谷藤さんは、専門学校での広報官との出会いから、理学療法士の資格を活かす就職先として海上自衛隊を意識するようになったと言います。入隊後は、仲間と一つのことを成し遂げる喜びを知るなど、民間の病院では得られない貴重な経験もしたそうです。先輩たちに支えられながら患者様と苦楽を共にし、今ではたくさんの感謝の言葉をかけられるほど理学療法士として成長しています。
災害派遣の映像を見て心を打たれた。
そんな隊員をサポートしたいと思った。
── 自衛官になったきっかけは何ですか?
理学療法士の資格を取得するために専門学校に通っていたのですが、そこで自衛隊の広報官のお話を聞く機会がありました。
そのお話の中で、理学療法士という資格が自衛隊の中でも活かすことができると知って、興味を持ち始めたことがきっかけです。
民間の病院と悩む時期もありましたが、広報官に直接ご連絡してもう一度お話を聞かせてもらう中で、自衛隊が将来の選択肢の一つになりました。
── 海上自衛隊を選んだ理由はありますか?
テレビで災害派遣の映像を見た時、現地で救助活動をしている自衛隊の方たちの姿に心を打たれて、そんな隊員の方たちをサポートしたいと思うようになったんです。
公募海曹(現技術海曹)という入隊枠があるのですが、これは海上自衛隊が必要とする資格保有者を即戦力として採用する制度です。
理学療法士の資格を持つ隊員が少ないことを知って、その資格を持つ自分にも価値というか必要性があるのではないかと感じて、海上自衛隊への入隊を決めました。
── 入隊後、思い出に残っていることはありますか?
入隊後3ヶ月間は教育隊に入り、自衛隊の基本的な知識を身につけ、体力錬成などに励むことになります。
長距離走や泳ぎが苦手だったこともあり、最初は「ついていけないかも」と不安に思うこともありました。
それでも、毎日練習を積み重ねることで少しずつ周りのペースについていけるようになりました。
仲間と協力して何か一つのことをやり遂げ、喜びを分かち合うということは学生時代に経験することが少なかったので、とても素敵なことだと感じました。
そのことが一番印象に残っていますね。
知識も経験も少ない新卒で入隊した私を、
先輩方が丁寧にサポートして育ててくれた。
── 普段のお仕事について教えてください。
現在は自衛隊横須賀病院の診療部リハビリテーション科に所属しています。
そこで「歩く」「立つ」「座る」といった体の基本動作が不自由になってしまった隊員や一般の方々に向けて、リハビリテーションを実施しています。
病院勤務以外では、衛生隊も勤務地になっています。
── 民間の病院と違う感じることはありますか?
私は新卒で入隊したので、民間の病院と比べることが難しいのですが、先ほどお話した教育隊に入って自衛隊の基礎知識を学び、体力錬成をするという経験は自衛隊ならではのことだと思います。
また、自衛隊病院の当直業務は理学療法業務ではなく、医療事務のような仕事をしています。
そういった点も民間の病院とは違うことかもしれません。
── ご自身の成長を感じることはありますか?
新卒で入隊したので、自衛隊に関しても理学療法業務に関しても初めてのことばかりでした。
それでも同じ資格を持つ先輩方に、自衛隊や理学療法業務に関することを丁寧に教えていただき、とても助けられました。
そういったサポート受けながら知識を少しずつできることが増えていることが、成長していると感じられる点です。
入隊時に苦手だった持久走や水泳が克服できたことも成長を感じるし、嬉しかったですね。
一緒にリハビリを乗り越えた患者様から、
笑顔で感謝されることが、何より嬉しい。
── 印象に残っている仕事はありますか?
一番心に残っているエピソードとしては、患者様に直接、感謝の気持ちを述べられた時ですね。
どの患者様も最初は、手術を終えたばかりで苦しい思いをしながらリハビリを行っています。
一緒にリハビリを行っていく上で大変な思いをすることもあるのですが、容態が少しずつ良くなっていき、患者様の笑顔が見られる瞬間は嬉しいものです。
そんな患者様から感謝の言葉を述べられた時は、この仕事をやっていて良かったなと感じます。
── 今後の目標はありますか?
今後の目標は、隊員や一般の方々に関わらず一人でも多くの方々の心身のサポートをしていきたいと思っています。
そのために理学療法業務に関しての知識、技術を向上させることや自衛隊ならではの衛生業務についてもっと学んでいきたいです。
将来的には病院だけでなく、他部隊での勤務もしたいと考えています。
── 普段はどのような生活をしていますか?
平日にしっかりオフの時間がありますし、定期的な当直業務を除けば、土日も基本的にはお休みです。
平日は16時45分 に業務を終えたら隊舎に戻ってご飯食べて、その後は自由時間です。
私は好きな音楽を聴いたり、動画を見たりして1日の疲れをリフレッシュすることが多いですね。
土日は友人と買い物に出かけたり、カフェに行ったりもしますし、長期休暇を10日ほど取得して、地元の秋田で家族とゆっくり過ごしています。
── 自衛官を目指す方たちへのメッセージをお願いします。
民間の病院でも理学療法士の資格を活かしながら働くことができると思いますが、自衛隊では、自衛隊ならではの環境で働きながらたくさんのことを学べます。
「人の役に立ちたい」と思っている方、「日本国民を守りたい」と感じている方、また、「資格を活かして働きたい」という方に、ぜひ興味を持っていただきたいです!