防衛協力の進展に係る2020年岸・レイノルズ日豪防衛相共同声明(仮訳)

2020年10月19日
防衛省
英語版/English

2020年10月19日、岸信夫日本国防衛大臣及びリンダ・レイノルズ豪州国防大臣は、東京において、自由で、開かれ、安全で、包摂的で、繁栄したインド太平洋地域を支える二国間の緊密な防衛及び安全保障関係の構築を継続するため会談を行った。

今回の訪問は、レイノルズ大臣による二回目の東京への公式訪問であり、両大臣にとっては、カウンタパートとして、初めての対面での会談となった。このような困難な時期において、本会談を行ったことは、「特別な戦略的パートナーシップ」の重要性と強さの証である。

両大臣は、防衛協力のモメンタムに則った努力の積み重ねにおいて、訓練・演習、防衛関連の科学技術、防衛産業協力、及び共通の関心である地域の課題における連携を含む二国間の防衛・安全保障協力の戦略的かつ実践的な深化を確認した。両大臣は、両国それぞれの戦略環境において示される、共通の目的及び協力の原動力を確認した。

両大臣は、新型コロナウイルス感染症拡大の中で加速された傾向を含め、インド太平洋地域が直面する戦略的課題について意見交換を行った。両大臣は、新型コロナウイルス感染症によって、今後の地域の取組に影響が及ぼされる衛生面、経済面及び社会面での悪影響について話し合った。両大臣は、地域の回復と安全を支えるため、パートナー国と緊密に連携するとの確固たるコミットメントを強調した。

両大臣は、東シナ海、南シナ海及び北朝鮮を含む、地域情勢について意見交換を行った。

両大臣は、東シナ海において、現状を変更し、緊張を高め得る、いかなる安定を損ね、又は力による一方的な行為に対する強い反対の意を強固なものとした。両大臣は、この地域の安全保障環境について緊密に連携し続けるとの意思を表明した。

両大臣は、南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更のいかなる試みに対する強い反対の意を強固なものとし、航行及び上空飛行の自由を維持することの重要性を再確認した。両大臣は、係争のある地形の継続的な軍事化、沿岸警備船舶や「海上民兵」の危険かつ威圧的な活用、及び他国の資源開発活動を妨害する取組を含む最近の事案について、深刻な懸念を再確認した。両大臣は、国連海洋法条約を含む国際法に従って、紛争を平和的に解決することの重要性を強調した。

両大臣は、北朝鮮が、度重なる短距離弾道ミサイルの発射を含む、累次の国連安保理決議違反を行っていることに対し強い懸念を表明した。両大臣は、全ての関連する国連安保理決議に従った、北朝鮮による核兵器、その他の大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイル全ての、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を達成するために尽力するとのコミットメントを再確認した。両大臣は、北朝鮮に対し、その国際的な義務に完全に従うよう強く求めた。両大臣は、違法な「瀬取り」や制裁対象に指定された物資の直接の輸送を含め、北朝鮮による制裁回避を抑止し、中断させ、最終的には排除するとのコミットメントを歓迎し、再確認した。

共通の価値観に則り、かつ共通の困難な時期を通じて築かれた、日豪防衛関係の強靭性に鑑み、両大臣は、地域の戦略地政学的な課題に対処するため、このモメンタムを強化し、緊密に連携していくことを決意した。

両大臣は、新型コロナウイルス感染症対策を講じる中で、防衛・安全保障上の関心分野にわたって、さらに深い関係を築くためにあらゆる取組を進めることを決心した。両大臣は、以下の点について一致した。

  • 自由で、開かれ、安全で、包摂的で、繁栄した地域の維持のため、南シナ海における海洋活動を含む、インド太平洋地域における定期的な二国間・多国間の協力活動を強化すること
  • 空中給油の適合性試験を含む、二国間の演習・運用の複雑化及び高度化の拡大を通じて、自衛隊・豪州軍間の相互運用性を強化すること
  • 陸上自衛隊における豪連絡将校の配置を含む人的交流を通じて、自衛隊と豪州軍の相互理解の強化を継続すること
  • 相互互恵的な分野における二国間の宇宙及びサイバー協力を推進すること
  • 流体音響及び陸上無人機の分野における新たな潜在的共同研究を含む防衛科学・技術協力を深化すること
  • 自衛隊及び豪軍それぞれの能力を支えるため産業間交流の拡大を継続すること

また、両大臣は、回復の支援及び地域の平和と安全の促進について、以下を含む、意見交換を継続することでも一致した。

  • 新型コロナウイルス感染症拡大時の人道支援・災害対処活動で得られた教訓を共有すること
  • 同志国と共に地域の強靭性を高めるべく、能力構築の新たな機会を模索すること
  • 新型コロナウイルス感染症拡大という状況下における偽情報に共に対処することを含め、法に基づく国際秩序を強化するための情報共有・意見交換を行うこと

両大臣は、自衛隊と豪州軍によるインド太平洋地域における一層緊密な連携の重要性を確認した。両大臣は、自衛隊法第95条の2(合衆国軍隊等の部隊の武器等防護)に係る自衛官による豪州軍の武器等の警護任務の実施に向けた体制構築に必要な調整を開始するよう、事務当局に指示した。

両大臣は、相互訪問に関する協定を日豪が妥結することの戦略的重要性を確認し、双方が交渉妥結に向け引き続き取り組むことで一致した。二国間の防衛・安全保障関係が深化する中、本協定により、共同運用及び演習を円滑化するための行政的、政策的及び法的な手続が改善することとなる。

両大臣は、インド太平洋地域において、目に見える貢献を行い、協力を促進する積極的な三か国防衛協力・交流に、米国と取り組むことを再度表明した。また、両大臣は、連携の習慣を築きながら行われる、地域のパートナーとの制度的及び非公式な形式で行われる協力の重要性も強調した。

両大臣は、インド太平洋地域のパートナーと緊密に協力し続けるための共通の取組を再確認した。両大臣は、特に「地域安全保障に係るボエ宣言」で示された優先事項である能力構築、海洋安全保障、並びに、人道支援及び災害対処の分野において、太平洋島嶼国との協力に共同で取り組む意向を再度表明した。両大臣は、日豪がそれぞれ取り組む「日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)」及び「南太平洋防衛相会談(SPDMM)」や、その他の地域対話を含む、防衛に関連する会議において、緊密に連携し続けることを確認した。

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