厚木飛行場の第一種区域等の見直しについて

厚木飛行場の第一種区域等の見直しについて

厚木飛行場周辺の住宅防音工事の対象区域(第一種区域=航空機騒音の影響の範囲)は、前回の指定告示(昭和61年9月10日)から約20年が経過しています。
その間、航空機の騒音状況に変化がみられることなどから、平成18年1月17日、航空機騒音の実態に即した新たな第一種区域等を告示しました。
今回の告示に当たり、航空機騒音の影響の範囲を把握するため、平成15年度及び16年度に実施した航空機騒音度調査の結果を基に、第一種区域等の見直し案を作成し、関係地方公共団体に意見聴取を行いました。

第一種区域等見直しの背景

 厚木飛行場における住宅防音工事の対象区域(第一種区域)については、最終の指定告示(昭和61年9月)から約20年が経過し、その間、騒音状況に変化が見られ、また、平成13年度までに防音工事の希望者に対する防音工事が100%完了しています。
具体的な騒音状況の変化としては、同飛行場で実施しているNLPについては、平成5年度から硫黄島訓練施設が米軍に提供されたため、現在では米空母の艦載機によるNLPの大部分が硫黄島において実施されるようになり、NLPによる騒音の影響は昭和60年度当時に比べ少なくなっています。
 一方、同飛行場では、日常的に多数の航空機の離発着が行われており、当局が同飛行場周辺で実施している自動騒音測定装置による騒音測定結果によると、町田市原町田(滑走路北端から北側へ約9㎞の地点)や藤沢市大庭(滑走路南端から南側へ約9㎞の地点)では昭和60年度当時に比べ、航空機騒音のうるささを表す単位であるW値が増加し、飛行場の南北地域で騒音状況が悪化している傾向にあります。
 また、平成14年7月の、防衛施設庁長官(当時)の私的懇談会である「飛行場周辺における環境整備の在り方に関する懇談会」において、「真に騒音等の影響を受けている住民に対して限られた財源を効果的に支出する観点から、深刻な騒音等の影響を被っている区域を見極める必要があり、改めて計画的に全国の飛行場施設の騒音度を調査し、区域の見直しを図ることが適切な時期が到来している。」旨の提言を受けました。
 このような背景を踏まえ、航空機騒音の影響の範囲を把握するため、平成15年度及び16年度に実施した航空機騒音度調査の結果を基に、第一種区域等の見直し案を作成し、関係地方公共団体に意見聴取を行いました。

航空機騒音度調査

 航空機騒音度調査とは、第一種区域の指定の基となる航空機騒音コンター(WECPNLの等値線、以下「騒音コンター」といいます。)を求めるために行う調査です。  騒音コンターは、現地調査などで取得したデータを整理・解析の上、次の項目のデータを作成し、それらを総合して作成します。

航空機騒音度調査

1 必要なデータ

①航空機騒音データ

受音点から航空機までの距離と騒音値(単位:dB(A)[デシベル])との関係、受音点から航空機までの距離と騒音の継続時間の関係を表すデータです。

②飛行経路データ

航空機の機種別、飛行方向別、飛行方法(離陸や着陸など)別の標準飛行経路(離陸、着陸、旋回などの飛行する経路)を座標化したものです。

③飛行回数データ

1年間の飛行実績を騒音発生時間帯に応じた重み付けを行って、1日の標準的な飛行回数を求め、航空機の機種別、飛行方向別、飛行方法別に分類したものです。

2 調査の内容

①飛行実績調査

航空機の機種別、飛行方向別、飛行方法別の飛行実績を取得し、1日の標準的な飛行回数を作成します。

②飛行経路調査

現地の測定点において、飛行位置(平面位置、高度)を確認し、また、管制レーダー記録などの資料を収集し、飛行経路データを作成します。

③騒音レベル調査

現地の測定地点において、航空機騒音のピークレベル及び継続時間などを測定し、航空機までの距離と騒音レベル及び騒音の継続時間の関係を表す基礎データを作成します。

厚木飛行場周辺で実施した航空機騒音度調査の概要

航空機騒音度調査については、財団法人 防衛施設周辺整備協会に委託し、外部の有識者から構成される検討委員会からの提言を受けた手法により実施しました。

○調査対象地域

厚木飛行場周辺16か所に設置している航空機騒音自動測定装置(24時間常時測定)により得られた騒音の状況を考慮して、滑走路を中心としてその延長方向に約32km、垂直方向に約6kmの範囲内において、騒音測定及び飛行経路の調査に支障のない地点を選び現地調査の測定点81点(PDF形式)を置きました。

○調査対象の主な機種

調査対象の主な機種は、厚木飛行場を離着陸するF/A-18C、F/A-18E/F、EA-6B、E-2C、P-3C、YS-11、SH-60などです。

○現地調査の時期

次のとおり4回行いました。
 ①平成15年10月
  飛行経路調査、基礎データ調査、騒音レベル調査
 ②平成16年1月
  飛行経路調査、基礎データ調査、騒音レベル調査
 ③平成16年2月
  騒音レベル調査
 ④平成16年12月
  飛行経路調査、基礎データ調査、騒音レベル調査

○飛行回数調査の期間

平成15年4月から平成16年3月までの1年間の飛行実績を基に1日の標準的な飛行回数(時間帯別の重み付け後の回数)を算出しました。

航空機騒音度調査結果の概要

現行の第一種区域の指定の基となった昭和60年度調査に比べて騒音の影響範囲は、ジェット機の南北方向の離陸及び着陸の回数が増加したこと、ジェット機のNLPが硫黄島へ移転したことに伴い西側へ旋回する回数が減少したことから、飛行場の南北に騒音の影響範囲が拡大し、西側の騒音の影響範囲が縮小している傾向が見られました。なお、東側の騒音の影響範囲は、概ね現状のままでした。