令和8年10月29日
防衛省
英語版/English
令和8年10月28日(水)、小泉防衛大臣は、フィリピン・セブで開催された第10回日ASEAN防衛担当大臣会合に出席したところ、概要以下のとおりです。
(4)ASEANを取り巻く安全保障環境は、急速に悪化。その理由は三つある。
(5)①自然災害は激化し、通信、医療、輸送を一度に直撃しています。世界各地の紛争は、供給網やエネルギー供給にまで及ぶ。②軍事バランスは急速に変化し、立場の弱い国への威圧や、危険な誤算のリスクを高めている。③これらの危機は、単に積み重なるだけではなく、互いに重なり、増幅し合う。
(6)その中で守るべきは、ASEANの一体性、中心性、そして強靱性。
(7)一体性とは、違いがあっても、協力を続けること。中心性とは、地域の課題を自ら定め、域外のパートナーをその周りに結びつけること。強靱性とは、危機の中でも、不可欠な機能と自律性を保つこと。一体性が、共通の意思を生む。中心性が、その意思を共通の行動に変える。強靱性が、嵐が来ても、その行動を生かし続ける。
(8)これは、ASEANだけの利益ではない。地域の平和、繁栄、そしてすべての国の選択の自由を守る、国際公共財。日本は、この三つを大切にしている。
(9)ASEAN各国は、自ら対処し、抑止する力を強化。ASEAN全体としても、災害対応から海洋安全保障まで、共通の課題に取り組んでいる。この二つの努力は互いに補い合うものであり、日本は、プラス国として、その双方を支援する。
(10)私たちの目的は、シンプルであり、ASEAN、そして各加盟国が、自ら把握し、自ら判断し、自ら行動できる、その選択肢を広げること。
(11)だからこそ、ADMMプラスがあり、その制度的な背骨が、ASEAN加盟国とプラス国が共同議長を務める専門家会合(Expert Working Group: EWG)。
(12)EWGは、ASEANの優先課題と、パートナーの知見をつなぐもの。10年にわたり、七つの分野で、EWGは確かな成果を上げてきた。この実績を、地域が変わる中で、その信頼性と対応力を高め続けながらさらに大きな力に変えなければならない。
(13)もちろん、方向を決めるのはASEANである。今日、結論を求めるつもりはないが、日本の視点として三つ申し上げる。
(14)第一に、協力分野を更新すること。日本は、2024年以来ASEANが進めているEWGの優先順位の見直しを支持しており、現在の七つの分野は、減少するとされる。しかし、複合的な自然災害、AIと無人システム、そして重要な海底インフラの防護など、新たな課題は増えている。課題が変われば、協力も変わらなければならない。既存のEWGの対象範囲を柔軟に見直すことも、期間を限ったアドホックな取組を立ち上げることも考えられる。
(15)第二に、EWG間の協力を、定着した習慣にすること。本年9月、インドネシアでのトライデント・リゾルブ演習では、史上初めて、三つのEWGが共同で実動訓練を行った。各国の人員や予算の負担に配慮しつつ、こうした協力を促し、継続させる仕組みを考えてもよいのではないか。
(16)第三に、ASEAN域外との関与を広げること。条件と手続きを定めるのはASEANであり、EWGへの参加は、ADMMプラスの参加国拡大とは切り離すべきであるが、その原則の下で、域外国や関係機関を迎え入れることは、ASEANの中心性を弱めるのではなく、むしろ強めると考える。EWGには、既にオブザーバーの仕組みがあるが、これを基礎に、活動ごとに参加を広げてはどうか。
(17)日本は、ASEANに成り代わって、その将来を決めるつもりはない。方向を定めるのは、ASEANの皆様であり、日本は、皆様の選択を確かな力に変えるため、全力を尽くしたい。
(18)自ら決める力を、共に行動する力へと変えていきましょう。
(19)ASEAN加盟国からは、「ビエンチャン・ビジョン」や「防衛協力強化のための日ASEAN大臣イニシアティヴ:ジャスミン」等の下、これまでの日本の貢献に対する高い評価が表されるとともに、今回の小泉大臣による今後の防衛協力の方向性に関する日本の提案への歓迎・支持が示され、ADMMプラスのさらなる発展に向けた日本の貢献への期待が表明されました。


(以上)