自衛隊幹部候補生
北海道 井上 様
「僕、自衛隊に入るから」と大学院に進学した秋に、息子から突然の電話。
自衛隊の組織などまったく分らない私どもは「2等兵かい?」と思わず聞いてしまいました。「一般幹部候補生の試験に受かった」と言われて何のことかよく理解できないまま、息子が選んだ職業だからと了承はしたものの自衛隊と聞いて、トラックに乗せられて演習場に向かうイメージしか湧いてきませんでした。
大学院へ入学して公認会計士の試験に合格し、英語・ドイツ語検定の1級を取得したほか、大学時代には宅建、小型船舶、秘書検定、FPなど10種類を超える資格を得ていましたので、就職氷河期とはいえ何の心配もしておりませんでした。実際、外資系会計事務所から就職支度金5,000万円、年収1,000万円の提示があったほか、頼まれて入社試験を受けた某ビール会社にも合格していたのに、『何で自衛隊?』と不思議でなりませんでした。
思えば、中学生時代の恩師が自衛隊経験者で、自衛隊の話を聞かされていた影響なのではと思います。加えて、息子が大学生のときに、秋田地本の自衛官募集担当の方が熱心に幹部候補生受験を勧めてくださり、真剣に就職先と考えていたように思います。大学院を休学して、久留米の陸上自衛隊幹部候補生学校に入学した時は、厳しい訓練に耐えられるのか心配でした。何とか卒業し、第一師団の部隊に配属され、休学していた大学院に復学・卒業し、その後はありがたいことに上司の勧めもあり、東京大学大学院の博士課程を修了して現在に至っております。
息子が自衛隊に入ったおかげで父兄会に入会させていただき、これまで知らなかった自衛隊の姿を理解でき、多くの父兄会の方々と知り合えたことは私どもにとって大きな喜びです。
報道で知る災害派遣や海外活動などでの自衛隊の活躍は、父兄として誇らしい気持ちでいっぱいです。今や世界は経済の混迷やテロの恐怖、自然災害など混沌とした情勢にあり、日本でも東日本大震災、福島原発、台風被害などで大変な状況にある中、自衛隊のますますの活躍が望まれているところと感じております。そのような情勢下で、息子には日本だけでなく世界にも目を向けた多才な自衛官として、大きく成長してもらいたいと願っています。