防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
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(2月放送内容)



 

テ−マ:防衛3文書について

 
 

パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の市川局長と担当の香高さんからお話を伺います。お二人とも、よろしくお願いします。

局長・香事務官:
 よろしくお願いします。

局長 :
今日は、昨年12月に閣議決定された「防衛3文書」についてお話をしたいと思います。
 

香事務官:

 さっそくですが、今さん、昨年は報道でもこの「防衛3文書」についてよく耳にされていたと思いますが、「防衛3文書」ときいて、何が思いつきますか。
  

パーソナリティ:

 「防衛予算が増える」とか「防衛力が強化される」といったことが思いつきます。


香事務官:

 さすがですね、今さん。この防衛3文書とは、「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」という3つの文書のことをいいますが、これらを政府が閣議決定した理由の一つが、防衛力を抜本的に強化する必要がある、ということです。
 また、防衛力を強化するための予算は、これまでの5年間の計画がおよそ27兆円であったのに対し、これからの5年間の計画では、その約1.6倍の43兆円まで増額することとしています。

パーソナリティ:
 これまでの1.6倍というのは、相当な増額ですよね。どうしてそこまでの防衛費の増額というか、防衛力の強化が必要なのですか。
 

香事務官:

 今の日本がそうしなければならない国際情勢に直面しているから、ということがあります。昨年は、2月にロシアによるウクライナ侵略が始まりました。ロシアによる攻撃やそれによるウクライナの犠牲者のニュースを見ない日はありません。
 一方で日本の周辺では、北朝鮮は、かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しています。昨年は、この東北地方でもJアラートが鳴らされました。
 中国も弾道ミサイルを、日本の排他的経済水域に向けて発射しました。これは中国と台湾の緊張関係、また中国とアメリカとの緊張関係の中で行われたものですが、中国の習近平国家主席は、中国による台湾統一のためには、武力行使を放棄しない、と明言しています。

局長:
 岸田総理は、こうした情勢を「歴史の転換期」であるという言い方をしています。ロシアによるウクライナ侵略のような、力による一方的な現状変更の試みが、現実に今の国際社会の中で発生し、努力はしているのですが、このようなロシアによる暴挙を今もって国際社会は止めることができていません。  
 このような国際情勢の中で、ウクライナはなぜロシアに侵略されてしまったのか、日本で同じようなことが起こらないようにするにはどうすればよいのか、そうしたことを考えた結果、防衛力の抜本的強化が必要だとの結論に至りました。

パーソナリティー:

 確かにロシアによるウクライナ侵攻には大きな衝撃を受けましたし、日本でも同じようなことが起こりうるのではないかと危機感を持つようにもなりました。  
 では、日本が侵略されないようにするには、どうしたらよいと考えているのですか。

香事務官:
 はい、ロシアがウクライナを侵略するに至った軍事的背景として、ウクライナが十分な抑止力を持っていなかったことが考えられます。抑止力とは、相手に侵略を思いとどまらせる能力です。
 抑止力を強化するため、相手の能力だとか、最近の科学技術の進歩を取り入れた新しい戦い方を踏まえて、今の自衛隊で何か足りないものはないのか、分析を行いました。  そうした結果、例えば、スタンドオフ防衛能力、これは、敵の射程距離といいますか、敵が攻撃できる範囲よりも遠くから攻撃できる能力を持ったミサイルを整備することですとか、無人機を使った防衛能力を強化するといったように、将来の戦い方を踏まえた防衛能力を強化していくこととしています。

局長:

 将来を見据えた能力の強化という方向性と、もう一つ、抑止力の強化は、この国際情勢の中で、日本の平和を守るためにすぐにでも必要なものですので、今自衛隊が持っている装備・能力を十分に発揮するために、例えば、保有している弾薬の量を増やすとか、装備品の修理のための部品を増やすといった点にも力を入れることとしています。

パーソナリティ:
 部品の量を増やすのですか。

局長:

 そうなんです。部品の量を増やしていこうと考えています。
 例えば、航空自衛隊の保有するF−15戦闘機。これを継続して飛行させて訓練をしようとすると、定期的に部品の交換が必要となります。しかし、部品を交換するにも予算が必要になってきます。その予算が足りなくて、自衛隊の装備品が十分に活用できていないのではないか、ということが指摘されてきました。

パーソナリティ:
 今、持っている能力を最大限発揮する、というところから強化しようとしているのですね。新たな能力ということでは、「反撃能力」という言葉を、報道でも何度か耳にしました。これを持つことと、日本が侵略されないようにすることとは、どう関係しているのですか。


香事務官:

 はい。侵略されないようにするためには、相手の能力に着目する必要があると先ほどもお話しました。日本の周辺国、例えば北朝鮮は、昨年、およそ70発もの弾道ミサイルの発射を繰り返していますし、中国の発射した弾道ミサイルは、日本の排他的経済水域に着弾するということも起きています。また、ロシアは、音の速度よりも高速で滑空飛翔する最新式のミサイルでウクライナを攻撃したと言われています。

パーソナリティ:
 北朝鮮による弾道ミサイル発射のニュースは、昨年何度も耳にしました。日本はそうした弾道ミサイルから日本を防衛するために、イージス艦などの装備を持っているのですよね。

局長:

 はい、そのとおりです、今さん。日本のイージス艦やペトリオット・ミサイル、こういったものは、他国の弾道ミサイルから日本を防衛するための装備品です。
 一方で、攻撃する側もミサイル能力の向上を行っています。一度に大量のミサイルを発射するですとか、音速の何倍もの速さでグライダーのように滑走しながら飛ぶミサイル、こういったものを開発したりしています。
 今、ウクライナでは、ロシアからのミサイル攻撃によって電力インフラが攻撃されたり、民間の建物が攻撃されたりして多くの市民の犠牲者がでています。それに対して、ウクライナも、例えば70発発射されたロシアのミサイルを60発撃ち落とした、というように迎撃をしているんですけれども、しかし、それでも迎撃しきれない10発によって大きな被害が出てしまっています。
 反撃能力を持つことによって日本に対する攻撃を思いとどまらせる抑止力、日本を攻撃できるとは相手に思わせないような抑止力を持てるのではないか、と私たちは考えています。

香事務官:
 今回お時間の都合もありまして、すべてをお伝えすることはできませんでした。
 防衛3文書の概要について、より詳しい資料が防衛省ホームページに掲載されておりますので、ラジオをお聞きの皆様にも、ぜひご覧いただけきたいと思っております。

パーソナリティ:
 昨年政府で決定した防衛3文書には、今の国際情勢を踏まえて、日本の防衛力を強化するためのさまざまな内容が盛り込まれているのですね。  
 本日は、防衛3文書について、東北防衛局の市川局長と香高さんにお話をお伺いしました。ありがとうございました。

局長・香事務官:
 はい、ありがとうございました。


パーソナリティー:

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