陸上自衛隊 高等工科学校 15歳からの国家公務員

神奈川県横須賀市にある武山駐屯地。その中に陸上自衛隊唯一の学校があります。そこは中学卒業後に進学できる「高校」で3年間を集団生活で過ごします。授業料が無料なだけでなく、給料やボーナスももらえ、身分も国家公務員という、一足早く自立できる学校。それが「陸上自衛隊高等工科学校」です。今回はこの高等工科学校についてご紹介しましょう。

陸上自衛隊高等工科学校は自衛隊版の高校

高等工科学校は数年前からテレビなどで取り上げられたことで、広く知られるようになった学校です。普通科高校と同様の教育を行う「一般教育」、自衛隊専門的な技術の教育を行う「専門教育」、陸曹候補者として必要な防衛教養や各種訓練を行う「防衛基礎学」を主たる教育として受けます。
高等工科学校生徒は全寮制で全員が3年間駐屯地で生活します。その宿舎は無料。週休2日制、祝日、年末年始及び夏季休暇をとることができますが、外出には制限もあります。月額94,900円が支給される他、年2回のボーナスも出ます。
卒業時に陸上自衛官(陸士長)として任官され、本校を卒業後約1年間の教育を経た後に、3等陸曹に昇任して、陸上自衛隊の中核として活躍します。

普通の高校とは異なる高等工科学校

自衛隊工科高等学校は学校教育法第1条に定められた学校ではありません。文部科学省の管轄外の学校なので、高等工科学校では高等工科学校生徒課程のみが行われ、その身分は特別職国家公務員「生徒」です。しかし高等工科学校を卒業すると高校卒業と同じ資格を得ます。高等工科学校に入った生徒は高等学校卒業資格を得るために技能提携している神奈川県立横浜修悠館高等学校の通信制にも入学したことになり、高等学校教育を受けているのです。
高等工科学校を卒業すると、陸上自衛官(陸士長)として任官されますが、防衛大学校や航空学生受験等の進路もあります。

高等工科学校紹介

自衛隊工科高等学校は三浦半島の西海岸、相模湾の支湾である小田和湾に面した御幸浜にあります。かっては、松並木の美しい海岸で、大正天皇が行幸されたことからこの地名がつけられました。昭和38年から前身である少年工科学校としてその教育が行われてきましたが、平成22年度の自衛隊生徒制度の変更に伴い、少年工科学校のよき伝統を継承しつつ将来陸上自衛官となるべき者を養成する学校として、時代の変化(任務の多様化、高等学校教育の趨勢等)に対応した教育を行うことになったものです。

陸上自衛隊幹部候補生学校の教育

高等工科学校では普通科高校と同じ「一般教育」、自衛隊ならではの「専門教育」や、陸曹候補者として必要な「防衛基礎学」を主たる教育として受けます。一般教育は、一般の高校と同等の学力を生徒に身につけさせるべく、普通科高校と同様のカリキュラムのもとで教育を行っています。高等工科学校は、神奈川県立横浜修悠館高等学校と提携をしており、 この一般教育の教育とレポート作成など通信制の教育により、生徒は高等工科学校卒業と同時に横浜修悠館高等学校卒業の資格を得ることができます。
専門教育では、高機能化・システム化された多くの車両、通信電子機器、火器及び航空機等を装備してあらゆる任務を遂行するための基礎として、3学年時に将来の技術的スペシャリストとしての素地を身につけるために「電子機械(メカトロ)工学」「情報工学」「ロボット制作等を通じての教育」を実施しています。
防衛基礎学は陸上自衛官として必要な基礎的事項の教育で、課目は、法令等を学ぶ「服務及び防衛教養」と野外における基礎的な行動を学ぶ「戦闘及び戦技訓練」に大別されます。1・2学年は、主に駐屯地内の訓練場で行い、3学年は、総合的な訓練を行うために東富士演習場で行う課目もあります。

陸上自衛隊 高等工科学校サイト

コラム

高等工科学校ならではの部活動

高等工科学校には高校同様にさまざまな部活動がありますが、自衛隊ならではの部活動があります。それが「ドリル部」です。一見吹奏楽部のマーチングのように見えますが、ドラムだけによる音楽、銃を使ったフォーメーションが特長です。以前にテレビでも重い銃を取り回す練習の大変さと披露される縁起の華麗さで話題となり、動画サイトでも多くの動画が掲載されています。
ドリル部は部活動の一つですが、本来は儀仗隊という、儀礼・警備のために天皇・皇族・大臣・高官、あるいは外国の賓客などにつけられた兵隊が式典で披露展示するものです。高等工科学校では学校内外の式典やイベントでドリル演技を披露しています。

チホンから届いたあなたの近くの高等工科学校生徒のメッセージ

高等工科学校に興味を持った方のために、各地本から届いた現役高等工科学校生徒の声をご紹介します。また最寄りの地本に問い合わせると、受験方法や体育など詳しい内容を紹介してくれます。ぜひご検討ください。

茨城地方協力本部
先輩隊員の声

茨城県出身の高等工科学校生徒の入学にあたっての感想と受験生へのアドバイスが掲載されています。また彼らが他に受験した高校もわかるので、地元の人には受験レベル判定の参考にもなります。

神奈川地方協力本部
先輩からのメッセージ

神奈川県内から高等工科学校に入隊した 先輩からのメッセージ を掲載しています。 平成23年度から26年までの先輩高等工科学校生徒たちの数多くのメッセージを読むことができます。

新潟地方協力本部
入隊者の声 VOICE

応募種目ごとに、県内出身の先輩自衛官達が現在の仕事のやりがい、苦労と心がけていること、将来への抱負などを、受験生へのメッセージとともにお届けします。高等工科学校生徒の声も掲載されています。

京都地方協力本部
先輩隊員の声

各募集種目の先輩隊員からの希望者へのメッセージを掲載。中に高等工科学校生徒のメッセージもあり、進学動機や入隊前の不安から入隊後の感想まで正直な気持ちが語られています。

広島地方協力本部
広島県出身隊員の声

平成22年から26年までの広島出身の先輩自衛隊員たちの声が、年度別、種目別に掲載されています。高等工科学校生徒からのメッセージも各年度ごとに1名ずつご覧いただけます。

さあ、あなたも地本の人に会ってみませんか?