宮澤防衛副大臣による「第10回拡大ASEAN国防相会議」への出席について(概要)

令和5年11月17日
防衛省
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令和5年11月16日(木)、インドネシア共和国(ジャカルタ)において「第10回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)」が開催され、参加各国の国防大臣等の間で地域的・国際的な安全保障課題について意見交換が行われました。この中で、我が国から出席した宮澤防衛副大臣は、概要以下を発言しました。

  1. 冒頭、過去数年間ADMMプラスの共同宣言で「国際法に依拠し、威圧を用いず、紛争の平和的解決を追求」する必要性に言及してきた一方で、世界は更なる混乱と対立へと向かっていることを指摘しました。
  2. まず、ロシアは不安定な世界を生み出していることを指摘し、ウクライナ侵略及び核兵器による威嚇について強く非難しました。また、極東におけるロシアの活発な軍事活動の継続についても、強い懸念を表明しました。
  3. 次に、東シナ海・南シナ海に関して、力による一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対する旨を表明しました。加えて、南シナ海に関する比中仲裁判断にも触れ、当事国がこの判断に従うことにより、南シナ海における紛争の平和的解決につながることを強く期待する旨表明しました。また、台湾海峡の平和と安定は、国際社会全体の安定にとって極めて重要であり、台湾をめぐる問題が、対話によって平和的に解決されることを期待する旨表明しました。
  4. 北朝鮮については、かつてない高い頻度で弾道ミサイルを発射しており、特に本年、新型ICBM級弾道ミサイルの発射や衛星打ち上げを目的とした発射を強行していることは、国際社会の平和と安全を脅かすもので、断じて容認できないことを強調しました。また、北朝鮮からロシアへの武器移転は、関連する国連安保理決議に違反するものであり、強く非難するとともに、武器供与の見返りに、ロシアからの軍事支援を得ようとする北朝鮮の動向に懸念を表明しました。
  5. 悪化の一途を辿っているミャンマー情勢については、ミャンマー国軍に平和的な問題解決に真剣に取り組むよう改めて強く求めるとともに、ASEANの取組を引き続き支援することを表明しました。
  6. 加えて、自然災害や海面上昇等の気候変動がもたらす諸課題、国際テロリズム等、国境を越えた協力が急務であることを指摘し、各国が立場の違いを乗り越え、努力を結集させることの重要性を説きました。
  7. その上で、ASEANの中心性・一体性への支持を表明するとともに、実践的な協力や対話・意思疎通の機会をもたらしているADMMプラスにおける取組を支えていく意思を表明しました。その証左として、日本とベトナムが共同議長を務めるPKO専門家会合の下で実施した9月の集大成イベントの成果を振り返るとともに、来期はフィリピンと共に、海洋安全保障専門家会合の共同議長を務め、力や威圧ではなく、法の支配に基づく海洋秩序を堅持する意思を表明しました。また、我が国がプラス国として初めて「ASEAN・ダイレクト・コミュニケーションズ・インフラストラクチャー(ADI)」を運用開始したことを強調し、他のプラス国への参加を呼びかけ、今後平素からの意思疎通を可能とすることへの期待を表明しました。
  8. また、今次ADMMプラスにおける「女性・平和・安全保障(WPS)」に関する共同声明の採択を歓迎し、我が国としてもWPSアジェンダを引き続き重視し、積極的に取り組んでいく意思を表明しました。
  9. 最後に、冒頭で述べたADMMプラス共同宣言に改めて言及し、宣言した内容を現実のものとするための責任を果たすよう呼び掛けるとともに、我が国としては、地域の平和と安定のため、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、そしてFOIPと本質的な原則を共有するASEANの「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の実現に尽力する意思を表明しました。

参加各国による意見交換の後、来期(2024-2027年)ADMMプラス専門家会合の新議長組合せが発表され、我が国は、現在タイと米国が共同議長を務める海洋安全保障専門家会合の共同議長をフィリピンと共に引き継ぐことが決定されました。また、WPSに関する共同声明が採択されました。

併せて、宮澤防衛副大臣はインドネシアのへリンドラ国防副大臣との会談の他、タイのスティン国防大臣、ベトナムのザン国防大臣、フィリピンのテオドロ国防大臣、ラオスのチャンサモーン副首相兼国防大臣をそれぞれ表敬し、防衛協力・交流を一層推進していくことを確認しました。

(以上)

宮澤防衛副大臣による「第10回拡大ASEAN国防相会議」への出席について
宮澤防衛副大臣による「第10回拡大ASEAN国防相会議」への出席について