日英防衛相会談後の共同記者発表

2021年7月20日
防衛省

発表事項

岸防衛大臣

先ほど、英国のウォレス国防大臣との間で、日英防衛相会談を行い、両国間防衛協力の更なる進展・具体化に向けた有意義な議論を行いました。ウォレス大臣とはこれまで電話及びテレビ会談を重ねてきましたが、対面での対話は、本日が初めてです。

ウォレス大臣からは、昨今の日英防衛協力の進化を歓迎し、日本のような価値を共有する国との協力を強化したい旨の発言があり、私からは基本的価値を共有するわが国と英国がともにインド太平洋地域で直面している課題に立ち向かう必要があることをお伝えしました。

その上で、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みに強く反対するとの立場や、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の重要性について、認識を改めて一致しました。

また、様々な日英防衛協力案件が話題に上がりましたが、特に、現在日本に向けて航海を続けている英空母打撃群との共同訓練の実施や日本寄港を通じ、長い歴史と伝統を有する日英防衛協力が「新たな段階」に入ったこと、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のための英国の関与が、強固かつ、不可逆的であること、そして日英防衛協力がわが国の安全保障のみならず、インド太平洋地域と国際社会の平和と安定の確保に資するとともに、グローバルな課題に対処するものであることについて、ウォレス大臣と認識を一致しました。

英空母打撃群が訪日した際には、英空母「クイーン・エリザベス」は、9月に在日米軍横須賀海軍施設に、また、その他の随伴艦については、海上自衛隊の横須賀、舞鶴、呉の各基地、そして在日米軍佐世保海軍施設、横須賀海軍施設及びホワイト・ビーチ地区に、それぞれ寄港させる予定です。

装備技術協力に関し、ウォレス大臣とは次期戦闘機に係る議論も行い、特にエンジンシステムに重点を置きつつ、サブシステムレベルでの協力を追求するための議論を加速することで合意しました。

また、新たに化学・生物防護技術に係る共同研究が先日7月14日に開始されたことを歓迎しました。

さらに北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの、完全・検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を達成するための取り組みに日英が引き続きコミットしていくことや、北朝鮮船舶が関与する違法な「瀬取り」に対する警戒監視活動で、引き続き日英でもしっかり連携していくことを確認しました。

英国は重要な戦略的なパートナーであり、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化の推進において、両国の防衛協力・交流をより一層深化させていく考えであります。

ウォレス大臣(発言に沿った仮訳)

今日は、岸防衛大臣と初めて対面でお目にかかることができ、本当に素晴らしく思います。実りのある議論をさせていただきました。内容としては、この地域の安全保障及び日英両国間での防衛協力の強化の可能性についてです。

日本は、英国にとりましてこの地域における重要かつ同志国であります。日本は、アジアにおけます英国の最も近しい安全保障のパートナーであり、様々な価値と共通の戦略的利益を共有しています。

今後、数カ月後、英空母打撃群が日本に訪れます。これは、英日の防衛及び安全保障協力の新しい時代の幕開けとなるでしょう。

この打撃群の中には、オランダの艦船及び米国の艦船も含まれます。寄港先は、先ほど岸大臣の方から御説明がありました。この訪問によりまして英軍と自衛隊がそれぞれ一緒に活動する機会が与えられたことになります。

また、将来のF-35や水陸両用プログラムなどでの機会というものも与えられることになります。

空母打撃群、そしてその随伴艦は、海賊対策の演習をアデン湾で行っております。先週行われました。日本の護衛艦「せとぎり」及びP-3Cが参加をしております。これによって我々が協力をするその意思を示せたと思っています。

グローバルのパートナーとして、共通の利益を共有するこの二国が、海洋の航行、この重要な航路において、その安全を保つ決意を示せたと考えています。

イギリスのこの「インド太平洋への傾斜」、これは日本の「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンと重なるところが大変多いわけであります。両国は、このルールに基づいた国際秩序を守ることを目指しております。

英国と日本は、長きにわたるコミットメントを持ち、このインド太平洋地域においての安全保障を維持するということを進めています。そして、グローバルな課題に向けては、結束したアプローチをとっていこうとコミットメントしています。この共同で活動することによって、更に幅広い同盟に繋げていくことが可能になってきます。

それによって、この様々な脅威や課題に立ち向かうことが可能になると考えます。今回、空母打撃群が初めて展開されますけれども、その後、英国からは2隻の船が恒久的に、この地域に展開をされることになります。それは今年の末に向けてのことになります。

また、これから先、数年後には、「沿岸対処部隊」がこの地域に展開をされることになります。この二国間の防衛関係というのは、何年ぶりの非常に緊密な関係となっております。是非、これからも日本とのエンゲージメントのレベルを将来に向けて高めていきたいと思って考えております。

最近、英海軍と海上自衛隊の間で、海軍種間の取り組みが結ばれましたけれども、これは二国、英軍とそれから日本の自衛隊が更に関係を深めていく良い事例であると考えます。

この取り決めによりまして、日英は海洋状況把握を共有することになり、このインド太平洋地域及びヨーロッパの間の国際海路において、安全な環境を作ることに資することになるでしょう。

今日は、岸大臣と更にF-X/FCASのコラボレーション、共同を加速させようという話で合意をいたしました。特に、サブシステムレベルでの協力を進めようということでフォーカスが当たっておりますのが、エンジンシステムです。

今回は、初めての対面の会談となりました。コロナのせいで、対面で今までお会いすることができませんでしたが、これから更に何度も何度も対面でお目にかかることができることを願っております。

私達は、この地域でやらなければいけない仕事がたくさんあります。英国も日本も。我々の価値を守るためにも、胸を張って立ち上がらなければならないと考えています。

私や、私のチームに対して、温かいおもてなしを提供してくださいましたことに感謝をいたします。このパンデミックの中で、難しい環境の中で迎えて下さったことに感謝いたします。

以上