概要
採用後、自衛官候補生(特別職国家公務員)に任命され、航空教育隊(防府南基地の第1教育群又は埼玉県熊谷基地の第2教育群。ただし、女性は全て防府南基地)において、自衛官になるために必要な基礎的教育訓練に専念するものです。
主に隊員としてのしつけ、※教練及び体育の基本動作並びに服務等の基礎的事項の修得を行います。3か月後に2等空士に任官し、空士として必要な講習を受け、本人の希望や適性及び組織要求によって「職種」が決定します。教育隊卒業後は、職種ごとの術科教育を受け、赴任した部隊で任期制自衛官として活躍することとなります。
任期制自衛官とは、2等空士に任官後、2年9か月を一つの任期として勤務する隊員を言います。本人の希望により更なる任期(2年)の継続も可能です。入隊後約3年経過以降、昇任試験によって選抜された者は、「3等空曹」に昇任し、定年まで勤務することとなります。
※教練とは、「気をつけ」「右へならえ」「敬礼」などの規定された号令や動作を言います。
学生着隊・受入
令和2年11月25日(水)、第22期自衛官候補生として入隊する135名の若者達が全国から熊谷基地に着隊しました。一様に緊張した様子でしたが、滞りなくコロナ対策のスクリーニング、身体検査及び宣誓を行いました。
その後、自衛官に欠かすことのできない「制服」のサイズ合わせや「寝具」の使い方(ベッドメイキング)の教育を受け、彼等にとって、まさに「緊張の初日」が終了しました。
令和2年12月1日(火)の入隊・入校式に向けて、急ピッチで制服の着こなしや、敬礼動作の演練等を行って参りますので、成長する姿に乞うご期待を!
入隊・入校式
冬晴れの心地よい朝を迎え、12月1日に第22期自候生の入隊・入校式が行われました。
代表学生の岡本祥吾自候生が宣誓文を会場の外にまで響き渡る溌溂とした声で読み上げ、他の隊員も数日前に着隊したとは思えない堂々とした姿勢で、臨んでいました。
基幹隊員一同、情熱と愛情を持って、育成して参りますので、本課程のスタートを切りました隊員に温かいエールをよろしくお願い致します!
導入期における点検
入隊してから約4週間が経ち、基地内生活への順応状況や現時点の自衛官として必要な身だしなみや身辺の整理整頓等の習得状況を確認する「導入期点検」が、12月24日の午前中に行われました。
初めての厳粛な雰囲気と、点検官等からの質疑応答に緊張しつつも、溌溂とした動作で対応していました。点検結果は「良好」という5段階評価の3番目で、各学生の点検に向けての努力と成長が窺えました。点検官である大隊長の講評後、群司令から激励の言葉をいただきました。
卒業間近に行われる完成期点検では、最高評価である「優秀」を獲得できるよう、日々邁進していってもらいたいと思います。
班対抗駅伝競技会
12月24日の午後から班対抗駅伝競技会が行われました。
寒空の中、皆息をはずませ、班の威信をかけて、タスキを繋げていました。
学生相互に声援を送り合う姿は、班を越え、中隊が一丸となっている様子が窺え、団結力を感じました。競技会は、激闘の末、32班が優勝しました。
32班優勝メンバー
番号 | 氏名 | 一言 |
1 | 北間 祐樹 | 全員の協力で優勝できました。 |
2 | 山田 創大 | 一丸となった。 |
3 | 野田 祥平 | 全力を出せた!! |
4 | 赤峰 大空 | ベストを尽くした。 |
5 | 長岡 大輔 | 班員の応援で頑張れた。 |
6 | 深澤 航 | 班員の声援が力になった。 |
7 | 大久保 佑哉 | 光り輝いた。 |
8 | 松手 雅顯 | 燃え尽きた。 |
9 | 大畠 圭太郎 | 明るく凛々しく走りました。 |
10 | 上田 勝生 | 走り続けます! |
11 | 佐藤 拓海 | 流れに乗れました。 |
導入期体力測定
新年を迎え、1月8日(金)に入隊後初めての体力測定を行いました。体力測定は、腹筋、腕立て伏せ、3㎞走、懸垂、ソフトボール投げ、走り幅跳びの6種目です。今回の体力測定は、自己のウイークポイントや自衛官として強化すべき筋力・部位を掌握させることを目的としており、約2ヵ月後に実施する修了時体力測定に向けて、学生達は、日々体力練成に取り組んでまいります。
基幹隊員紹介
学生教育に携わる中隊の基幹隊員を3回に分けて紹介します。
第1回目は、中隊長と区隊長の幹部4名を紹介します。
役職:第12中隊長
階級:1等空尉
氏名:福井 勝久(ふくい かつひさ) 「笑顔」を忘れず、凛とした隊員育成を目指します!
射撃訓練
令和3年1月19日(火)に陸自宇都宮駐屯地にて実弾射撃訓練を実施しました。
課程学生は、事前に、小銃の構造、操作法、射場勤務等について学習するとともに、入念な射撃予習を繰り返し実施して実弾射撃に臨みました。
訓練本番は、実弾を取り扱っているという責任感と初めての射撃に対する緊張感がありましたが、射撃係幹部の号令に従い、整斉と実施することができました。また、射撃と射撃の間には、教官助言のもと、学生自ら照準器具の補正を行い、射撃技術を向上させる手法も学びました。
射撃能力を測る採点射撃では、特級(50点満点中47点以上)が4名おり、その中でも11班 下村 将斗(しもむら まさと)自候生が49点の高成績を残すなど、実りのある訓練でした。
<射撃予習>
<実弾射撃>
基幹隊員紹介 ~御家族へのメッセージ~
学生教育に携わる中隊の基幹隊員を3回に分けて紹介します。
第2回目は、班長を紹介します。
役職:第11班長
階級:2等空曹
氏名:吹越 昭裕(ふっこし あきひろ) 大切なご子息を全力を尽くして立派な自衛官に育てま す。
行進及び露営訓練
令和3年2月2日(火)、3日(水)に、防衛出動及び航空機の捜索救難を想定した行進及び露営訓練を基地内において行いました。主な訓練内容は、非常呼集、徒歩行進、野外炊事、担架搬送、露営です。 訓練初日は、あいにく雨からのスタート。教官から訓練の想定、規律に関する教育を受けた後、飯盒を使っての野外炊事を行いました。自分で炊いたご飯に、野戦釜(災害派遣などで活躍する屋外用の特大調理釜)で作った親子丼の具をかけ、皆おいしそうに食べていました。 その後、人命救助の際に使う機材(チェーンソーや救出工具など)の教育を受け、実際に傷病者を担架で搬送する訓練を行いました。ここでは、担架で運ばれる傷病者役も体験し、傷病者に対する声かけ等が不安解消にとても大切だということを身をもって学びました。 日没が近づいた夕方からは、露営の準備です。熊谷特有の冷たい北風(通称「赤城おろし」)が吹き荒れる中、携行天幕(2人用のテント)を設営しました。就寝時間になっても、露営地の不寝番(見回り)勤務が交代であり、仮眠中も、緊張と寒さと強風で何度も目が覚め、熟睡はできなかったようです。
<野外炊事>
<人命救助システムⅡ型、担架搬送>
<露営>
翌日は、05:00の非常呼集から訓練開始です。眠気まなこの中、素早く装具を身に着け点呼を受けました。体調に異状がないか確認を行い朝食と露営地の撤収を足早に済ませ、いよいよ徒歩行進の開始です。重い装具と小銃を携行して、約25㎞の行程を行進します。予定の時間に、予定の地点に到着(定時定点必達)するため、中隊は一定の速度と隊形を維持して進みます。靴擦れで足を引き摺る学生も散見され、疲れと痛みで、下を向いて挫けそうになるのを、区隊長や班長の叱咤激励、班員同士の助け合い等で、中隊全体が一丸となり、完歩することができました。 学生達は、防衛行動や災害派遣などの実任務に役立つ、より実際的な知識と技術を数多く習得するとともに、一人では困難なことでも、仲間がいれば乗り越えられるという、団結の素晴らしさと達成感を感じていました。
<非常呼集>
<徒歩行進>
基幹隊員紹介 ~御家族へのメッセージ~
学生教育に携わる中隊の基幹隊員を3回に分けて紹介します。
第3回目は、班付を紹介します。班付は、主に学生の相談役として活躍しています。
役職:第1区隊班付
階級:空士長
氏名:松野 駿太(まつの しゅんた) 厳しい訓練を続けている学生達を全力でサポートしま す。
修了時体力測定
令和3年2月12日(金)に、修了時体力測定を行いました。入隊から約11週間が経過し、学生もずいぶんと逞しくなり、下表(全学生の平均値)のとおり、基礎体力が著しく向上しました。この課程で体得した練成方法を、今後は、自己修練の場で活用し、より一層の体力向上に励んでいきます。
種 目 | 開始時 | 修了時 | 伸び幅 |
腕立て伏せ | 31回 | 45回 | 14回(↑) |
腹 筋 | 44回 | 62回 | 18回(↑) |
3㎞走 | 13分48秒 | 12分34秒 | 1分14秒(↑) |
完成期における点検
令和3年2月22日(月)、晴天の中、完成期点検を行いました。 完成期点検では、群司令が点検官となり、課程教育で学んだ基礎的知識や基本動作等を実地に点検し、教育目標に到達しているかを確認します。 点検官等からの質問や声かけに堂々と自信を持って応答し、また、寒風の中、日々鍛錬を行ってきた基本動作も整斉と行っており、今まで培ってきたものを遺憾なく発揮していました。 点検結果は、最高評価の「優秀」でした。 学生は、これまでの努力が認められたことに、喜びと達成感を感じ、今後の部隊勤務に向けて、更に自信を深めることができました。
任命式
梅のつぼみも膨らみ始め、春の兆しを感じる頃、令和3年2月25日(木)に、自衛官候補生課程を修了した125名は、2等空士に任命され、晴れて自衛官になりました。学生は、2等空士の階級章を付けた制服を身にまとい、凛々しい姿で任命式に臨み、全員を代表して13班 江坂 健(えさか たけし)2等空士が声高らかに服務の宣誓を行いました。 この日から約2週間、新任空士としての教育訓練を受け、更なる成長を目指します。
卒業式
日ごとに春を感じる暖かな日差しの中、令和3年3月10日(水)、卒業式を行いました。慣れない団体生活や肉体的にも精神的にも辛い訓練を見事に乗り越え、素晴らしい成長を遂げました。空士の行動規範である「若さと行動力」を体現した125名の姿は、逞しく頼もしく感じられました。
<航空教育隊司令褒章授与者>
班 | 階級 | 氏名 | ふりがな |
13 | 2等空士 | 江坂 健 | えさか たけし |
13 | 2等空士 | 河村 凱 | かわむら がい |
34 | 2等空士 | 川原 直樹 | かわはら なおき |
33 | 2等空士 | 西野 将矢 | にしの しょうや |
32 | 2等空士 | 長岡 大輔 | ながおか だいすけ |
33 | 2等空士 | 鮫島 雄貴 | さめしま ゆうき |
<群司令優秀賞授与者>
班 | 階級 | 氏名 | ふりがな |
12 | 2等空士 | 岡本 祥吾 | おかもと しょうご |
13 | 2等空士 | 大谷 章右 | おおたに しょうすけ |
24 | 2等空士 | 泉 和希 | いずみ かずき |
31 | 2等空士 | 関根 裕太郎 | せきね ゆうたろう |
13 | 2等空士 | 内田 貴大 | うちだ たかひろ |
12 | 2等空士 | 大久保 直也 | おおくぼ なおや |
部隊への赴任
令和3年3月11日(木)、卒業式を終えた学生は、全国の各部隊及び術科学校等へ赴任しました。いよいよ、これまで苦楽を共にした同期生との別れのときです。
涙を堪えて別れを惜しむ隊員、笑顔でお互いの健闘を誓い合う隊員、そして指導にあたった教官達は、教え子達の活躍を祈って。
今回をもちまして、第22期自衛官候補生課程の活動紹介を終わりますが、今後とも彼等への応援と、航空教育隊に対するご理解とご協力をよろしくお願いします。