るであろうことを強調した。
  10. 四閣僚は、現行の核拡散の危機に対する懸念を強調した。四閣僚は、イランが核兵器を開発してはならないとの決意を確認し、イランに対し、直ちに不拡散に関する国際的な義務の履行及び政治的コミットメントを遵守するよう呼び掛けた。四閣僚は、国連安保理決議に違反した、北朝鮮による核・ミサイル開発を強く非難した。四閣僚は、北朝鮮の大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄(CVID)という目標に対するコミットメントを改めて確認した。四閣僚は、国連安保理決議の完全な履行の重要性を強調するとともに、日本側両大臣は、「瀬取り」対策におけるフランスの定期的な取組を高く評価した。フランス側両閣僚は、北朝鮮に拉致された全ての日本国民の即時帰国に向けて努力する日本への支持を表明した。
  11. 四閣僚は、スーダンにおける事態を深く憂慮し、敵対行為の即時停止を当事者に対し要請した。日本側両閣僚は、日本国民とその家族を含む退避作戦を実施したフランスに深い感謝を表明した。四閣僚は、第三国におけるそれぞれの自国民の保護に関する連携を強化する必要性を再確認した。
  12. フランス側両閣僚は、日本の本年のG7議長国としての取組を評価し、その成功に向けて引き続き協力することで一致した。四閣僚は、2023年から2027年の日仏協力に関する新たなロードマップの策定に向けて連携していくことで一致した。
  13. 四閣僚は、本日の会合の成功を踏まえ、意見交換を継続することを決定し、それぞれの事務当局に、本日の会合の結果を綿密にフォローアップするよう指示した。