防衛力整備計画
Ⅶ 国民の生命・身体・財産の保護・国際的な安全保障協力への取組

1 大規模災害等への対応

 南海トラフ巨大地震等の大規模自然災害や原子力災害を始めとする特殊災害といった各種の災害に際しては、統合運用を基本としつつ、十分な規模の部隊を迅速に輸送・展開して初動対応に万全を期すとともに、無人機(UAV)(狭域用)汎用型、ヘリコプター衛星通信システム、人命救助システム及び非常用電源の整備を始めとする対処態勢を強化するための措置を講じる。

 また、関係省庁、地方公共団体及び民間部門と緊密に連携・協力しつつ、各種の訓練・演習の実施や計画の策定、被災時の代替機能、展開基盤の確保等の各種施策を推進する。

 さらに、原子力発電所が多数立地する地域等において、関係機関と連携して訓練を実施し、連携要領を検証するとともに、原子力発電所の近傍における展開基盤の確保等について検討の上、必要な措置を講じる。

2 海洋安全保障及び既存の国際的なルールに基づく空の利用に関する取組

 開かれ安定した海洋及び既存の国際的なルールに基づく空の利用は、海洋国家である我が国の平和と繁栄の基礎という認識の下、自由で開かれたインド太平洋というビジョンも踏まえ、海洋安全保障及び既存の国際的なルールに基づく空の利用について認識を共有する諸外国との共同訓練・演習、装備・技術協力、能力構築支援、情報共有等の様々な機会を捉えた艦艇や航空機の寄港・寄航等の取組を推進する。これにより、海洋秩序及び既存の国際的なルールに基づく空の利用の安定のための我が国の意思と能力を積極的かつ目に見える形で示す。

3 国際平和協力活動等

 国際平和協力活動等については、平和安全法制も踏まえ、派遣の意義、派遣先国の情勢、我が国との政治的・経済的関係等を総合的に勘案しながら、引き続き推進する。特に、これまでに蓄積した経験をいかしつつ、安全保障環境の改善に寄与するため、現地ミッション司令部等への要員派遣、国連三角パートナーシッププログラム(TPP)等の国連PKOに係る能力構築支援、国連本部等への幕僚派遣等を積極的に推進する。また、国際情勢の不安定化を踏まえ在外邦人等の保護措置及び輸送に係るものを含め、国際的な活動に係る体制を強化するため、中央即応連隊及び国際活動教育隊の一体化による、高い即応性及び施設分野や無人機運用等の高い技術力を有する国際活動部隊を新編する。

 国際平和協力センターにおける教育内容を拡充するとともに、国際平和協力活動等における関係省庁や諸外国、非政府組織等との連携・協力の重要性を踏まえ、同センターにおける自衛隊員以外への教育を拡大するなど、教育面での連携の充実を図る。

 なお、ジブチにおいて海賊対処のために運営している自衛隊の活動拠点について、中東・アフリカ地域における在外邦人等の保護措置及び輸送等に際する活用を含め地域における安全保障協力等のための長期的・安定的な活用のため、老朽化した設備の更新や施設の整備を推進する。