司令官 挨拶

ホーム > 航空開発実験集団について > 司令官 挨拶


第23代 航空開発実験集団司令官

空将 小島 隆(こじま たかし)


 航空開発実験集団ホームページをご覧いただきありがとうございます。

 桜の季節になり、早いもので私も着任から一年が経ちましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。春は何かと人の動きが多い季節ですが、当集団の態勢にも大きな変化がありました。3月末に航空医学安全研究隊が隷下に新編され、航空事故防止に関する調査研究が新たな任務として加わりました。航空開発実験集団は創設以来、航空装備品等と航空医学を一体化した一貫性のある研究開発業務を実施してきましたが、今後は航空事故防止に係る研究への研究開発の観点からの知見の活用にも取り組み、航空医学安全研究隊の隊員と共に飛行安全の確保を追求してまいります。

 また昨年度は、令和5年度に引き続き無人航空機活用に係る産学官意見交換会や研究開発シンポジウムを開催した他、装備品等の試験等業務としてF-2戦闘機や宇宙関連装置、救難員用落下傘、次期警戒管制レーダーの試験評価や、輸送機用誘導弾発射システムに関するデータ収集を実施しました。救難員用落下傘は従来の落下傘よりも性能面、操作性で優れており、より迅速かつ効果的な救難活動の実施に役立つ装備です。昨年度をもって性能試験が完了し、今後部隊での運用が開始されます。また、昨年度から実用試験に着手した次期警戒管制レーダーは抗たん性、移設性に優れた分散型レーダーであり、将来の経空脅威や弾道弾等の探知追尾能力の向上が期待されています。

 このように新規装備品等の導入や開発が進む一方、本年3月には飛行開発実験団が運用してきたC-1初号機のラストフライトセレモニーが実施されました。この機体は、我が国初の国産ジェット輸送機であるC-1輸送機の初号機として1970年11月12日、岐阜基地で初飛行を行いました。その後1971年から、今の飛行開発実験団の前身となる「実験航空隊」において、2号機とともに総飛行試験数370フライト、飛行時間609時間に及ぶ技術・実用試験に用いられ、1973年4月からのC-1輸送機の運用開始に貢献しました。以降、初号機は実に55年もの間、銀色の翼で日本の空を羽ばたき続け、航空自衛隊の研究開発を切り開くとともに、輸送任務をはじめ、各種装備品開発等の任務にも貢献しました。これまで飛行安全に留意し、日夜、飛行運用や整備にあたった隊員の労を多とするとともに、定期整備や技術支援において我々の任務を支えていただいた関連会社の方々に、改めて敬意を表したいと思います。

 今後の装備品等の研究開発においても技術的優位による抑止力の確保に資するべく、官民の連携をより密接にするとともに、先人たちが航空機開発に注いできた熱い情熱、夢や希望を受け継ぎ、宇宙を含む「空(宙)の勝利は技術にあり」の言葉を胸に、スピード感を持った早期装備化の実現や、研究開発態勢の強化を図ってまいります。引き続き、当集団の活動にご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。


(略歴)

 平成 2年 9月 第3航空団

 平成 5年 3月 航空中央業務隊付

 平成11年 3月 電子開発実験群

 平成14年 3月 技術研究本部

 平成15年 3月 幹部学校付(指揮幕僚課程)

 平成16年 3月 幹部学校

 平成16年11月 航空幕僚監部防衛部防衛課

 平成19年 5月 航空幕僚監部技術課

 平成20年 4月 飛行開発実験団研究開発部長

 平成21年 8月 幹部学校付(統合短期課程、インド国防大学)

 平成23年 2月 航空幕僚監部総務部総務課渉外班長

 平成24年 7月 第6航空団整備補給群司令

 平成25年12月 航空幕僚監部技術部技術課長

 平成27年10月 防衛装備庁プロジェクト管理部装備技術官

 平成28年12年 航空開発実験集団司令部幕僚長

 平成30年 8月 中部航空方面隊副司令官

 令和 2年 8月 航空教育集団司令部幕僚長

 令和 4年 3月 航空幕僚監部装備計画部長

 令和 6年 3月 現職


防衛大学校(電気工学)第34期

神奈川県出身