子どもの頃に感じた、自衛官の尊さは変わらない。
安定した暮らしの中で、やりがいを持って働ける。
──普段のお仕事について教えてください。
高校卒業後に自衛官候補生として入隊し、現在は給養小隊員として、隊員の給食の調理、配膳を担当しています。給養員は、日々の任務や訓練に励んでいる自衛隊員の毎日の食事を調理する専門職です。食事は適正な栄養管理に基づいた献立を基に作られますが、その献立は、季節等に応じて変えることがあるなど、創意工夫ができます。そういったことも、この仕事が面白いと感じるポイントです。
──入隊前に抱いていたイメージと、入隊してからのイメージに、何か違いはありますか?
入隊前は、「体力的についていけるだろうか?」「厳しい人が多いのではないか?」という不安もありましたが、実際に入隊してみるとそんなことはなく、いい意味でイメージを裏切られました。
業務や訓練においては上司や諸先輩方のサポートが手厚いため、体力に自信の無かった私でも周りについていくことができました。また、様々なハラスメントの防止に積極的に取り組んでいるので、安心して任務に専念できます。
意外だったのが、休暇がしっかり取れることです。休暇取得が組織として推進されているので、プライベートの時間も充実しています。イメージ通りだったのが、給与の安定性ですね。社会情勢によって給与の変動がないため、生活が安定することも有難いと感じています。
──自衛官という仕事に感じる魅力に変化はありましたか?
自衛官に感じている魅力に変化はありません。中学生の時に経験した東日本大震災では、ニュースで自衛官が救助活動を行う姿をたくさん見ました。その時に、最前線で国民を助けるというのは尊い仕事だし、これこそ自衛官という仕事の魅力だと感じました。現在の給養員は裏方のイメージがありますが、多彩な職種職域のある自衛官は、どの職種であっても国防において重要な役割を担っていると感じます。
実際に派遣された隊員の方たちの話を聞くと、自分の普段の業務が国防に役立っていることを強く実感できます。日本は災害が多いため、いつ自分が派遣されても対応できるよう、恒常業務に加えて野外炊飯訓練をしています。
先輩たちの手厚いサポートのおかげで、
苦手だった「人前に出ること」を克服し、主体的な姿勢に変わった。
──自衛隊に入隊して、成長を実感できたことを教えてください。
入隊前は、皆の前に出て話すことや何かを教えることが苦手でした。実は、高校時代に所属していたサッカー部で、大人数の中で指示を出したり、部員をまとめたりすることが難しいなと感じていたんです。そのため、キャプテンや部長の補佐に回ることが多く、人の前に出て何かをすることに苦手意識を持つようになっていました。
入隊後は、職場内の安全教育など様々な訓練や教育があります。それらを通して大勢の仲間の前で話すスキルが身につき、いつの間にか人前に出ることへの苦手意識もなくなりました。また、先輩から手厚く仕事を教えていただいたことで、後輩ができた際にも分かりやすく教えることができるようにもなりました。先輩たちは言葉で説明するだけでなく、手本を見せつつ実践さながらの環境で教えてくれるんです。入隊前に苦手だと感じていたことが克服できたことは、大きな成長だと思います。
──働くうえで大切にしていることについて、入隊前後で変化はありましたか?
入隊時はとにかく必死でした。挨拶、礼儀を心がけ、コミュニケーションをしっかり取ること。分からないことはその都度聞き、確実に仕事を覚えることを大切にしていました。
経験を重ねるうちに空曹になり、今では後輩がたくさん増えました。これまで様々な仕事を任せてもらいましたし、後輩を指導する機会が増えてきた中で、今は「自分が部隊の主体になって仕事をしていこう」と思うようになりました。主体的に仕事に関わっていける環境ですし、これからはその姿勢を大切にしていきたいと考えています。
漠然とした目標しかなかった自分が、
今では仕事もプライベートも明確な目標ができた。
──ご家族やご友人、学生時代の先生など、入隊前後の反応はいかがでしたか?
入隊前・後に関係なく、周りはいつも快く応援してくれています。「自衛官になる」と決意を固めて相談した時も、両親や先生ともに賛成してくれて、嬉しかったことを覚えています。
でも先日、帰省した際の家族団らんの中で、父親から「最初は、数年で辞めるのではないかと心配になることもあったけど、思ったより長続きしていて安心したよ」と言われたんです。その言葉を聞いて、賛成・応援はしてくれていても、心配な気持ちもあったんだなと初めて気がつきました。それでも私の意志を尊重してくれた両親に、感謝しています。
──ご自身の夢や目標に変化はありましたか?
思い返すと、入隊前は「いつも幸せを感じていたい」といった漠然とした目標しかなかったんですよね。でも今は、定年までこの仕事を続けていくという明確な目標ができました。
あらためて料理が好きであることが実感できた給養員という仕事が楽しくて、定年まで続けていきたいと思うようになったんです。今後は、もっと喜んでもらえる食事を提供できるよう、調理技術を向上させていきたいと考えています。また、自衛官はしっかり休めるので、プライベートでは趣味の旅行を満喫したいです。休日を活用して色々な場所に出かけることも、自衛官になってからできたもう一つの私の目標です。
──もしも今、入隊前の18歳のご自身にメッセージを送るとしたら、何といいますか?
食事を提供した方たちから、笑顔で「美味しい」と言われることは本当に嬉しいし、やりがいを持って働くことができる仕事に出会えるよ。時には大変なこともあると思うけど、少し踏ん張って続けてごらん。「諦めなくて本当に良かった」と思う時がくるはず。
プライベートでは趣味の旅行に時間を割くこともできるようになるから、きっと、充実した人生を送ることができるよ!