日越防衛相会談(概要)

2021年9月11日
防衛省
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標記について、以下のとおり実施されましたのでお知らせします。

2021年9月11日(土)14時15分~15時55分(約1時間40分)、ベトナムを訪問中の岸防衛大臣は、ベトナム国防省において、ザン国防大臣と日越防衛相会談を行いました。

1 総論

冒頭、岸大臣から、訪越受入れに関し感謝の意を示し、防衛大臣就任後初の外国訪問先としてベトナムを訪問し、ザン大臣と対面での会談を実施できることを嬉しく思う旨述べました。これに対し、ザン大臣からは、歓迎の意が示されるとともに、岸大臣が初の訪問先をベトナムとしたことを高く評価する旨の発言がありました。

その上で、両大臣は、両国を取り巻く安全保障環境や近年の日越防衛協力の進展を踏まえ、今般の防衛相会談を契機に、日越防衛協力は、日越二国間だけではなく、地域や国際社会の平和と安定により積極的に貢献するための協力であると再定義し、この「新たな段階」に入った協力関係の下、日越が様々なレベルで協働していくことで一致しました。

2 地域情勢

両大臣は、最近の東シナ海・南シナ海を含む地域情勢について意見交換を実施しました。両大臣は、法の支配に基づく既存の国際秩序を維持するために日越が協働することの重要性を確認しました。その上で、航行及び上空飛行の自由の重要性を確認しつつ、国連海洋法条約(UNCLOS)を始めとする国際法を遵守していくことで一致しました。

岸大臣は、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)を維持・強化していくことが重要であるという考えを述べるとともに、既存の国際秩序と合致しない力を背景とした一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対していくとのメッセージを、国際社会に向けて発信していきたいと述べました。この文脈で、岸大臣は中国の海警法に関して深刻な懸念を表明しました。

また、岸大臣は、北朝鮮による弾道ミサイル発射は、国連安保理決議違反であり、強く非難するとともに、国際社会全体にとっての深刻な課題であると述べました。その上で、岸大臣は、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄(CVID)の実現に向けて連携していく意思について述べました。

ミャンマー情勢について、岸大臣は、エルワン・ブルネイ外相がASEAN特使に任命されたことを歓迎し、「5つのコンセンサス」を具体的な成果につなげていくことが重要である旨述べ、両大臣は、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

3 二国間防衛協力

両大臣は、日越防衛協力が「新たな段階」に入ったとの認識の下、日越二国間防衛協力のあり方について意見交換を行いました。

両大臣は、本日、「日越防衛装備品・技術移転協定」が署名に至ったことを歓迎し、今後、艦艇分野を含め、具体的な装備移転の実現に向けて協議を加速化していくことで一致しました。

また、両大臣は、ハイレベル交流、PKO分野における更なる協力の推進、自衛隊の艦艇・航空機によるベトナムへの寄港(寄航)の実施を含め、二国間の防衛協力を引き続き推進し、こうした協力を通じ、地域の平和と安定により積極的に貢献していくことで一致しました。

このほか、両大臣は、サイバーセキュリティ分野及び衛生分野での協力を促進させるため、覚書の署名に向けた調整を進めていくことで一致しました。

4 多国間防衛協力・交流

岸大臣は、「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP)と我が国のFOIPは本質的な共通点を有しているとの認識を重ねて強調し、今般、日越防衛協力が「新たな段階」に入ったことは、AOIPとFOIPの実現を図る上でも極めて重要であるとの認識を述べました。

両大臣は、第6回日ASEAN防衛担当大臣会合において岸大臣が発表した日ASEAN防衛当局サイバーセキュリティに関する取組を実施していくに際し、「新たな段階」における日越防衛協力関係も踏まえ、日越防衛当局が緊密に連携していくことで一致しました。

5 結語

両大臣は、「新たな段階」における日越防衛協力関係を踏まえ、地域と国際社会の平和と安定により積極的に貢献していくとの決意の下、ハイレベルや多国間を含む各種協力を力強く推進していくことで一致しました。

(了)