アメリカ同時多発テロをきっかけに、
自衛官への道を意識した。
── 幹部候補生学校を目指したきっかけは何ですか?
きっかけは、2001年9月11日に起きたアメリカの同時多発テロでした。
あの一週間後に家族がニューヨークに行く予定があったため、「もし1週間早く行っていたらテロに巻き込まれていたかも…」と思ったんです。
その経験を通して、人々が平穏な生活を送れるように自分も何かしたいと思うようになり、自衛隊を受けることを決意しました。
中学校時代の友人が防衛大学に進学していたので、いろいろと自衛隊の話を聞かせてもらい、自分の中で具体的に「こうなりたい」という思いが高まりました。
募集事務所の方たちにも話を聞いて、大卒程度の能力を求められる幹部候補生という制度を知り、受験しました。
── 幹部候補生学校はどんな様子ですか?
幹部候補生とは、自衛隊の資質を養い、初級幹部自衛官として必要な基礎知識や技能を習得する学生の身分です。
将来的に、指揮官や幕僚といった組織の中枢で働くことが想定されます。
訓練の時は、それぞれの配置でリーダー的役割を果たしたり、船の操艦でも幹部がやるべき操艦訓練をしたり、一般の曹候補生とは異なる教育を受けます。
── 配属や、普段の勤務について教えてください。
最初の配属は、遠洋航海が終わる時期に職種が決まります。
第1希望から第3希望まで本人の希望も調査されますが、最終的にはそれぞれの部隊の所要を勘案して、任務に見合う能力の隊員が配属されます。
また、2年程度を目安に配置替えがあり、1年に1回配置調査が行われるので、そこで自分の希望を書けます。
私は航空装備という配置だったので、ヘリ部隊として千葉県館山の第21整備補給隊に配属されました。
海上自衛官でも、全員が船で勤務する訳ではなく、陸上配置やパイロットの配置もあります。
私は艦艇勤務は、「護衛艦ひゅうが」に整備士として1年5ヶ月乗艦していました。
部隊が無事に任務を完遂できて帰ってきた時には、自分も求められる対応ができたんだな、ということを実感できて喜びを感じました。