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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

4 日米間の政策協議

1 各種の政策協議

日米両国は、首脳・閣僚レベルをはじめ様々なレベルで緊密に連携し、二国間のみならず、インド太平洋地域をはじめとする国際社会全体の平和と安定及び繁栄のために、多岐にわたる分野で協力関係を不断に強化・拡大させてきた。

日米間の安全保障に関する政策協議は、通常の外交ルートによるもののほか、日米安全保障協議委員会(「2+2」)、日米安全保障高級事務レベル協議、防衛協力小委員会など、防衛・外務の関係者などにより、各種のレベルで緊密に行われている。中でも、防衛・外務の閣僚級協議の枠組みである日米安全保障協議委員会(「2+2」)は、政策協議の代表的なものであり、安全保障分野における日米協力にかかわる問題を検討するための重要な協議機関として機能している。

また、防衛省としては、防衛大臣と米国防長官との間で日米防衛相会談を適宜行い、両国の防衛政策や防衛協力について協議している。また、防衛副大臣と米国防副長官との間や、事務次官、統幕長、防衛審議官、陸・海・空幕長をはじめとする実務レベルにおいても、米国防省などとの間で随時協議や必要な情報の交換などを行っている。

このように、あらゆる機会とレベルを通じ情報や認識を日米間で共有することは、日米間の連携をより強化・緊密化するものであり、日米安保体制の信頼性の向上に資するものである。このため、防衛省としても主体的・積極的に取り組んでいる。

フェーガン米沿岸警備隊太平洋地区司令官の表敬を受ける高橋事務次官(19(平成31)年2月)

フェーガン米沿岸警備隊太平洋地区司令官の表敬を受ける高橋事務次官
(19(平成31)年2月)

ハワイにおいてデービッドソン米インド太平洋軍司令官と意見交換する山崎統幕長(19(平成31)年4月)

ハワイにおいてデービッドソン米インド太平洋軍司令官と
意見交換する山崎統幕長(19(平成31)年4月)

参照資料25(日米協議(閣僚級)の実績(16(平成28)年以降))
図表III-2-1-5(日米安全保障問題に関する日米両国政府の関係者間の主な政策協議)

図表III-2-1-5 日米安全保障問題に関する日米両国政府の関係者間の主な政策協議

2 最近行われた主な日米会談など
(1)日米首脳会談(18(平成30)年9月26日)(安全保障部分)

安倍内閣総理大臣とトランプ大統領は、米国で行われた日米首脳会談において、18(平成30)年9月23日に行われた夕食会での首脳間の議論を踏まえつつ、直近の南北、米韓及び日韓首脳会談を受けて、北朝鮮問題に関し今後の方針を改めて綿密にすり合わせた。そのうえで、両首脳は、関連安保理決議の完全な履行を確保するとの共通の目標を確認し、引き続き、日米、日米韓三か国で緊密に連携していくことを再確認した。また、拉致問題の解決に向けて、日米で引き続き協力していくことで改めて一致した。

両首脳は、自由で開かれたインド太平洋の維持・促進に向けた共通のビジョンを推進するために、第三国で実施している具体的な協力を賞賛し、インド太平洋地域における様々な分野での協力を一層強化するとの強い決意を再確認した。

(2)日米防衛相会談(18(平成30)年10月19日)

岩屋防衛大臣とマティス国防長官(当時)は、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の機会に日米防衛相会談を実施した。

ア 自由で開かれたインド太平洋

両閣僚は、18(平成30)年8月の小野寺防衛大臣(当時)のインド・スリランカ訪問及び同年9月に初めて開催された米印「2+2」を踏まえ意見交換を行い、自由で開かれたインド太平洋の重要性についてあらためて認識を共有するとともに、日米や多様なパートナーと協力していくことの重要性を確認した。

この観点から、両閣僚は、ADMMプラスの枠組みによる域内の多国間安全保障協力・対話の発展を歓迎し、法の支配、航行の自由などの基本的原則の定着や能力構築支援などの平和と安定のための取組において、関係国との協力を強化していくことで一致した。

イ 地域情勢など

両閣僚は、中国が東シナ海・南シナ海で力を背景とした一方的な現状変更の試みを続けていることを踏まえ、東シナ海の平和と安定のため日米が協力していくことを確認した。また、南シナ海への日米の関与が重要であることを確認した。

両閣僚は、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄に向け、引き続き、国連安保理決議の完全な履行を求めていくことを確認した。そのうえで、両閣僚は、安保理決議の実効性を確保する取組の一環として、北朝鮮によるいわゆる「瀬取り」に対し、関係国との連携した取組が重要であることを確認するとともに、9月以降、豪州、ニュージーランド及びカナダの参加を得て警戒監視活動が実施されていることを歓迎し、引き続き日米が有志国と連携して取り組むことで一致した。また、両閣僚は、在韓米軍が地域を安定化させるものであり、在韓米軍の変更は何ら計画されていないことを確認した。両閣僚は、日米共同訓練の着実な実施をはじめ、同盟の抑止力・対処力強化のため取り組んでいくことで一致した。

ウ 防衛計画の大綱など

岩屋防衛大臣から、防衛計画の大綱の見直しや次期中期防策定の検討状況を説明し、両閣僚は、引き続き緊密に情報交換していくことで一致した。

両閣僚は、我が国の米国製装備品の導入について、FMSに関わる諸課題の改善などに関し引き続き協力して取り組んでいくことを確認した。

エ 在日米軍

両閣僚は、普天間飛行場の辺野古崎沖への移設が、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを改めて確認した。両閣僚は、米軍再編計画の着実な進展のため、日米で緊密に協力していくことで一致した。

岩屋防衛大臣から、米軍の安全な運用の確保や地元の理解を得る取組に向けた協力を要請した。

(3)日米首脳会談(18(平成30)年11月30日)(安全保障部分)

安倍内閣総理大臣は、G20サミット出席のため訪問したアルゼンチンにおいて、トランプ大統領との間で日米首脳会談を実施した。

両首脳は、首脳間の強力な信頼関係の下、日米同盟がかつてなく強固であるとの認識を改めて確認するとともに、引き続き同盟の強化に努めていくことで一致した。

また、両首脳は、北朝鮮問題に関し、方針の綿密なすり合わせを行い、日米、日米韓3か国で引き続き緊密に連携していくことを確認するとともに、朝鮮半島の完全な非核化に向け、引き続き安保理決議の完全な履行が必要との認識で一致した。

さらに、安保理決議が禁止する「瀬取り」への対処においても、引き続き緊密に協力していくことを確認した。

安倍内閣総理大臣から先月の訪中について説明し、両首脳は、中国の建設的な役割を促していくにあたって日米両国が緊密に連携していくことが重要であるとの認識で一致した。

(4)岩屋防衛大臣とシャナハン米国防長官代行との会談(19(平成31)年1月16日)

岩屋防衛大臣とシャナハン国防長官代行(当時)は、米国防省において会談を実施した。

ア 日米防衛協力

双方は、昨年12月に策定された新防衛大綱及び新中期防を踏まえ意見交換を行った。この際、シャナハン長官代行は、新防衛大綱及び新中期防を支持するとともに、日本が新防衛大綱及び新中期防により、防衛体制を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていく強い決意を示したことを歓迎した。

双方は、現在の安全保障環境について、国家間の競争が顕在化していること、また、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における技術優位の重要性が高まっているとの認識を共有した。

また、双方は、新防衛大綱及び新中期防に基づき双方が行う取組において緊密に連携すること、また、日米ガイドラインの下、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に取り組むこと、さらには、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえ、他国とも連携しながら日米が基軸となって、望ましい安全保障環境の創出に取り組むことで一致するとともに、下記の各点を含め、幅広い分野における協力を強化・拡大させていくことを確認した。

○宇宙・サイバー・電磁波といった「新たな領域」における日米協力を推進していくこと。米国は、日本のシュリーバー演習への初の参加を歓迎

○インド太平洋地域における日米両国のプレゼンスを高めることも勘案し、共同訓練、能力構築支援などの分野において緊密に連携していくこと。

○自衛隊による米軍の警護や、米軍への物品・役務の提供など、平和安全法制及びガイドラインの下での運用面での日米協力が進捗していることを歓迎し、より一層推進していくこと。

○FMSに関わる諸課題の改善などが進捗していることを歓迎しつつ、FMS合理化に引き続き取り組むこと。価格の透明性確保や精算遅延の改善、複数年度調達の実現・促進に係る取組の強化についての協力

○イージス・アショア、E-2D、F-35を始めとする高性能な米国製装備品の導入について、引き続き導入コストの管理を含め、円滑かつ速やかに日本側が導入できるよう協力すること。

○日米共同研究・開発の推進を含め、防衛装備・技術協力を強化していくこと。

イ 地域情勢など

双方は、直近の北朝鮮問題を巡る状況を踏まえ意見交換を行い、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄に向け、引き続き、国連安保理決議の完全な履行を求めていくことを確認した。双方は、北朝鮮による「瀬取り」に対し、引き続き日米が有志国と連携して取り組むことで一致した。また、双方は、日米同盟と米韓同盟に基づく抑止力は地域の安全保障に不可欠との認識を共有しつつ日米共同訓練を着実に実施することで一致した。

双方は、東シナ海・南シナ海について、力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとともに、法の支配、航行の自由等の定着に向けた協力の重要性を確認した。また、その文脈で、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用範囲であること、同諸島に対する日本の施政を損おうとするいかなる一方的な行動にも反対することを改めて確認し、東シナ海の平和と安定のため日米が協力していくことを確認した。

ウ 在日米軍

双方は、普天間飛行場代替施設の建設工事に係る最近の進展を確認し、普天間飛行場の辺野古崎沖への移設が、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを確認するとともに、岩屋防衛大臣から、沖縄をはじめとする地元の負担軽減に向けた協力を要請し、双方は、引き続き、米軍再編計画の着実な進展や訓練移転の着実な実施のため、日米で緊密に協力していくことで一致した。双方は、米軍の安全な運用の確保の重要性を確認した。

(5)「2+2」(19(平成31)年4月19日)

19(平成31)年4月19日、米国ワシントンDCにおいて、日米「2+2」が開催され、日本側からは、河野外務大臣及び岩屋防衛大臣が、米側からは、ポンペオ国務長官及びシャナハン国防長官代行(当時)がそれぞれ出席した。概要は以下のとおりである。

日米安全保障協議委員会(「2+2」)(19(平成31)年4月)

日米安全保障協議委員会(「2+2」)(19(平成31)年4月)

ア 総論

一層複雑さを増す安全保障環境を踏まえ、率直な意見交換を行い、大きく以下の3点を確認した。

日米同盟が、インド太平洋地域の平和、安全及び繁栄の礎であることで一致するとともに、日米両国が共に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に取り組むことで一致した。このために、共同訓練や寄港などを通じ、地域のパートナー国とも連携しつつ、日米が共同で地域におけるプレゼンスを高めていくことを確認した。

わが国の新たな防衛大綱を含む日米両国の戦略的政策文書の整合性を歓迎し、宇宙、サイバー及び電磁波といった新たな領域における能力向上を含む領域横断(クロス・ドメイン)作戦のための協力を強化していくことで一致した。

安保理決議に従って、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での放棄を実現すべく取り組むことで一致するとともに、「瀬取り」への対処を含む国連安保理決議の完全な履行に関し、他のパートナー国とも連携して日米で引き続き協力していくことを確認した。また、地域における米軍の態勢が強固であり続けることを再確認するとともに、地域における抑止力や安全の確保について対話を深めることで一致した。また、今後も日米、日米韓で緊密に連携していくことで一致した。さらに、北朝鮮に対し、日本人拉致問題を即時に解決するよう求めることで一致した。

イ 地域の安全保障環境

インド太平洋地域の安全保障環境について率直な意見交換を行い、東シナ海及び南シナ海における現状を変更しようとする一方的かつ威圧的な試みに関し、深刻な懸念及び強い反対の意を表明した。また、東シナ海の平和と安定の確保のために協働する決意を再確認するとともに、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されること及び両国は同諸島に対する日本の施政を損おうとするいかなる一方的な行動にも反対することを再確認した。

ウ 二国間の安全保障・防衛協力の強化

領域横断(クロス・ドメイン)作戦のための協力の重要性を強調した。宇宙関連能力に係る協力を深めることを確認し、日本によるディープ・スペース・レーダーの開発や日本の準天頂衛星への米国の宇宙状況監視(SSA:Space Situational Awareness)ペイロードの搭載を通じたSSA能力向上のための協力を促進していくことで一致した。また、サイバー分野における協力を強化していくことで一致し、国際法がサイバー空間に適用されるとともに、一定の場合には、サイバー攻撃が日米安保条約第5条にいう武力攻撃に当たり得ることを確認した。

日米同盟の抑止力・対処力を高めるため、効率的かつ効果的な防衛力整備を進めることが重要であることを確認し、高性能の装備品の日本への導入を進めるとともに、FMS(Foreign Military Sales)調達の合理化をさらに進めるために協力していくことで一致した。

情報保全の重要性を確認するとともに、任務保証に必要となる、防衛産業基盤、政府ネットワーク及び重要インフラに対する脅威に留意しつつ、一層のサプライチェーン・セキュリティの必要性につき一致した。

日米同盟の即応性を高めるため、相互のアセット防護、後方支援、共同ISRといった運用面における協力をさらに深化させることで一致した。

エ 在日米軍

日米同盟の抑止力を維持しつつ、沖縄をはじめとする地元の負担軽減を図る観点から、在日米軍再編を着実に推進することで一致した。特に、普天間飛行場代替施設(FRF)の建設にかかる意義のある進展を歓迎しつつ、普天間飛行場の固定化を避けるためには、辺野古への移設が唯一の解決策であることを改めて確認した。河野外務大臣から、こうした米軍再編を着実に実施しつつ、米軍の運用や地位協定をめぐる課題について、一つ一つ前に進めることを含め、地域住民の負担を軽減していくことが重要である旨を米側に伝達した。岩屋防衛大臣からは、外来機の騒音を含め、米軍の運用が地元に与える影響が最小限となるよう米側に要請した。また、両大臣から、事件・事故の防止についても米側に要請した。

参照資料26(日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表(仮訳)(平成31年4月19日))

(6)岩屋防衛大臣とシャナハン米国防長官代行との会談(19(平成31)年4月19日)

岩屋防衛大臣とシャナハン国防長官代行(当時)は、米国防省において会談を実施した。

ア 総論

双方は、日米「2+2」が成功裏に開催されたことを歓迎するとともに、今後とも、日米両国の国防当局間で緊密に連携して日米同盟強化に取り組むことを確認した。

イ 北朝鮮

双方は、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄に向け、引き続き、国連安保理決議の完全な履行を確保することの重要性を確認した。また、双方は、北朝鮮による「瀬取り」に対し、引き続き日米が有志国と連携して取り組むことで一致した。双方は、日米同盟と米韓同盟に基づく抑止力の重要性について確認するとともに、日米共同訓練を着実に実施することで一致した。

ウ 日米防衛協力

双方は、領域横断作戦のための日米協力を推進することで一致し、宇宙・サイバー・電磁波領域における協力をより一層進展させることを確認した。

双方は、FMS調達の合理化に引き続き取り組むことを確認するとともに、日米共同研究・開発を推進し、防衛装備・技術協力を強化していくことで一致した。

エ 在日米軍

双方は、米軍再編計画の着実な進展のため、日米で緊密に協力していくことで一致した。

(7)日米首脳会談(19(平成31)年4月26日)(安全保障部分)

安倍内閣総理大臣は、ワシントンDCでトランプ大統領と日米首脳会談を行った。

両首脳は、第2回米朝首脳会談や、露朝首脳会談を含む最新の北朝鮮情勢を踏まえ、北朝鮮問題に関して方針の綿密なすり合わせを行い、朝鮮半島の完全な非核化に向け日米、日米韓3か国で引き続き緊密に連携していくことを確認した。

また、安倍内閣総理大臣から、第2回米朝首脳会談の際にトランプ大統領から金正恩委員長に対し、2度にわたり拉致問題について提起したことに改めて謝意を伝達し、両首脳は、引き続き拉致問題の早期解決に向けて緊密に連携していくことを確認した。トランプ大統領からは、今後も全面的に協力するという力強い言葉があった。

両首脳は、19日に開催された日米安全保障協議委員会(「2+2」)の成果を歓迎するとともに、引き続き日米同盟の抑止力、対処力を強化していくことで一致した。また、両首脳は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を一層強化していくとの意思を再確認した。

加えて、両首脳は、自由で開かれたインド太平洋を促進するための公正なルールに基づく経済発展を歓迎した。

安倍内閣総理大臣から、来月、皇太子殿下が御即位されてから初の国賓としてトランプ大統領夫妻をお迎えできることは、日米同盟の揺るぎない絆を象徴するものであり、この訪日を通じ広く内外に日米同盟が史上かつてなく強固であることを示したい旨の発言があった。これに対し、トランプ大統領からも、日本訪問を楽しみにしている旨の発言があった。両首脳は、引き続きハイレベルでの要人往来を通じ、二国間関係を強化していくことで一致した。

(8)菅内閣官房長官とシャナハン米国防長官代行との会談(19(令和元)年5月9日)

菅内閣官房長官は、米国においてシャナハン国防長官代行(当時)と会談した。

菅内閣官房長官から、米軍施設・区域が集中している沖縄の負担軽減の現状について説明し、双方は、日米同盟の抑止力を維持しつつ、地元の負担を軽減するべく、普天間飛行場の辺野古移設を含め在日米軍再編や負担軽減策を着実に実施していくことを確認した。

また、双方は、北朝鮮情勢について意見交換を行い、安保理決議の完全な履行で一致した。また、菅内閣官房長官から、拉致問題の早期解決に向け、米国政府の協力を要請し、双方は、引き続き緊密に連携していくことを確認した。また、5月4日に続いて本日も北朝鮮が飛翔体を発射したことを踏まえ、引き続き日米の間で、分析・対応を含め、あらゆるレベルで緊密に連携していくことを確認した。

さらに、双方は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて連携していくことも確認した。

(9)菅内閣官房長官とペンス米副大統領との会談(19(令和元)年5月10日)

菅内閣官房長官は、米ホワイトハウスにおいて、ペンス副大統領と会談を行った。

双方は、北朝鮮情勢について意見交換を行い、安保理決議の完全な履行で一致するとともに、菅内閣官房長官から、拉致問題の早期解決に向け、米国政府の協力を要請し、双方は、引き続き緊密に連携していくことを確認した。また、北朝鮮が5月4日の事案に続き、9日に短距離弾道ミサイルを発射したことを踏まえ、引き続き日米の間で、分析・対応を含め、あらゆるレベルで緊密に連携していくことを確認した。

また、菅内閣官房長官から、日米同盟の抑止力を維持しつつ、沖縄を含む地元の負担を軽減するため、在日米軍再編などに係る日本政府の取組について述べ、引き続き連携していくことを確認した。

双方は、先月の安倍内閣総理大臣訪米に引き続き、今月下旬のトランプ大統領の国賓訪日も成功させ、広く内外に日米同盟の史上かつてない強固さを示すべく、日米両政府で緊密に連携していくことを確認した。また、双方は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携についても確認した。

(10)日米首脳会談(19(令和元)年5月27日)(安全保障部分)

安倍内閣総理大臣は、国賓として訪日中のトランプ大統領と日米首脳会談を行った。

ア 日米関係

安倍内閣総理大臣から、令和の時代における初の国賓として大統領夫妻をお迎えできたことを心から歓迎する旨を述べ、トランプ大統領から、新たな時代の初の外国賓客として天皇皇后両陛下にお目にかかれたことは光栄である、日本国民の歓迎に感謝する旨を述べた。

両首脳は、平和安全法制をはじめとする近年の同盟強化に資する取組及び首脳間の強固な個人的関係により、日米同盟は史上かつてなく強固であり、今や日米同盟は世界で最も緊密な同盟であるとの認識で一致した。その上で、両首脳は、新たな時代においても、日米の揺るぎない絆を一層強化し、真のグローバル・パートナーとして、地域・国際社会の平和と繁栄を主導していくとの決意を確認した。

イ 北朝鮮

両首脳は、最新の北朝鮮情勢を踏まえ、十分な時間をかけて方針の綿密なすり合わせを行った。両首脳は国連安保理決議の完全な履行の重要性を含め、今回も、日米の立場が完全に一致していることを改めて確認した。

安倍内閣総理大臣から、前回のトランプ大統領の訪日(平成29年11月)に引き続き、トランプ大統領に拉致被害者の御家族と面会いただくことに謝意を述べた上で、拉致問題の解決に向け、自らが金正恩委員長と直接向き合わなければならないとの決意を述べた。また、安倍内閣総理大臣から、条件を付けずに金正恩委員長と会って率直に虚心坦懐に話をしたい旨述べた。これに対し、トランプ大統領から、安倍内閣総理大臣の決意を全面的に支持する旨の発言があった。

ウ 中国

両首脳は安全保障及び経済分野も含め、中国政府と建設的な対話を継続することの重要性を確認した。

エ 地域情勢

両首脳は、地域情勢についても議論を行い、日米同盟を基軸とした米国の地域におけるプレゼンス、米国の地域に対する関与とコミットメントの重要性を再確認した。両首脳は、東シナ海及び南シナ海の現状について懸念を表明し、引き続き日米で連携していくことを再確認した。 両首脳は、日米印、日米豪、日米豪印を含め、地域における同盟国・友好国のネットワークを引き続き強化・拡大していくことで一致した。

オ 自由で開かれたインド太平洋

両首脳は、エネルギー、デジタル及びインフラ分野を含め、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日米協力が着実に進展していることを歓迎し、今後とも、日米で手を携え、この日米共通のビジョンの実現に向けた協力を力強く推進していくとの意思を再確認した。

カ 宇宙

両首脳は、安全保障・探査・産業の各面での宇宙協力の強化を確認した。また、月探査に関する協力について議論を加速することで一致した。

(11)安倍内閣総理大臣夫妻とトランプ米大統領夫妻による護衛艦「かが」訪問(19(令和元)年5月28日)

安倍内閣総理大臣夫妻は、国賓として訪日中のトランプ大統領夫妻と共に海自横須賀地区に停泊中の護衛艦「かが」を訪問した3

安倍内閣総理大臣とトランプ米大統領は、自衛隊員及び米軍人に対して激励を行い、日米同盟の強固な絆及び日米が緊密に協力してインド太平洋地域の平和と繁栄に貢献していくことを確認した。

日米首脳による護衛艦「かが」訪問(19(令和元)年5月)[内閣広報室提供]

日米首脳による護衛艦「かが」訪問(19(令和元)年5月)
[内閣広報室提供]

(12)岩屋防衛大臣とシャナハン米国防長官代行との会談(19(令和元)年6月4日)

岩屋防衛大臣とシャナハン国防長官代行(当時)は、防衛省において会談を行った。

1 日米防衛協力

岩屋防衛大臣は、今般、米国が発表した「インド太平洋戦略レポート」を歓迎し、双方は、これに記載された取組も含め、両国の戦略文書に基づき双方が行う取組について、日米「2+2」会合で確認された方針に沿って緊密に連携することを確認した。

双方は、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域について、日米連携の深化をスピード感をもって進める必要性について確認し、相互運用性の向上を通じた運用協力の強化、各種演習を通じた2国間連携要領の検証を含め、領域横断作戦のための日米協力を推進していくことを確認した。

2 自由で開かれたインド太平洋

双方は、自由で開かれたインド太平洋の重要性についてあらためて認識を共有した。岩屋防衛大臣は、米国の「インド太平洋戦略レポート」で示された、自由で開かれたインド太平洋を維持・強化するための米国の取組との連携を強化したい旨述べ、双方は、多様なパートナーと協力していくことの重要性を確認した。

3 地域情勢など

双方は、先のシャングリラ会合での議論などを踏まえて地域情勢などについて議論を行った。特に、北朝鮮情勢については、双方は、直近の北朝鮮問題を巡る状況を踏まえ意見交換を行い、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄に向け、引き続き、国連安保理決議の完全な履行を確保することの重要性を確認しつつ、今後も日米、日米韓で緊密に連携していくことを確認した。

4 在日米軍

岩屋防衛大臣から、沖縄をはじめとする地元の負担軽減に向けた協力を要請し、双方は、引き続き、普天間飛行場の辺野古移設を含めた米軍再編計画の着実な進展のため、日米で緊密に協力していくことで一致した。岩屋防衛大臣から、外来機の騒音を含め、米軍の運用が地元に与える影響が最小限となるよう要請した。双方は、米軍の安全な運用の確保の重要性を確認した。

(13)日米首脳会談(19(令和元)年6月28日)(安全保障部分)

安倍内閣総理大臣は、G20大阪サミット出席のため訪日中のトランプ大統領と日米首脳会談を行った。

両首脳は、4月の安倍内閣総理大臣訪米、5月のトランプ大統領夫妻の国賓としての訪日に加え、改めてトランプ大統領が訪日するなど、短期間にこれだけ頻繁に首脳の往来があることは、日米同盟が史上かつてなく強固である証であるとの認識を共有し、揺るぎない日米同盟を今後とも一層強化していくことで一致した。

さらに両首脳は、北朝鮮をめぐる拉致、核・ミサイルといった諸懸案の解決に向け、引き続き緊密に連携していくことを確認した。加えて、両首脳は、中東を含む地域情勢に関し意見交換を行い、日米の緊密な連携を確認した。

(14)日米防衛相会談(19(令和元)年8月7日)

岩屋防衛大臣とエスパー国防長官は、防衛省において会談を行った。

日米防衛相会談(19(令和元)年8月)

日米防衛相会談(19(令和元)年8月)

1 地域情勢など

両閣僚は、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄に向け、引き続き、国連安保理決議の完全な履行を確保することの重要性を確認した。両閣僚は、北朝鮮による「瀬取り」に対し、引き続き日米が関係国と連携して取り組むことで一致した。また、両閣僚は、在韓米軍を含む地域の米軍の抑止力の重要性を確認した。

両閣僚は、東シナ海・南シナ海について、力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとともに、法の支配、航行の自由などの定着に向けた協力の重要性を確認した。両閣僚は、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用範囲であること、同諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することを改めて確認し、東シナ海の平和と安定のため日米が協力していくことを確認した。

2 日米防衛協力

両閣僚は、両国の戦略文書に基づき双方が行う取組について緊密に連携すること、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に取り組むことで一致した。また、両閣僚は、自由で開かれたインド太平洋を維持・強化するため、日米が基軸となって、共同訓練や能力構築支援の実施を含め、多様なパートナーと協力していくことの重要性を確認した。両閣僚は、FMS調達の合理化に引き続き取り組むことを確認した。

3 在日米軍

両閣僚は、普天間飛行場の辺野古への移設が、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを確認した。岩屋防衛大臣から、沖縄をはじめとする地元の負担軽減に向けた協力を要請し、両閣僚は、引き続き、米軍再編計画の着実な進展のため、日米で緊密に協力していくことで一致した。岩屋防衛大臣から、米軍の運用が地元に与える影響が最小限となるよう要請し、米軍の安全な運用の確保の重要性を確認した。

3 日米両国の首脳が揃って、自衛隊、米軍を激励するのは、史上初