理解度チェック

問1

倫理法の目的は、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図るものであることから、倫理行動規準には自衛隊員の勤務時間外の行動に関する記述まではなされていない。

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規程第1条第5号においては、「自衛隊員は、職務に従事していない場合においても、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならないこと。」と規定されています。

問2

防衛省と契約した企業の下請け企業は、防衛省と直接契約をしているわけではないため、契約担当隊員の利害関係者になることはない。

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自衛隊員が契約を締結した企業の下請企業は、直接的には利害関係者に該当しませんが、例えば、契約を締結した企業からその契約内容の一部の事業を請け負った下請企業の従業員が、当該事業に関連して、自衛隊員に対し贈与、供応接待等の行為を行っていると認められる場合には、当該下請企業の従業員は法第2条第5項の「事業者等の利益のためにする行為を行う場合における役員、従業員、代理人その他の者」に該当し、利害関係者とみなされることとなります。

問3

契約の関係で利害関係者となる自衛隊員は、契約に係る事務を担当する自衛隊員のみであり、契約の元となる事業を担当している部署の自衛隊員は利害関係者になることはない。

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業者との関係で利害関係者となる防衛省・自衛隊の契約事務担当職員は、必ずしも会計などの契約に係る事務担当職員に限られず、当該契約の内容を実質的に決定し得る立場にある職員(例えば、契約の元になった事業において購入物品等を実質的に決定する職員など)も含まれます。

倫理規程上の利害関係者として定められている「契約」の相手方とは、「売買、貸借、請負その他の契約」のうち国の支出の原因となる契約、収入の原因となる財産売払等の契約、資金前渡官吏の支払の原因となる契約、歳入歳出外現金の支払又は受入の原因となる契約等の相手方を指します。

このような契約の相手方である事業者等と契約事務担当職員は、その接触の態様によっては、公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがあることから、契約の申込みをしようとした時から契約に基づく債権債務関係が終了するまでの間は利害関係者となります(規程第2条第1項第5号)。

【補足】
 自衛隊員が過去3年間についていたポスト(官職)の利害関係者は、異動後3年間は引き続き利害関係者とみなされます。
 さらに、ある自衛隊員Aの利害関係者が、別の自衛隊員Bに接触している場合、それが、BがAに対して持つ官職上の影響力を期待してのものであることが明らかなときは、Bにとっても利害関係者とみなされます。
 したがって、これらの者の間で行う行為は、倫理規程の規制を受けることとなります。

問4

自衛隊員に講演を依頼した。当該自衛隊員とは利害関係がないので、自衛隊員が職務として行った講演のお礼に菓子折を渡しても当該自衛隊員がとがめられることはない。

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隊員の分限、服務等に関する訓令(昭和30年防衛庁訓令第59号)第10条第2号は、自衛隊員について「職務に関して贈物又は謝礼を受けてはならない」と規定しています。

このため、本問の自衛隊員が菓子折り等を受け取った場合、同号に違反することとなります。

また、利害関係者以外の者から、社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けたとして、規程第5条第1項に抵触するおそれがあります。

なお、自衛隊員が職務ではなく私的に講演を行う場合は、利害関係者からの依頼であっても、2万円以内であれば謝礼を支払うことは問題ありません。

したがって、自衛隊員に講演等の謝礼を考えている場合は、当該隊員に当該講演等を公務として行うのか、私的に行うのか確認する必要があります。

問5

会員となっているゴルフ場が主催する月例ゴルフコンペに参加しようとしたところ、ゴルフ場の指定により、たまたま参加者の中にいた利害関係のある自衛隊員と同じ組となった。このような場合、このまま当該隊員がコンペに参加したとしても倫理規程の禁止行為には該当しない。

自衛隊員が利害関係者と共にゴルフすることは禁止されていますが(規程第3条第1項第7号)、隊員が会員となっているゴルフクラブのコンペにおいて、ゴルフ場の指定によってたまたま利害関係者と一緒の組になった場合は、共にゴルフをする意図を共有していたわけではないことから、利害関係者と共に同じ組でゴルフをすることが認められます。

問6

自衛隊員有志で構成された私的な部活動の大会参加に際し、自社が加入している部外協力団体から、隊員を応援する趣旨で会員企業で出資し、支援金を提供しようという話があった。部外協力団体は隊員との利害関係がないため、隊員が支援金を受け取っても倫理法令上問題ない。

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規程第5条第1項において、自衛隊員は、利害関係者に該当しない事業者等であっても、社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならないとされています。

国家公務員たる自衛隊員という身分に着目することなく、本問のような私的な活動に対し、支援金が提供されるということは、およそ社会通念上想定されないものであり、支援金を受け取った場合は、部活動の経費として受益のある全部員が規程第5条第1項に違反することとなります。

問7

利害関係がある自衛隊員に講演を依頼した。最寄駅から講演会場までの間、当該隊員の送迎を社用車で行っても、当該隊員が講演を行う役務の提供に付随するものであるため、何も問題ない。

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本問において、自衛隊員が最寄駅から講演会場まで車で送迎を受けることは、たとえ講演という役務の提供に伴うものであったとしても、規程第3条第1項第4号の「無償の役務提供」に該当し、倫理規程違反となります。

ただし、職務として講演を行う場合であって、他に公共交通機関がないなど周囲の交通事情から見て相当と認められる場合には、利害関係者が日常的に使用している社用車の提供を受けることは認められます。

問8

自衛隊員が利害関係者から供応接待を受けることは禁止されているが、飲食を伴わなければ、利害関係がある自衛隊員を舞台鑑賞に招待しても何も問題ない。

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自衛隊員が利害関係者から供応接待を受けることは禁止されています(規程第3条第1項第6号)。ここでいう「供応接待」とは、供応(酒食を提供しもてなすこと)と接待(客をもてなすこと)の両方を含んでおり、「接待」については、スポーツの観戦や、映画・演劇の鑑賞への招待など、他人をもてなすことを目的として行われる行為全般がこれに該当します。

問9

利害関係がある自衛隊員に自社をPRするためにコンサート・チケットを渡した。なお、このチケットは、利害関係がある取引先企業関係者200人にも配布している。このような多数の者に対して配布する場合は、自衛隊員以外にも広く配布される宣伝用物品に該当するので、当該自衛隊員がチケットを受け取っても何も問題ない。

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自衛隊員が利害関係者から宣伝用物品又は記念品であって広く一般に配布するためのものの贈与を受けることは、利害関係者からの贈与を受けることであっても、例外的に認められています(規程第3条第2項第1号)。

本問の場合、利害関係者は200人という多数の者にチケットを配布していますが、その配布先は本問の隊員以外は取引先の関係者のみであることから、これを広く一般に配布する宣伝用物品と考えることはできません。

【補足】
「広く一般に配布するためのもの」とは、基本的には特定の者のみに配布するものや、特定の者のみが参加する会場等で広く配布するものではなく、広くどこでも一般の誰でも受領可能なものを想定しています。

問10

日ごろから懇意にしている自衛隊員から、自分が参加していなかった飲食の料金支払いを依頼された(いわゆる「つけ回し」)。自分は当該隊員とは利害関係がない事業者なので、当該料金を支払ってあげても何も問題はない。

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自衛隊員が飲食物の料金などをその場に居合わせなかった者に支払わせること(いわゆる「つけ回し」)は、それが事業者等に対して行われる場合、隊員としての権限を背景として行われることが多いことから、許容される場合の想定しがたい悪質な行為として、利害関係の有無を問わず禁止されています。

おわりに

  • ご協力いただきありがとうございました。
  • 事業者等の皆様におかれましては、自衛隊員との接触の際にご注意いただきますよう、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。