── 自衛官を目指したきっかけは何ですか?
もともと海上自衛隊に少し興味はあったんです。
ただ、ちょっとハードルの高い職場であることと、自分は運動がそれほど得意でないため足踏みしていました。
そしたら、たまたま大学の先輩で海上自衛隊に入隊した先輩がいて「後悔することはないから入ってみればいいよ」という後押しがあり、それがきっかけで入隊しました。
入隊を家族に話した時は、「えっ、本当に入るの?」みたいな感じで。
自分が運動ができないことも、そんなにアクティブなタイプではないということも、親はよく知っているので半信半疑だったんだと思います。
でも、自衛隊記念日行事でパレード行進をする姿を見て、「意外とちゃんとやってるようでよかった」って安心してくれていました。
── 幹部候補生学校で、何が一番辛かったですか?
遠泳訓練が一番つらかったです。(※課程により11km〜15kmを、二人一組でバディを組み、分隊ごとに隊列を組んで泳ぐ。海の潮流の影響も受ける。)
私は泳ぎが苦手で、遠泳に必要な平泳ぎがそもそもできませんでした。
遠泳訓練の、本番1~2ヶ月くらい前から「赤帽」といって泳げない人だけが集められ、平泳ぎの練習をします。
このトレーニングの時間も、本番を泳いでる時も、泳げるようになったとは言ってもヒヨッコなので辛く感じました。
ただ、すべて泳ぎ終えたときの達成感は本当に何ものにも代えがたい感触です。
候補生の同期でも、防大出身じゃない一般大出身の候補生は、3分の1か4分の1ぐらいは泳げない人がいたんです。
みんなまとまってトレーニングをするんですけれど、基準のタイムや泳ぎができるようになったら合格となります。そうやって少しずつその組から抜けていくというスタイルで指導していただきました。
── 防大卒の人との差はありましたか?
はい、ありました。
自衛隊ならではのルールを、我々は全然分かっていない状態・防大生はよく知っている状態で入隊してくるので、そこに差は感じるんですけれども。
ただ、マイナス面ばかりというわけではなくて。
我々も4年間・あるいは2年間、一般大学で学んできたという自負があって来ているはずなので。
その分相互に助け合い、「防大生に追いつく」というよりは「防大生と一般大生の2つが一緒になってその中間を目指す」というのが、表現としては正しいかなと思います。
── 自衛官を目指す方たちへのメッセージをお願いします。
自衛隊は、同期や分隊長、教官の方々が必ず助けてくれるところです。
ですので、もし入隊を迷っていたら是非一歩を踏み出していただけたら嬉しいです。