損害賠償手続の御案内

書面による手続及び電子申請システムによる手続の共通情報

日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊またはアメリカ合衆国軍隊の構成員及び被用者(以下「米軍」と言います)の行為によって被害を受けられた方の損害賠償請求の手続を御案内します。

1.損害賠償の請求手続について

米軍の行為が公務執行中であった場合と、公務執行中以外であった場合では請求手続などが異なります。

公務執行中の行為により受けた損害

「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」第18条5項及び民事特別法に基づき、被害者の受けた損害を日本国政府が賠償します。

但し、注意していただきたいことは、公務執行中の行為により受けた損害について、損害賠償の請求を行うことができるのは、損害の発生及び加害者を知ったときから3年間(人の生命又は身体に対する損害については5年間)または不法行為の時から20年間(いずれか早い方)(項目8.時効について) ですので、この期間を超えると請求ができなくなります。(時効の根拠:民法第724条及び同法第724条の2に基づいています。)

【手続の流れ】

  • 事故が発生した区域を管轄する地方防衛局(東海防衛支局を含む。)または地方防衛事務所(項目12.お問合せ先について)に「損害賠償請求書」を提出します。(なお、管轄外の地方防衛局または地方防衛事務所に提出することもできます。管轄区域については最終頁を参照してください。)「損害賠償請求書」の提出を受けた地方防衛局は、事故の調査や損害内容の審査をして、防衛省に書類を送付します。
  • 防衛省は書類の送付を受け、事故の原因等について合衆国の当局と協議します。
  • 3の協議が整った後、地方防衛局長は賠償金の額を決定し、請求者に通知します。
  • 請求者が賠償金の額に同意したときは、地方防衛局より賠償金が支払われます。(原則として口座振り込みとなります。)
  • なお、請求者が賠償金の額に同意できない場合には、日本国政府を相手とした訴訟を提起することができます。(訴訟は「損害賠償請求書」の提出の有無にかかわらず提起することができます。)
  • 損害賠償請求書の提出
  • 事故の調査・損害内容の審査
  • 防衛省と合衆国当局の協議
  • 賠償金額の決定・通知
  • 賠償金額の同意・支払い

公務執行中以外の行為により受けた損害

原則として、交通事故の場合における保険解決のように、直接、加害者との間で示談により解決することとなりますが、加害者に賠償金を支払う資力が無い場合や加害者の保険では解決できない場合など、示談により解決することが困難な場合があります。

このようなときには、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」第18条第6項の規定により、加害者にかわって合衆国政府が補償金を支払います。

この場合には、地方防衛局または地方防衛事務所が損害賠償請求書を受け付け、内容を審査して報告書を作成し、防衛省を経由して合衆国の当局に送付することとなっており、それを基に合衆国政府が補償金の額を決定します。

但し、注意していただきたいことは、公務執行外の行為により受けた損害について、損害賠償の請求を行うことができるのは、損害の発生したときから2年以内(項目8.時効について)ですので、この期間を過ぎると請求ができなくなります。 また、怪我のリハビリ等で長期療養を要する等、損害額の確定まで長期間要する場合は、前回の請求書提出から2年以内毎に請求書を提出しないと、補償金の支払いを受けられない場合もあります。
(2年の根拠:外国人請求法(合衆国法典)第2734条に基づいています。)

【手続の流れ】

  • 事故が発生した区域を管轄する地方防衛局または地方防衛事務所(項目12.お問合せ先について)に「損害賠償請求書」及び「公務外損害補償請求書」を提出します。(なお、管轄外の地方防衛局または地方防衛事務所に提出することもできます。)「損害賠償請求書」の提出を受けた地方防衛局は、事故の調査や損害内容の審査をして報告書を作成し、防衛省を経由して合衆国の当局に送付します。
  • 合衆国当局は書類の送付を受け、内容を審査します。
  • 合衆国当局は補償金の額を決定したら、請求者に示談書を郵送します。請求者が補償金の額に同意したときは、合衆国当局より補償金が支払われます。(原則として口座振り込みとなります)
  • なお、請求者が補償金の額に同意できない場合には、日本国内の裁判所に訴訟を提起することが出来ますが、この場合、合衆国政府には補償金支払いの法的義務がないため、訴訟の相手方は加害者本人となります。
  • (訴訟を提起しても、事故等発生日から2年以内に損害賠償の請求書は提出してください。)
  • 損害賠償請求書等の提出
  • 地方防衛局による審査
  • 合衆国当局による審査
  • 補償金額の決定・通知
  • 補償金額の同意・支払い

2.請求者について

米軍の行為によって被害を受けられた方が請求権者となり、その受けた損害について損害賠償を請求することができます。具体的には、身体に被害を受けた場合は被害を受けた本人が請求権者となり、財産に被害を受けた場合は、その財産を所有している方が請求権者となります。

例えば、被害を受けた財産が自動車の場合には、自動車検査証に記載されている所有者が請求権者となります。

なお、請求権者以外の方からも損害賠償請求を行うことが出来ますが、この場合には委任状が必要になります。

3.請求項目について

損害の内容に応じて次の賠償区分により請求します。

4.提出する書類について

「損害賠償請求書」を提出する際には、請求する項目に応じて次のような書類を添付します。

5.過失相殺について

被害者の方にも過失があると認められる場合には、その割合に応じて賠償金の額が減額されます。

例えば、損害額が100万円で被害者側に20%の過失が認められる場合には、賠償金の額は20万円が減額され、80万円になります。

【例】
過失相殺の例

上図のような場合の過失割合は、Aが20%でBが80%です。
東京地裁「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」より

6.既受領額の控除について

既に他から補償金を受領している場合には、賠償額からその額が控除されます。

例えば、損害額が100万円で保険金を70万円受領している場合には、支払額は30万円になります。

7.分割請求について

本制度における損害賠償の請求は、原則として損害額が確定しなければ請求することができません。よって、傷病により療養している方は、傷病の完治または症状の固定後に「損害賠償請求書」を提出していただくことになります。 しかし、公務執行中の行為により被害を受けた方で、療養が長期にわたっている場合、または、療養が長期にわたることが見込まれている場合には、期間を区切り分割して請求することができますので担当者に御相談ください。

なお、公務執行外の行為により被害を受けた方で、療養が長期(2年以上)に亘っている場合、一定期間毎に損害賠償請求書を提出して頂き、治癒または症状固定による最終請求をもって、地方防衛局は一連の損害に対する米側への報告書を作成することとなります。

従って、その間、支払った療養費等については、9の事故被害者融資制度を御利用ください。

8.時効について

・公務執行中の行為により受けた損害

損害賠償の請求を行うことができるのは、損害の発生及び加害者を知ったときから3年間(人の生命又は身体に対する損害については5年間)または不法行為の時から20年間(いずれか早い方)です。(※)

民法第724条及び同法第724条の2に基づいています。

・公務執行中以外の行為により受けた損害

損害賠償の請求を行うことができるのは、損害の発生した時から2年以内です。(※)

外国人請求法(合衆国法典)第2734条に基づいています。

これらの期間が過ぎると損害賠償の請求しても受理できませんので御注意ください。

9.事故被害者融資制度について

公務執行中以外の行為により被害を受けた方については、合衆国当局より補償金(慰謝料)が支払われるまでの間、公益社団法人隊友会により損害額を限度として所要の額を無利子で融資する制度がありますので、御希望される方は担当者に御相談ください。

公務執行中の行為により被害を受けた方については、本融資制度の適用はありません。

10.SACO見舞金について

SACO見舞金とは

SACO見舞金支給対象者は

相続人が複数存在する場合、相続人の一人が損害賠償請求訴訟において確定判決を得ていれば、損害賠償請求訴訟を提起していない被害者の相続人もSACO見舞金の支給対象となり得ますので、詳しくは、管轄の地方防衛局(項目11.お問合せ先について)へお問い合わせください。

11.SACO最終報告の運用改善措置内容

SACO最終報告(平成8年12月2日)に盛り込まれた地位協定第18条に係る運用改善措置の内容は、以下のとおりとなっております。
9の融資制度については、この措置内容の一つとなっております。

地位協定の運用の改善

-任意自動車保険
任意自動車保険に関する教育計画が拡充された。さらに、米側は、自己の発意により、平成9年1月から、地位協定の下にある全ての人員を任意自動車保険に加入させることを決定した。
-請求に対する支払い

次の方法により、地位協定第18条6項の下の請求に関する支払い手続を改善するよう共同の努力を行う。

  • 前払いの請求は、日米両国政府がそれぞれの手続を活用しつつ、速やかに処理し、また、評価する。前払いは、米国の法令によって認められる場合には常に、可能な限り迅速になされる。
  • 米側当局による請求の最終的な裁定がなされる前に、日本側当局が、必要に応じ、請求者に対し無利子の融資を提供するとの新たな制度(項目8.事故被害者融資制度について)が、平成9年度末までに導入される。
  • 米国政府による支払いが裁判所の確定判決による額に満たない過去の事例は極めて少ない。しかし、仮に将来そのような事例が生じた場合には、日本政府は、必要に応じてその差額を埋めるため、請求者に対し支払いを行うよう努力(項目9.SACO見舞金について)する。

12.お問合せ先について

損害賠償手続については、事故の発生した場所を管轄とする下記の地方防衛局にお問合せください。

損害賠償請求手続のお問合せ先 管轄区域
北海道防衛局
管理部業務課 業務係
電話番号:011(272)7564
北海道
東北防衛局
企画部業務課 事故補償係
電話番号:022(297)8211
青森県 秋田県 岩手県 山形県 宮城県 福島県
北関東防衛局
管理部業務課 事故補償係
電話番号:048(600)1817
茨城県 埼玉県 新潟県 栃木県 千葉県 長野県 群馬県 東京都
南関東防衛局
管理部業務課 事故補償係
電話番号:045(211)7109
神奈川県 山梨県 静岡県
近畿中部防衛局
企画部業務課 業務第2係
電話番号:06(6945)4964
富山県 京都府 奈良県 石川県 大阪府 和歌山県 福井県 兵庫県 滋賀県
東海防衛支局
施設企画課 連絡調整係
電話番号:052(952)8223
岐阜県 愛知県 三重県
中国四国防衛局
企画部業務課 事故補償係
電話番号:082(223)7142
鳥取県 広島県 香川県 島根県 山口県 愛媛県 岡山県 徳島県 高知県
九州防衛局
管理部業務課 事故補償係
電話番号:092(483)8821
福岡県 熊本県 鹿児島県 佐賀県 大分県 長崎県 宮崎県
沖縄防衛局
管理部業務課 事故補償係
電話番号:098(921)8131 内線412~415
沖縄県

参考

2023年4月1日更新