令和6年11月17日
防衛省
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2024年11月17日、豪州・ダーウィンにおいて、リチャード・マールズ豪州副首相兼国防大臣、中谷元日本国防衛大臣及びロイド・オースティン米国国防長官は、第14回三か国防衛大臣会談を開催した。
この14回目の会談を通じて、我々は、我々のパートナーシップの長年の継続及び永続的なコミットメントを確認する。共通の価値、深い信頼及び共同の抑止の強化に対する不屈のコミットメントに根ざし、我々の協力は発展し続ける。我々は、2023年及び2024年5月の共同声明で定めた活動及び実践的な協力分野の実行における重要な進展を認識する。
我々は、法の支配が堅持され、主権が尊重され、国家が威圧や武力による威嚇を受けることなく意思決定ができる平和で安定し繁栄したインド太平洋地域に対する確固たるコミットメントにおいて結束している。
我々は、ASEAN中心性・一体性、ASEAN主導の地域枠組みへの一貫した揺るぎない支持を再確認し、今週ラオス人民民主共和国において開催される拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の成功を期待している。我々は、東南アジアのパートナーとの関与を強化し、地域の安全保障上の優先事項を支援するため、カナダ、フランス、ドイツ、インド、ニュージーランド、韓国及び英国を含むパートナーと協力するとのコミットメントを強化する。
我々は、太平洋諸島フォーラムによって公表された「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」に整合的な形で、太平洋地域の安全保障上の課題に対する太平洋地域主導の対応を支えることの重要性を認識する。我々は、豪州が参加し、日米がオブザーバーとなっている「太平洋合同安全保障会議」及び「南太平洋国防大臣会合」といった太平洋地域主導の枠組みを通じ、また、これらの枠組みと協力し、能力構築及び女性・平和・安全保障活動を含め、太平洋地域のカウンターパートとの防衛面での関与を調整することにコミットする。
我々は、フィリピン及び他の沿岸国の船舶に対する中国による危険な行為を含む、東シナ海及び南シナ海における不安定化をもたらす行動について深刻な懸念を改めて表明する。我々は、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに対する我々の強い反対を改めて表明する。全ての国が、国際法、特に国連海洋法条約に整合的な形で、航行及び上空飛行の自由並びにその他の適法な海洋の利用を含む権利及び自由を行使できることが重要である。我々は、全ての国が国際法に従って紛争の平和的解決を追求する必要性及び2016年の南シナ海の仲裁判断が、最終的かつ紛争当事国を法的に拘束するものであることを再確認する。
我々は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す。
我々は、弾道ミサイル技術を用いた一連の無謀な発射及び2024年10月31日に行われた大陸間弾道ミサイルの試験発射を含む、北朝鮮による安定を損なう行動を強く非難する。これらは、国連安保理決議に対する重大な違反であり、国際社会の平和と安定に対する重大な脅威である。我々は、国連安保理決議に沿った朝鮮半島の完全な非核化に対する継続的なコミットメントを再確認する。ロシアのウクライナに対する侵略を持続させるためのロシアへの弾道ミサイル及びその他の物資の移転並びにロシアへの北朝鮮部隊の派遣に関する報道を受け、我々は、インド太平洋及び欧州大西洋の安全保障についての深刻な懸念を表明する。我々は、ロシアに対し、国際的に承認されたウクライナの領土から全ての軍を即時、完全、無条件に撤退させるよう強く求める。我々は、国際法を堅持する義務、また、国連憲章の目的及び原則に反して、武力により領土を取得しようとするロシアの試みを決して正当化、支持又は容認しないようにすることを、中国を含む第3国に喚起し続けることの重要性につき一致する。こうした動向は、インド太平洋地域及び欧州大西洋地域を不安定化させるものである。
我々は、地域の安定及び共同の抑止力を支えるため、以下の4つの柱の下で防衛協力を推進することにコミットする。
三か国運用協力の拡大
- 三か国のパートナーシップが地域の安定を堅持するために果たす重要な役割を認識し、我々は、三か国の政策調整にコミットするとともに、地域の安全保障問題及び緊急事態について協議することにコミットする。我々は、平時から緊急事態に至るまで、自衛隊、豪軍及び米軍の政策上及び運用上の目標の整合を支援するための「日米豪防衛協議体」(Trilateral Defence Consultations)の設立を発表する。
- 我々は、以下を通じ、豪軍及び米国との三か国の相互運用性を向上させることによる、豪米戦力態勢協力活動への日本の参加増大を歓迎する。
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- 豪州北部やインド太平洋地域において、豪軍、陸上自衛隊の水陸機動団及び米海兵隊ローテーション部隊・ダーウィンによる三か国共同水陸両用訓練を「タリスマン・セイバー2025」から開始し2025年以降毎年実施。
- 2025年以降、三か国の相互運用性を向上させるため、より複雑なシナリオを含め、豪州における「サザン・ジャッカルー」及び「タリスマン・セイバー」への日本の貢献増大。
- 我々は、豪州による「オリエント・シールド」への2025年からの初参加のように、日本における主要な日米演習を三か国化することや、「ヤマサクラ」「キーン・エッジ」及び「キーン・ソード」などの演習への豪軍の参加を推進することへのコミットメントを再確認する。
- 日米共同情報分析組織(BIAC)への豪州国防当局の人員の参加を含め、インド太平洋地域における三か国の情報収集・警戒監視・偵察協力を引き続き優先事項として発展させる。我々は、豪州の情報及び能力による更なるBIACへのコミットメントに向けて取り組む。
- 我々は、「ピッチ・ブラック2024」で日豪米の意向書が署名されたことにより可能となる三か国の航空の相互運用性を更に高める意図を有する。我々は、「コープ・ノース」「武士道ガーディアン」及び「ピッチ・ブラック」の演習を通じ、戦闘機や輸送機などの航空アセットを、2025年以降三か国全てに相互展開することを含め、三か国間の協力活動を増加させる将来の機会を引き続き探求する。
先進能力の一体的構築
- 我々は、研究、開発、試験及び評価(RDT&E)プロジェクトに関する日米豪取決めの下での、特に航空機複合材及び無人機システムに関する協力についての進展及び協力の拡大を認識する。
- 我々は、連携無人機及び自律性の分野における議論の着実な進展を称賛し、この分野における協力の機会を見出すことにコミットする。
- 我々三か国は、インド太平洋全域における各種の脅威の増大に対処するためのネットワーク化された防空ミサイル防衛アーキテクチャに関する協力を通じたものを含め、地域的な抑止力を強化するために引き続き協力する意図を有する。我々は、脅威への各国の対処能力を向上させるための情報共有の深化を通じて、地域のアーキテクチャを引き続き進展させる。我々は、三か国の訓練・演習・交流を含む様々な活動を通じて引き続き協力する。2027年の「タリスマン・セイバー」における、三か国による初となる地域防空ミサイル防衛実射訓練は、重要なマイルストーンとなる。
- 我々は、AUKUS第2の柱の下での日本とAUKUS諸国との協議の進展を歓迎し、日本の海洋無人機システムとの相互運用性の向上に当初の重点を置く。
- AUKUS諸国は、実務的な協力における重要な一歩として、AUKUS第2の柱「マリタイム・ビッグ・プレイ」の一連の演習のうち、2024年10月の「オートノマス・ウォーリアー」への日本のオブザーバー参加を歓迎する。AUKUS諸国は、AUKUS第2の柱の下での将来の協力のためのプロジェクトを決定するための日本との継続的な協議に期待している。
- 三か国の防衛産業協力を促進するため、我々は、インド太平洋地域における防衛産業の強靭性の強化を目的とした同盟国及びパートナー国による多国間フォーラムである「インド太平洋における産業基盤強靭化パートナーシップ(PIPIR)」を含め、一層の連携を進めていくことに合意するとともに、本年10月に東京で開催された「無人航空機に関する日米豪防衛産業シンポジウム」など、日米豪の防衛産業間の交流の機会の増加を歓迎する。
共同での計画
- 我々は、三か国の司令部間の運用調整、計画及び情報共有を向上させる以下を含む二国間のイニシアティブを歓迎する。
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- 2025年の自衛隊の統合作戦司令部(JJOC)創設以降に豪国防軍連絡官を派遣するとのコミットメントを確認し、本年11月から、豪州の統合作戦本部(HQJOC)への日本の統幕連絡官の最初の派遣を開始。
- 在日米軍をJJOCの一つの重要なカウンターパートとなる統合軍司令部として再構成する旨の日米安全保障協議委員会(「2+2」)における発表。
地域におけるプレゼンスの発揮
- 我々は、地域の海洋安全保障を支持し、国際法を堅持するための定期的な海上協同活動を通じたものを含め、南シナ海における日米豪比の防衛協力の拡大を歓迎する。
- 我々は、2024年9月の「カカドゥ」の機会を活用したインドとの海上哨戒機協力に関する活動の成功を歓迎する。
- 我々は、海洋警戒監視においてより緊密に協力するという考えを概念化する上でのインドの指導的役割を認識しつつ、2025年以降インド太平洋地域において日米豪印で海洋状況把握を強化することにコミットする。
- 我々は、2025年にパプアニューギニアで実施される「プクプク」や今後の「レンダー・セーフ」への豪州、日本及び米国の貢献を通じたものを含め、太平洋島嶼国との協力を深化する意図を有する。