第10回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)共同声明

英語版/English

印刷用

2022年12月9日

林芳正日本国外務大臣、浜田靖一日本国防衛大臣、リチャード・マールズ・オーストラリア連邦副首相兼国防大臣及びペニー・ウォン・オーストラリア連邦外務大臣は、2022年12月9日、東京において、第10回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)を開催した。この協議は、共同声明及び「安全保障協力に関する日豪共同宣言」を含む、2022年10月の首脳会談で定められた野心的なビジョンを、時宜を得て再確認した。

我々は、日豪の「特別な戦略的パートナーシップ」はより強固となるのみであることを再確認した。日本とオーストラリアは、民主主義、人権、自由貿易及びルールに基づく国際秩序への揺るぎないコミットメントを含む共通の価値によって結ばれている。

我々は、2022年10月の首脳共同声明により表明された、変化する地域的及びグローバルな環境に関する我々の共通の見解を認識した上で、本日「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に沿った二国間協力の拡大・深化に焦点を当てた。

我々は、インド太平洋及びそれを越えた地域における平和、安定及び繁栄を支える、日米豪閣僚級戦略対話等を通じた、米国と両国それぞれとの間の同盟及び三か国間の協力の重要性を強調した。我々は、それぞれの安全保障戦略及び政策の大きな見直しを行う中にあって、我々の深い戦略的な整合性を再確認した。我々は、我々の体制が、「安全保障協力に関する日豪共同宣言」パラグラフ6に基づく我々の意思疎通及び協議を強化することを引き続き確保する。

我々は、主権及び普遍的人権を含む国際法が守られる、包摂的で強靱な、自由で開かれたインド太平洋に向けた共通のビジョンを実現するとのコミットメントを再確認した。

我々は、このビジョンを実現するため、日米豪印等の枠組みの下で、インド及び米国を含むパートナーと共に取り組むことへのコミットメントを強調した。

我々は、以下の行動を歓迎した。

  • 太平洋島嶼国のニーズと優先事項に取り組むための、太平洋諸島フォーラム等の確立された太平洋のアーキテクチャの中での取組を含む、以下を通じたものを含む太平洋における効果的かつ実践的な協力の継続
    • 不発弾処理(EOD)に関する協力
    • 太平洋地域のインフラ、連結性及び海洋安全保障のニーズを支えるための深化された協力
    • キリバス及びニューカレドニアにおける日本の新設公館を含む、太平洋地域の公館間の強化された連携
    • 「ブルーパシフィックにおけるパートナー(PBP)」を通じた具体的な成果の提供
    • テルストラ社によるデジセル・パシフィック社の買収を支援する、オーストラリア輸出金融公社(EFA)による資金支援に対する信用保証を提供するための、国際協力銀行(JBIC)、米国国際開発金融公社(DFC)及びEFAの間の協力
    • マーシャル諸島及び他の小島嶼国における水の安全保障を強化するための取組の連携
    • ミクロネシア連邦チュークラグーンにおける、戦没船からの油漏れのリスクへの対応
    • サモアにおける海洋保安能力の向上の支援
    • 太平洋地域環境計画事務局、日本及びニュージーランドの間のパートナーシップにより設立された、サモアの太平洋気候変動センター
  • 東南アジアに対するそれぞれの強化されたアプローチを相互に増強すること及び経済、開発、安全保障協力並びにエネルギー移行を含む、ASEAN及び東南アジアのパートナーとの間で相互に決定した優先事項に向けて協働すること
  • 以下を含む、安全保障・防衛協力を深化し、また、日豪円滑化協定が発効した後、同協定の活用を図りつつ、より強化された相互運用性を構築するとのコミットメントを前進させること
    • 安全保障・防衛協力の深化、及び、相互運用性を強化するための、自衛隊とオーストラリア国防軍との間の強化された運用面の協力の範囲、目的及び形態に関する議論の発展
    • 航空自衛隊とオーストラリア空軍の航空機間の空中給油のペアリングの拡大
    • 以下についての検討の加速を含む、部隊交流及びより複雑な演習へのコミット
      • 将来のF-35を含む日本の戦闘機のオーストラリアへのローテーション展開を見据えた、日本のF-35による機動展開訓練の実施。来年、オーストラリア空軍のF-35が「武士道ガーディアン」演習に参加するため、初めて日本に飛来することを歓迎
      • 「タリスマン・セイバー」演習への自衛隊の参加に係る複雑さの向上
      • 海上自衛隊とオーストラリア海軍との間の潜水艦捜索・救難訓練の実施のオプション
      • 水陸両用作戦演習及び誘導弾実射訓練
    • 長距離誘導兵器、統合防空ミサイル防衛(IAMD)及び水中戦(USW)を含む、戦略能力に関する協力の強化
    • 以下を含む、米国との三国間協力の強化
      • オーストラリア北部における米軍との訓練機会の拡大
      • 武器等の警護任務の枠組みの活用
      • 最適かつ機動的な運用協力のための共通基盤を構築するための、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)の拡大
      • 日米二国間演習へのオーストラリア国防軍の参加及び豪米二国間演習への自衛隊の参加の推進。特に、オーストラリア国防軍による2023年の「ヤマサクラ」演習への参加を支持
  • 以下を含む、様々な形での防衛装備、科学技術及び産業協力の向上
    • 防衛、科学技術協力をより円滑に行うための、研究開発試験評価のための取決めをとりまとめること
    • 全ての領域における自律システムに関する防衛科学技術連携の拡大
    • 先進防衛能力の共同研究、共同開発、共同生産の機会の探求
    • 日豪共通の課題である強靱なサプライ・チェーンに関する政策対話の支援
    • 産業の強靭性及び協力関係を構築するための、2023年のオーストラリアの防衛産業貿易使節団の日本への派遣
  • 政府横断的な意思疎通及び志を同じくするパートナーとのイニシアティブを通じたものを含む、経済安全保障を強化し、経済的威圧に対応するための緊密な協力の継続。
  • 以下を含む、サイバーセキュリティ及びサイバーの強靱性に関する意思疎通及び協力の継続へのコミットメント
    • 次回の日豪サイバー政策協議を通じた協力を含む協力の強化
    • 共同学習及び調整を通じた、インド太平洋地域におけるサイバー能力向上支援
    • 多面的な領域における協力
    • 防衛関連のサイバーセキュリティに関するインド太平洋のパートナーとの取組
    • 2023年のNATOの演習「ロックド・シールズ」への共同参加を通じたサイバー防衛協力の強化
  • 2022年11月に署名された日豪防衛宇宙パートナーシップに関する趣意書を受けた宇宙協力の強化
  • それぞれの開発援助政策に関する地域における当局と在外公館との間の情報共有及び連携の増加
  • 情報保全に関する情報共有及び意見交換の強化