第10回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)の開催

2022年12月9日
防衛省

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12月9日、午後6時から約2時間30分、東京において、浜田靖一防衛大臣及び林芳正外務大臣は、リチャード・マールズ・オーストラリア連邦副首相兼国防大臣(The Hon. Richard Marles MP, Deputy Prime Minister and Minister for Defence of the Commonwealth of Australia)及びペニー・ウォン・オーストラリア連邦外務大臣(Senator the Hon. Penny Wong, Minister for Foreign Affairs of the Commonwealth of Australia)との間で、第10回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)を対面形式で実施したところ、概要は以下のとおりです。なお、同協議開催後、共同声明が発出されました。

1 総論

冒頭、林大臣は、基本的価値と戦略的利益を共有する日豪は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて緊密に連携してきており、同志国連携の中核となるまでに発展している旨述べました。また、本年10月の岸田文雄内閣総理大臣の豪州訪問から1か月強で、外務・防衛閣僚間で「安全保障協力に関する日豪共同宣言」を含む日豪首脳会談の成果のフォローアップを行うことは、両国の日豪安全保障・防衛協力への強いコミットメントを示すものである旨述べました。さらに、浜田大臣は、同宣言の発出によって日豪の安全保障協力が、次の時代に向けて進んでいく準備が整ったとの認識を示し、日豪の防衛協力の実効性を向上させる方策を探求する旨述べました。

2 地域・国際情勢

四大臣は、首脳間の共通の認識を踏まえ、地域・国際情勢を議論し、双方の戦略的な評価が極めて近いことを確認しました。

  1. 東シナ海及び南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対しました。また、台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認しました。
  2. 北朝鮮が、前例のない頻度と態様で弾道ミサイル発射を繰り返していることは、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であるとの認識で一致し、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き、連携していくことで一致しました。
  3. ウクライナ情勢について議論し、対露制裁やウクライナ支援に引き続き取り組む意思を共有しました。また、ロシアによる核の脅しを深刻に懸念しており、断じて受け入れることはできない、ましてや、その使用はあってはならず、国際社会として、それを決して許すことがない点について改めて一致し、引き続き、同志国と緊密に連携していくことを確認しました。
  4. 東南アジア情勢について議論し、ASEAN中心性・一体性、及びインド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)を支持しつつ、ASEANとの更なる協力を進めるべく、日豪両国が連携を強化することで一致しました。また、太平洋島嶼国について議論し、太平洋諸島フォーラム(PIF)との協力や「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」の実施への支持を含む、太平洋島嶼国における協力を深めることにつき再確認しました。

3 「安全保障協力に関する日豪共同宣言」の実施

四大臣は、早急に実施すべき二国間協力を特定し、速やかに実施していくことで一致しました。

  1. 外交面の日豪協力
    日豪両国が重視する地域として、東南アジア、太平洋島嶼国における協力を強化していくことを確認しました。特に太平洋島嶼国との間では、海上保安能力向上、インフラ整備といった協力に加え、太平洋島嶼国が抱える脆弱性を踏まえて、経済的威圧への対応を含む経済安全保障、能力構築支援を含むサイバー分野、日豪が持つ衛星能力を活用した民生面の宇宙分野での協力について、連携を強化していくことで一致しました。
  2. 防衛面の日豪協力
    防衛協力の現状と課題及び目的について認識を共有し、よりオペレーショナルな日豪協力に向けて議論を深めていくことで一致しました。

4 地域情勢に対する戦略的対応

四大臣は、日豪が戦略文書見直しのプロセスを進めていることを背景に、日豪協力の方向性につき、更に議論することを確認しました。

  1. 浜田大臣と林大臣は、日本を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増す中で、新たな国家安全保障戦略を策定すべく、プロセスを進めており、平和と繁栄を確保するため、日本の外交・安全保障面での役割を強化していく旨述べました。その上で、四大臣は、日豪間の安全保障・防衛協力を更に強化していくことを再確認しました。また、浜田大臣と林大臣は、地域の平和と安定に寄与する豪英米の安全保障パートナーシップであるAUKUSに対する日本の支持を改めて表明しました。
  2. 四大臣は、地域の安定にとって不可欠な日米豪の安全保障・防衛協力を力強く進めていくことで一致するとともに、来年豪州が首脳会合を主催する、日米豪印などの重層的な同志国連携について議論し、日豪が主体的役割を果たすことを確認しました。