防衛大臣指示に関する会議における防衛大臣冒頭発言

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本日は、幹部の皆さんにお集まりいただきました。先日、海上自衛隊で大変遺憾なハラスメントが発生していたとの報告を受けました。ハラスメント自体もあってはならないものですが、報告を受けた上司は、被害隊員の心情を全く斟酌しない、寄り添わないような行動をし、言語道断な対応を行っておりました。そのことは、国会でも取り上げられました。

本年8月に浜田前防衛大臣がハラスメント防止に関するメッセージを全隊員に向けて出され、私も9月に着任をし、着任訓示に加え、9回の部隊視察における訓示においても、その度に、隊員に向かって一人一人に私の思いを伝え、ハラスメントは一切許容しない環境の構築をしていきますと、隊員に直接向かって目を合わせて私は話をしてきたつもりであります。

今回の報告を受けて、改めてハラスメントを許容しない環境の構築に向けたその思いを、今日は皆様方にお伝えしたいと考えて、この会議を行いました。

ハラスメントは、基本的人権の侵害であり、憲法で保障されている基本的人権、これは尊重しなければいけないということです。防衛省・自衛隊が国民の負託に応え、我が国の防衛を全うするに当たっては、ハラスメント対策を通じて、健全な組織風土を築き、隊員一人一人の心身の健康、体と心の健康を確保することが不可欠です。そして、ハラスメントを防ぐためには、隊員一人一人の意識が何より重要です。

特に、幕僚長をはじめ、組織の監督者や指揮官にあっては、そのハラスメント対策に係るリーダーシップの重要性、すなわち指導力や統率力の発揮がハラスメントの防止に極めて重要であることについて、明確な自覚が求められています。部隊行動を基本とする防衛省・自衛隊において、ハラスメントは、隊員相互の信頼を失わせ、その結果として精強性を揺るがす、決してあってはならないものであり、ハラスメントを一切許容しない環境は、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化のために必ず構築しなければなりません。ハラスメントを起こさせない強い決意とリーダーシップでハラスメント防止対策に取り組んで頂きたい。

また、日頃から国内外の厳しい現場で働く隊員と直接接する各級指揮官等の職務は、ハラスメント防止に現場で取り組むのが自らであることを明確に意識すると同時に、ハラスメントが発生した場合には、発生した後の対処が大事であり、発生した場合には、その被害に遭われた隊員に、まずは寄り添うということを第一に考え、速やかな対応をして頂きたい。

被害に遭ってしまった隊員は、躊躇することなく直属の上司や通報窓口をそれぞれの部隊に構築してそこに申し出てもらい、被害にあっていない隊員であっても被害を目撃した隊員は被害隊員に代わって通報できる環境が必要だと思います。そのような隊員一人一人に向けたメッセージを今後発出したいと思います。

一つの新たな取り組みとして、来年1月を、防衛省・自衛隊におけるハラスメント防止月間とします。それまでの間においても、ハラスメント防止のための取組を進めていただくことは当然ですが、この防止月間で何をしていくか早急に私も考えますが、この防止月間を通じて各級指揮官等はハラスメント防止への姿勢を改めて打ち出すとともに、ハラスメント防止教育をこの1か月間に集中的に行い、12月の人事異動で着任してきた部隊指揮官や隊員にハラスメント防止教育を行うなど、ハラスメントを一切許容しない環境作りに努めてもらいます。

最後に、防衛省・自衛隊は、ハラスメントが一切許容されない組織となったと、その結果、安心して働ける職場になったと、隊員のみならず、国民からも認めてもらえる組織となるよう、しっかりと取り組んで頂くよう、改めて今日は皆さんにお願いをいたします。