第2回日・インドネシア外務・防衛閣僚会合における共同記者発表(概要)

2021年3月30日
防衛省

茂木外務大臣

ルトノ外務大臣、プラボウォ国防大臣、そして岸大臣と共に、5年ぶりとなる日インドネシア「2+2」を開催し、幅広いテーマで充実した協議を行いました。新型コロナ下にもかかわらず、来日された両大臣、心から歓迎をし、改めて感謝申し上げます。

両国は、共に海洋国家であり「戦略的パートナー」として、幅広い分野で協力を推進しています。一連の会合や防衛装備品・技術移転協定の署名を通じて、改めて、両国が地域及び国際社会の諸課題に共に取り組む意思を確認することができました。

今般の成果として3点、上げたいと思います。

まず、第一に、「自由で開かれたインド太平洋」、FOIP、そしてAOIPの実現に向け、具体的な協力を推進することで一致しました。例えば、本日、500億円の防災分野の円借款の供与を決定したほか、連結性強化についてパティンバン港整備に係る700億円の円借款供与について協議を行いました。さらに、スールー・セレベス海等周辺地域での協力や、海洋安全保障及び海上法執行分野の協力を強化していくことで一致をいたしました。

二番目に、インドネシアとの幅広い分野における安保・防衛協力の強化で一致をいたしました。今、署名をした「防衛装備品・技術移転協定」は両国の安保協力の拡大の基盤になり、また、地域の脅威に共同対処する象徴となると確信をしております。そのほか、デジタル分野やテロ対策等でも連携強化を確認することができました。

第三に、地域の諸課題への連携で一致をしました。まず、私と岸大臣から海警法を含む最新の中国の動向について深刻な懸念を表明するとともに、双方は東シナ海、南シナ海の情勢について意見交換を行った上で、力による一方的な現状変更の試みの継続・強化について深刻な懸念を共有し、国際法、特に国連海洋法条約の重要性について一致をしました。また、双方は、日本とインドネシアをはじめとする、価値を共有する国々が、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序作りを主導し、国際社会の平和・安定・繁栄を確保していくことが重要であり、引き続き、緊密に連携していくことを確認しました。

また、私から、先日の北朝鮮の弾道ミサイルの発射は、国連安保理決議違反であり、極めて遺憾であることを指摘し、北朝鮮のCVIDの実現に向け、国連安保理決議の完全な履行が重要であることを確認するとともに、拉致問題の早期解決に向けた協力を求め、インドネシア側から支持を得ました。

さらに、ミャンマー情勢について、民間人の死傷者が増え続けている状況を強く懸念するとの認識で一致しました。日本とインドネシアはこれまでも、ミャンマー側への働きかけの中心となってきた国であり、今後も引き続き緊密に連携していくことを確認しました。また、中東情勢、パレスチナ、さらにはアフガニスタン、こういった問題についても、意見交換を行いました。

以上の成果を踏まえ、今後、更なる協力の具体化に向けて取り組んでいきたいと思います。それでは、ルトノ大臣、そして岸大臣、さらにプラボウォ国防大臣の順でお願いをいたします。

ルトノ尼外務大臣

茂木大臣ありがとうございます。心から、茂木大臣、岸大臣に御礼を申し上げたいと思います。暖かいご歓迎を大臣からいただきました。プラボウォ大臣とともに、「2+2」に参加できましたことを大変嬉しく思います。第2回目の「2+2」ということでございました。また、プラボウォ大臣と私は、菅総理に表敬訪問をすることができました。今日ですが、菅総理のインドネシア訪問のフォローアップをしていきたいというジョコ・ウィドド大統領の希望をお伝えしました。これには、投資協力も含まれます。状況が許せば、日本は、ジョコ・ウィドド大統領が訪問する最初の国の1つとなるでしょう。

「2+2」の中で、私はいくつかの重要な点を指摘しました。ポジティブなエネルギーがたくさん必要であります。また、協力も必要なのです。この大変にチャレンジングな時期におきましては、このパンデミックを脱却するためには、協力が必要なのです。ワクチン・ナショナリズムを含む自己中心主義を捨て、強い保健の強靭性を構築しなければなりません。経済回復を加速するために、協力も必要なのであります。日本はインドネシアの主要な経済パートナーの一か国であり、二か国は、協力をしなければならないのです。

2番目に、インド太平洋について、私はAOIPの原則について繰り返させていただきました。この原則には、開放性、透明性、包摂性、協力などが含まれます。これらの原則は、AOIPの実施において、ASEANの指針となりましょう。実際的な協力、特に、経済協力をすべてのパートナーと行うこと、日本も含めたすべてのパートナーと行うことが非常に重要であります。インド太平洋は、平和と繁栄の地域となるべきであります。それを充足するためには、繰り返しますが、協力が継続的に追求されなければなりません。そしてすべての国が、国際法を尊重し、それを実施したときに可能になるのです。

3番目に、いくつかの地域問題についても、意見交換をいたしました。最近のミャンマーの状況についても意見交換をいたしました。2021年3月27日土曜日ですが、100人以上が力の行使によって命を落としました。インドネシアはこのような行動を強く非難するものであります。これは容認可能ではないのです。不干渉の原則を常に私共は尊重するものの、当初からASEANはミャンマーに支援を提供してまいりました。ASEANがミャンマーを関与させようとしている中で、それを日本が支援してくださっていることに感謝しております。インドネシアにとっては、ミャンマー国民の安全、福祉が何よりも重要なのです。民主主義、平和、安定性をミャンマーに取り戻すために、対話を追求します。

四番目に、海洋協力でありますが、二か国の協力が拡大しているということを評価いたしております。インドネシアの離島開発もそこに含まれております。また、漁業取締船の移転協力を歓迎しています。最初の船が引き渡されるのは、来年であり、二番目の船舶の移転について議論を開始いたしております。また、インドネシアの海上保安庁と日本の海上保安機構との間での協力も感謝し、評価するものであります。

結論として、インドネシアと日本が二か国間関係を戦略的なパートナーシップに引き上げてから15年経っております。今日の「2+2」の会合は、戦略的なパートナーシップを、二国間関係のみならず、地域の平和・安定、そして繁栄に貢献するという意味で、より有意義なものとしていこうという努力の一環であります。ありがとうございました。

岸防衛大臣

本日、プラボウォ国防大臣、ルトノ外務大臣及び茂木大臣と共に、約5年ぶりとなる日インドネシアの「2+2」を開催できたことは大変意義深いことでございます。

日本とインドネシアは、実に多くのものを共有しています。第一に、我々は共に四方を海に開かれた海洋国家であること、第二に、我々は自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を共有しているということ、第三に、この地域の平和と安定に対するコミットメントを共有していることです。本日の会合では、これらの共通点を基盤として、両国の関係を新たな段階に引き上げるための大変有意義な意見交換を行うことができました。

東シナ海及び南シナ海をはじめとする地域情勢についても議論し、私から、中国海警法により、両国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならない旨述べました。また、双方は「力を背景とした一方的な現状変更の試み」の継続・強化について深刻な懸念を共有するとともに、茂木大臣が述べたとおり、国連海洋法条約を始めとする国際法を遵守し、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を維持することの重要性について一致をいたしました。

防衛協力・交流について、2015年の第1回「2+2」で交渉を開始することで一致をした「防衛装備品・技術移転協定」に本日署名できたことは、両国の防衛協力を更に促進するものであり、今後具体的な装備移転の実現に向けて協議を加速化させていく所存であります。また、私から、インドネシア海軍主催の多国間共同訓練「コモド」への積極的な参加や、インドネシアへの寄港の機会を捉えた共同訓練等を通じ、両国で自由で開かれた海洋秩序の維持・強化に向けて一層強化していきたい旨述べ、議論を着実に進めるため、国軍司令官の訪日及び防衛当局間(MM)協議の早期開催を確認しました。

地域における秩序形成において、ASEANの重要性が高まる中、インドネシアはASEANの大国として今後も重要な役割を果たしていくものと確信しております。この地域の平和と安定のため、インドネシアの両大臣と引き続き緊密に協力してまいります。以上です。

プラボウォ尼国防大臣

私からも御礼申し上げます。大臣各位、代表団の方々、今年、「2+2」の会合が開かれました。その中で、様々な議論を行い、私の担当分野である防衛分野でも両国間の協力関係を大幅に向上させるということを確認しました。先ほどご覧にいただいたとおり、防衛装備・技術移転協定を日本との間で署名することができましたが、これは重要なマイルストーンです。このような協定の署名は、日本とインドネシアとの二国間関係では初めてのものです。私は、2+2に先駆けて、数日前から訪日しておりますが、この間、日本側の幹部の方と両国間の防衛協力の向上につき、鋭意議論を行いました。日本にインドネシアの国防産業により参画していただきたいと考えております。インドネシアの防衛能力の近代化にも日本に協力いただければと思います。また、陸海空の軍種間の共同演習や共同訓練を進めていきたいと考えております。そして、幹部の相互交流を促進したいと思います。軍事教育や訓練も含め、ぜひ我々のインドネシアの若い下士官等に日本で訓練を受けさせていただければと思います。

また、その他の分野も討議いたしました。特に人道支援の話や災害救助等です。日本がこの分野でもご支援いただいていることに感謝申し上げます。また、日本に漁業やインドネシアの食品の戦略備蓄への協力をお願いしました。

以上