令和2年版防衛白書感想文コンクール

令和2年版防衛白書感想文コンクールへは令和2年12月31日をもって応募を締め切りました。

多数のご応募ありがとうございました。

応募いただいた全ての感想文は、今後の防衛白書作成のための貴重なご意見とさせていただきます。

防衛副大臣を審査委員長とする審査委員会による厳正な審査の結果、以下の作品を受賞作品として選定いたしました。

なお、受賞者の表彰につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴い、郵送をもって代えさせていただきます。

何卒、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

題名をクリックすると作品を閲覧できます。

受賞作品

防衛白書を読んで
最優秀賞 佐藤 らん

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私は自衛隊に関する情報を探しているときに偶然防衛白書の存在を知りました。興味を惹かれた私はさっそく書店に行き、白書を手に取って中を見てみました。「分かりやすい。」これが防衛白書への最初の感想でした。カラーで読みやすく、表紙も親しみやすいデザインだったので、難しい本だろうと身構えていた私でも思わず読み入ってしまいました。特に冒頭のダイジェストでは分厚い防衛白書の全体像を掴み、最新の活動内容を知ることができました。

ここからは、私が防衛白書を読み終えた中で最も印象に残った二つのポイントとより防衛白書を活用するためのアイデアを紹介したいと思います。

一つ目は、自衛隊員数と無人化・省人化についてです。近年の急速な少子高齢化や人口減少によって自衛官の募集環境が厳しい状況に置かれていることが分かりました。しかし、第一部の「概観」にも取り上げられている通り、宇宙・サイバー・電磁波やAIといった脅威の多様化、領域への他国の侵入の深刻化により自衛隊の重要度は高まっています。防衛白書には人的基盤の強化のために福利厚生の充実や女性自衛官の活躍推進など様々な対策が実行されていることが書かれていました。その中で私は、人員を増やすのではなく、今いる隊員を最大限活かす無人化・省人化への取り組みに着目しました。重要度・対費用効果の低い装備を廃止し、AIを搭載した機器を使用すれば新たな脅威に対応する人員と予算を増やすことができます。さらに無人装備品は汚染を受け、人が立ち入れないような地域での活動、広域における洋上監視能力の強化を可能にします。採用対象人口の減少が見込まれる中、無人化・省人化への取り組みは増員を目指すだけでは得られないメリットがたくさんあるのではないかと感じました。また、宇宙・サイバーなど、専門性が高く新しい分野や複雑さの増した装備品を扱うにはより深い教育が必要になると思います。防衛環境の変化に伴い、自衛隊員の訓練内容・業務内容がどのように変わっていくのかという情報も知りたいと思いました。

二つ目は、安全保障協力についてです。私は安全保障協力、と言えば日本と相手国とで一対一の支援・協力関係を結ぶことや合同訓練をすることだと思っていました。しかし、防衛省・自衛隊は要請に応じて他国とも協力しながら様々な取り組みを行っていることを知りました。ソマリア沖・アデン湾での海賊対処では、約三十もの国が軍艦などを派遣して共に海上の治安維持や民間船舶の護送にあたっていることが分かりました。派遣を行う国がそれぞれ自国の船舶のみを護送しているだけだと思っていた私は衝撃を受けました。加えてオーストラリアでの大規模森林火災での航空自衛隊の派遣にも興味を持ちました。丁度学校でこの火災について聞いていた私は自衛隊の活動範囲の広さに驚きました。より多くの他の国際的な問題でも多国間での安全保障協力を推し進め、関係国との関係の深化や改善に繋がればいいなと思いました。

私は白書の大量の分量を読んでいくときに前に出てきた語句や説明を見返したく思うときがありました。そのときに、見返したい言葉を含む文章を防衛白書のホームページでキーワード検索で閲覧することが出来たらとても便利だと思います。調べたいものが重要語句であった場合、索引を使うと関連ページが多く、少し参照しにくいと感じました。

さらに、白書に追加してもらいたい内容があります。それは「国民への要請」についてです。防衛白書の内容はどれも「現状はこういった様子なので、これからはこうします。」というような防衛省や自衛隊だけで完結するイメージを与えるものでした。冒頭で防衛白書は国民へ政策への理解を求めるために創刊されたと知りました。それを達成するために、「この方策にはこんなメリットがあるので、ここの点については協力してください。」といった要請の内容を必要な項目に付け足して頂きたいです。読み手を単なる情報の受け手ではなく、意見を持つ側に引き込むことは、国民の一人ひとりが防衛について真剣に考えるきっかけになるのではないでしょうか。

最初は防衛大学校の入試に役立てられる情報を得ようと軽い気持ちで防衛白書を読み始めました。いざ読んで得た知識は時事的で重要で、私達がやがて社会に出て自分の意見を持つときに知っておくべきことばかりでした。中学生・高校生は先の長い人生をどう過ごすかを決める大切な時期です。そんな時、「防衛白書」にたくさんの生徒が出会って防衛について目を向け、将来の選択肢に加える人が増えて欲しい、そう思わせられた一冊でした。

新たな一歩を踏み出して
優秀賞 平野 美樹

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さあ、今年もこの季節がやってきた。どの塾の模試よりも、どの学校の入学試験よりも頭を使う一時なのだ、この一週間は。しかし、実際には今年は去年よりも過酷であった。というのも、今年のクリスマスプレゼントが防衛白書だったのだ。つまり、私は十二月二十五日に本を受け取り、その時点で締め切りまで一週間しかなかった、というわけなのだ。一瞬今年は出さない、という選択肢も頭をよぎったのだが、友人と交わした約束を思い出してしまい、とにかくまずは大急ぎで白書を読むことに努めることとした。

まず防衛白書を読んで感じたことはわかりやすいということだった。私自身がこの一年間成長したということもあるのかもしれないが、その可能性は極めて低いので、昨年版の防衛白書よりもわかりやすく書かれていたのだと思う。また、写真が多く掲載されていたり、現在隊員として国防に従事している人の意見や当時の思いなどを多く掲載したりということが理解をより一層深めたのではないかと思う。そして、何といっても一番興味を引いたのは、特集三の「防衛白書の五十年の歩み」というページだった。私はこのページを見て、最初衝撃を受けた。防衛白書というものを、単なる防衛について書いた本くらいとしか思っていなかったからだ。しかし、このページは防衛白書の変遷を描いており、そして、単なる防衛という目線だけではなく、防衛白書について書くことで、防衛白書に興味をもってもらい、ひいては自衛隊の活動や取り組みについても興味を持ってもらおうという強い思いを私は感じた。

周辺国の軍備の強化や、度重なる領空領海侵犯により、自衛隊も自衛のために装備や体制を強化していかなければならなくなってきている中、他国との二カ国間での会談や諸外国との共同訓練を行うなど、自衛隊はいろいろなことに取り組んできている。そして、今年は新型コロナウイルスの影響を受け、自衛隊は自衛隊中央病院をはじめとする様々な関連病院で新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れ、治療にあたって下さっている。ダイヤモンドプリンセス号での対応から、各地の地域病院の医療サポート、軽症患者の搬送など、様々なことに従事して下さっていることも良く知られている。しかし、防衛白書を読んだことで、自衛隊がどんな風に、そしてどのようなところで活動しているかをより詳しく知ることができた。

最後に、私がこの防衛白書を読んで考えたことは、これから私達国民がする必要のあることについてだ。自衛隊は様々な活動を行っており、その活動は全て日本という国やその国に住む人々、そして世界の安全と平和を守るために行われている。そして、自衛隊はいろいろなプラットフォームを通じて、国民に理解を求めている。つまり、これから私達に必要なことというのは、自衛隊のことを知るために足を踏み出すことだと感じた。防衛白書を読むというのは少しハードルが高いと感じる瞬間もあるが、この気持ちを忘れず、いろいろな自衛隊についてのことをこれからも知っていきたい。そして、自衛隊への感謝も忘れずに過ごしていきたい。

防衛白書を読んで考えたい日本の姿
優秀賞 林 航平

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大学生のころ、なるべく多く外国の姿を生で見ようと思い立ち、アジア、中東、欧州、北中南米など、在学中50か国以上の国と地域を見て歩いた。いつも地域最低価格の一泊数百円程度のホステルを探すいわゆる「バックパッカー」のスタイルでの旅行だが、こういった場所に集まる旅人たちは、世界中から旅をなるべく低コストで、長く、出会いを楽しみながら集まる人々が多かった。その中でそれぞれ母国の話になると、それぞれの国の社会問題や、政治、軍事、国際関係などに対して、多くの外国人がそれぞれ自分の意見を持っており、当時大学生の私は自分がいかに日本の情報に疎いのかを痛感した。特に、兵役を終えて就職するまでのギャップイヤーで旅をする人々はどこか逞しく、母国に誇りを持っているようにも見えた。彼らに出会って、「もっと自分の国のことを知ろう」と旅をするごとに「日本の姿」に興味を持つようになり、私は当時の防衛白書に出会った。

「令和2年版防衛白書」は自衛隊の活躍・活動の実態はもちろんのこと、現在の国際関係の中に置かれている日本の立場や、関係各国の現状や姿勢が記載されており、日々のニュースを深く理解するための用語を調べたり、日本の立場を知るため基礎知識として、非常にわかりやすく、読み易い構成となっている。ダイジェスト版は手に取りやすい構成になっているが、本編は読みごたえがあり、「わかりやすさ」と「専門性」という一見相反しそうな性格の両面を持ち合わせている。「専門性」については、例えば、第Ⅰ部第二章「諸外国の防衛政策など」の第3節の朝鮮半島では、14ページにわたって北朝鮮の核・ミサイル能力に特化した解説が記載されている。他に、中国の状況についても、右肩上がりに増加する国防費を何に投資し、どのような技術や力を手に入れているのか、詳細な記載がある。米国の圧倒的な国防費に対して、追いつけ追い越せと言わんばかりの中国だが、最新鋭ステルス機、無人航空機、無人艦艇、無人潜水艇、国産空母などの開発、増産、能力拡張のみならず、宇宙・サイバー空間への投資も積極的である。わが国の領土・領海を守るうえでも、これらの能力開発の一連の動向は注視しなければならない。軍事力の行使には、能力と意思の二つが揃うことが必要であるが、すでに持つ能力がどの程度のものであるのかを私たちは可能な限り理解し、防衛上必要な準備を行ったうえで、今後の意思の動向を確認することが必要だと考える。

第Ⅲ部第1章「わが国自身の防衛体制」では、日々の自衛隊の活動・訓練を見て取ることができる。防衛体制強化のための活動のみならず、近年の甚大な被害を伴う自然災害には常に自衛隊が対応している。本年も新型コロナウイルス感染症に対する災害派遣での活動は、武漢からの邦人救出から始まり、ダイヤモンドプリンセス号における活動、水際対策強化、市中感染対応など、最前線での活動が目立った。令和元年度の災害派遣は447件。こうした数々の災害派遣を通じて、自衛隊と国民の距離を縮め、最も親近感のある公的機関の一つにもなっているように感じる。この章のVOICEでは、災害派遣に参加した自衛隊員の現場の生の声が取材されており、一人一人が強い使命感と誇りを持って職務の従事していることが見て取れる。これには感謝してもしきれない思いではあるのだが、このような派遣が増えるたびに、本来やるべきであった訓練の時間も失われているのではないか。現在自衛官の募集環境は厳しい状況にあり、隊員の労働環境の改善や働き方改革に向けた様々な取り組みが本防衛白書にも紹介されている。近年の災害派遣は大規模かつ長期化する傾向にあり、支援していただく我々国民も、自衛隊・隊員を理解し、どこまで頼るべきで、どこからは自分たちで動くべきなのか、自治体間との役割分担を考える必要があるのではないか。

国民一人一人が国家の防衛がどのように成り立っているのか現状を理解し、世界各国との関係性を踏まえ国際協調を起点とした政策のあるべき姿を考え、話し合えるよう、防衛白書を読んでいただくことが理想だが、なかなか自らの周りを見渡しても、読んだという人は少ないし、そういった対話をするのは難しい。わが国では国防に関しては、義務教育だけでなく、高等教育でも禁忌とされているようで、なかなか生きる上で触れる機会も少なかったこともあるだろう。自衛隊の運用に関しても、アジアの軍事バランスが大きく変化している今、改めて国民的な議論が必要であると考える。これからの未来を語る礎として、防衛白書が多くの人の手に渡り、あるべき姿を考えるきっかけになることを切に願う。

初めて防衛白書を読んで
特別賞 山村 漠

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令和2年7月のテレビニュース。中国の報道官が「日本の防衛白書は白書ではなく、黒い資料だ。」と、会見しているのが流れていた。私はそれを見て「中国はなんでそんなことを言うのか」と、強い不快感を覚えたのと同時にそもそも防衛白書というものには何が書かれているのか興味を持つきっかけになった。インターネットで防衛白書を調べた結果、一般人でも買えることがわかり、すぐ手に入れた。まず驚いたのは写真と図の多さと、その値段の安さだった。どこのページもフルカラーで読みやすいレイアウト、とても1000円台で買える本とは思えないコストパフォーマンスの高さ。それなのに、「防衛白書を読んだことある」という人に出会ったことがない。これはもっと幅広い世代の人に向けて存在をアピールしないともったいないと思った。

さて、購入のきっかけとなった、防衛白書のことを黒い資料と言った中国についての解説を読んで私は愕然とした。どうせ、どこかの政治家みたいに遺憾とぐらいにしか書かれてないのだろうと思っていたら、人権問題や共産党幹部などの腐敗・汚職の蔓延や経済格差や環境汚染など様々な問題に触れていて想像以上に踏み込んで書かれていた。これらは軍事・防衛とは一見関わりがないように思えたが、その事柄が軍事的な行動にも現れているのだと感じた。その代表が南シナ海における軍事拠点化や尖閣諸島で繰り返される領海侵犯だ。私が特に危機感を覚えたのは、中国海警局と海軍の関係だ。海軍出身の軍人が法執行機関である海警局の主要ポストに就くことを始め、海軍の退役艦が海警局の巡視船になっていること、尖閣諸島において海警局の巡視船が日本の巡視船のすぐそばの距離に迫っていることを鑑みると、「その時」がいつ来てもおかしくないと思った。その時が来ないようにするためインド太平洋地域の国々との協力や情報収集などの活動は白書を読んでよくわかった。

また、白書を読んで特に気になったトピックスとしては、「パプアニューギニアにおける能力構築支援事業」として「軍楽隊育成の技術指導」を行っていることだ。広島に住む私にとって海上自衛隊呉地方隊の方々の活躍は身近に感じることが多い。呉基地での護衛艦の一般公開で、海上自衛隊呉音楽隊の皆さんが演奏されているのを聴いたことがある。音楽隊の任務は「儀式・式典演奏」、「自衛隊員の士気を高めるための演奏」、また私が体験したように「国民との交流のための演奏」だと思っていた。しかし、それらに加えて音楽隊は国際的な防衛協力・交流のツールとしても存在しているという。パプアニューギニアの公立学校では、音楽を教えておらず、ドレミを知らない新人もいたという。中核となる隊員を日本に招く一方、1〜2ヶ月単位で訪問を重ね、楽器の組み立て方から始め、楽譜の読み方、音の出し方を教えたそうだ。インド太平洋地域での存在感を増す目的で始まったそうだが、具体的な能力の向上が見てとれるので相手国のニーズが高く、自衛隊の得意分野を生かせて、長期間関わることで、信頼関係が生まれるのだろうと想像した。私自身、吹奏楽部に所属しているので言葉が通じない地で指導する難しさは予想できるが、おそらくそれ以上であろう。音楽を通じた国際的な活動は大変興味深かった。

自衛隊員の方々は、日々基地の中で日本を守るための訓練をされたり、災害の時の救助活動をされているイメージしかなかった。しかし、令和2年はクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」への対応に始まり、新型コロナウイルス感染症に対する災害派遣として、検疫支援などの「水際対策強化」、正しい対処方法に関する「教育支援」、自衛隊中央病院での治療などの「医療支援」等、総力を挙げて非常事態の活躍をされている。通常ならば、国際社会の平和と安定のため、海外の国々との訓練や安全保障協力活動が行われていたのだろうが、それらも今、どうなっているのだろうか?コロナ禍において私たちの日常生活、コミュニケーション、価値観すらも大きく変わっているが、自衛隊の活動、活躍もどのように変化していくのか、日本の防衛体制に今後も注視していきたい。令和3年版の防衛白書が今から楽しみだ。

安全保障への関心を高めるために
特別賞 竹澤 陽人

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私は平均的な日本国民よりも安全保障には比較的、高い関心は持っている方であると思う。尖閣諸島に中国の公船が毎日のようにやってきていることや、北朝鮮がミサイル・核実験に成功していることを知らない友人さえ私の周りにはいる。知っていても、「憲法九条があるから日本には撃ってこない」とか「日本を攻撃したら世界中が黙っていないから大丈夫」とか攻撃はされない前提であることが大半だ。そういった場合、いくら「国防を真剣に考えないと」「何かあってから考えたのでは遅い」と説明しても大抵理解されない。しかし、それでも説明し続けるのが政治家でも官僚でもない一学生にできることではないかと考えた。その説明に説得力を持たせられるのは数字ではないかと考え防衛白書を読むに至った。たとえば、「空自がスクランブル発進をしている」というのと「スクランブル発進が令和元年度で947回あった。平均して1日2回以上だ。」というのでは、そこから感じ取れる逼迫感が違う。このことは、尖閣諸島問題や中国の軍事費増大等の問題に関しても言えるだろう。

友人と安全保障の話をする時、度々言われるのが「日本は何もしていない」というものだ。安全保障の問題はあまり報道に取り上げられることがないため、そういった印象を抱くのは自然なことなのかもしれない。防衛白書には防衛省・自衛隊のハイレベル交流の実績を各国ごとにまとめてあり、先の指摘は当たらないものだと感じた。また、FOIPの構想そのものは知っていたが、それは日本が提唱し始めた考え方であり、さらにそれに基づいて防衛協力のアップデートや交流・支援の実施・促進が行われていることがまとめられており、FOIPが決して絵に描いた餅ではなく着実に実施されていることが分かった。「日本は何もしていない」のではなく「日本がしていることがフューチャーされていない」というのが実態であると感じた。

さらに、国民が自衛隊の活動を理解し身近な存在として捉えることが活動の支えとなるため、国民との交流は重要である。「即位礼正殿の儀」や「祝賀御列の儀」に自衛隊が参加したことは、国民の多くが知るところであり、自衛隊に対して興味関心を持った人は多かったのではないかと思う。また、VOICEで礼砲は高度な練度を必要とするものであったことを知った。それを失敗なく為せるだけの技術を自衛隊が持っているというのは、一国民として誇らしく安心できるものであった。延期が決定した東京五輪でも自衛隊の高い技術に触れることができるのではないかという新たな期待ができた。

しかし、若い世代としてはTwitterを始めとしたSNS上による国民と自衛隊の交流を防衛白書に載せても良いのではないかと感じた。SNSは、もともと自衛隊に興味のある人以外にも、自衛隊やその活動を身近に感じてもらえる重要な場である。コロナ禍で対面による交流や行事が難しい今般の状況で、その重要度は増している。

私は、安全保障や国防の必要性や重要性について説得力を持って話せるようになるために防衛白書を読み始めたが、知らないことや忘れていた事件を発見することができた。防衛白書は安全保障の「今」を知るために大変有意義な「教科書」のようなものであるというのが一番大きな印象である。安全保障は表に出せない数字や実績も多々あるだろう。しかし、防衛白書にはポップに分かりやすく、多くのことがまとめられている。自分で知る努力をせずに防衛省・自衛隊の活動を理解したり、活動に対して意見を持ったりすることはできない。国民が安全保障に関心を持たないというのは逼迫した危機的状況でない場合には問題ないだろう。しかし、日本を取り巻く安全保障環境は悠長に構えていて良い状況ではない。国民が安全保障に関心を持つことがソフトパワーとしての国防に繋がると私は考えている。重大な災害が起きた時もパンデミックが発生した時も国防に休みはなく、常に重要な課題であり続ける。防衛白書で得た知識に基づいてソフトパワー醸成のため一学生として、一国民としてできることをしていこうという思いを新たにできた。

お問い合わせ

防衛省 大臣官房企画評価課 白書作成事務室
  電話:03-3268-3111(代表)
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2021年4月5日更新