高等工科学校生徒
富山県 布施 様
2011年3月11日、未曾有の大地震が東日本一帯を襲い、日本中が深い衝撃と悲しみに包まれました。…その日から、被災地を報道するさまざまな場面で、災害派遣された自衛隊員の姿が映し出されるようになりました。泥まみれ、埃まみれになりながらも、懸命に救助・支援活動を行うその姿は、今もなお心に深く刻まれています。息子も自衛官の卵として、そんな先輩方の姿を畏敬の念をもって見ていたことだろうと思います。
現在、息子は神奈川県にある陸上自衛隊高等工科学校の「生徒」として、尊敬する先輩方やたくさんの仲間と共に、日々、訓練や勉学に励んでおります。
15歳の春、「僕の早過ぎる巣立ちを許してくれてありがとう。僕は夢に向かって、一生懸命に頑張ってきます。心配しなくていいからね」と書き残し、飛び立った息子。その決意を初めて耳にした時は、正直、戸惑いました。まだまだ一緒に同じ時を過ごしたいと思っていましたし、何よりも15歳の息子を遠くに手放す勇気がなかったのです。
そんな私に、息子が兄のように慕っている広報官の方が、こう話してくださいました。「自衛官の私たちには、同じ志をもった仲間が日本中にいて、互いに支え合い、励まし合って壁を乗り越えています。お母さんの心配される気持ちも、同じ親としてよくわかります。でも、息子さんの思いを信じて、巣立ちを一緒に応援させてください。」
私は今、「あの時の決断は間違っていなかった。進ませて良かった」と心から思っています。慣れない集団生活や厳しい訓練の中で培った信頼や友情を糧に、息子の心も体もたくましく成長しているのを感じます。息子を励まし、導いてくださっている皆さま、そして、いつも私共家族を気遣ってくださっている地方協力本部や父兄会の皆さまには、感謝の気持ちでいっぱいです。
息子の挑戦はまだ始まったばかり。これから先も、大きな壁がいくつも立ちはだかり、行く手を阻むでしょう。岐路に立たされた時には、悩み、苦渋し、自分の決断に迷いを感じることもあるでしょう。でも、支え合う仲間と「夢を叶えたい」という強い思いがあるならば、きっと乗り越えられると信じています。
息子よ、あなたはあなたらしく一生懸命に生きなさい、そして…佳き人生を!