2026年8月に放射線科部長を拝命いたしました梅田諭です。
放射線科は画像診断部門、放射線治療部門の2つで構成されております。
CT、MRI、核医学検査(PET-CT、SPECT-CT)などの撮影装置を用いた専門的な検査および読影を実施しています。
加えてIVR-CTを用いた検査・治療も行っています。健診のレントゲン写真や乳がん検診のマンモグラフィの読影も一部行っています。
放射線治療装置を用いた放射線照射による腫瘍等に対する治療を主に行っており、加えてRI内用療法(体内に取り込んだ放射性同位元素(RI)を用いる治療法)も一部行っています。
放射線科における画像診断にはCTやMRIが代表的なモダリティ(撮影装置の種類)ですがその他にPET-CTやSPECT-CTなどの検査装置もありそれぞれが異なる機能・特長を有しており進化を遂げ続けています。
また、診断のみでなく治療や侵襲的な検査も行えるIVR-CT装置もあり日々診療に貢献しています。
CT(computed tomography: コンピューター断層撮影)
X線を用いて断層画像を得るCT検査装置は1972年に実用化されて以来現在に至るまで進化し続けており、当院に2020年に導入されたCT検査装置は256列の検出装置を備え、エネルギー強度の異なる2つのX線を利用したデュアルエネルギー・スキャンも可能であり、年間8,000件以上の検査を実施しており日々臨床に役立っています。

MRI(magnetic resonance imaging: 核磁気共鳴画像法)
1946年に核磁気共鳴現象(NMR: nuclear magnetic resonance)が発見され、人体の撮影に1977年に成功して以来現在に至るまで幅広く臨床応用され進化し続けています。
当院では静磁場強度が3.0T(テスラ)、1.5Tの2つのMRI検査装置があり、それぞれ2021年と2026年に更新され年間2,000件前後の検査を行っています。
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PET-CT(positron emission tomography: 陽電子放出断層撮影)
PET-CT検査装置は陽電子を用いるPET検査装置とX線を用いるCT検査装置をハイブリッドにした検査装置です。全身へのPET製剤の分布を診るPET画像と、検査範囲の体の構造を診るCT画像を融合(fusion)することによって解剖学的なPET製剤の分布を精度高く観察することができ診断に貢献します。
当院のPET-CT検査装置は2024年12月の導入と比較的新しく、半導体検出器を備えた装置となっており、従来機よりも画質が向上しており検査時間も短くなっています。
これまではブドウ糖の類似物質である18F-FDG製剤を中心とした検査を実施していましたが、2026年からは当施設でもアルツハイマー病の診断を補足するアミロイドPET検査も始めております。
当施設では未だ導入しておりませんが、現在では前立腺がんの治療に繋がる68Ga-PSMAや脳腫瘍の診断・治療に繋がる18F-Fluciclovineが日本国内でも保険収載されており、海外では神経内分泌腫瘍の診断・治療に繋がる18F-DOTATATEなども臨床応用されておりPET-CTの適用疾患は拡大し続けており、内用療法と連携したTheranosticsも拡大しています。
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| 【シーメンスヘルスケア社製Biograph Vision】 |
SPECT-CT(single photon emission computed tomography: 単一光子放射断層撮影)
SPECT-CT検査装置とはガンマ線を出す放射性同位元素(RI)と結合したRI製剤の体内の分布を診るガンマカメラ(SPECT)と、X線を用いて体の構造を診るCT装置がハイブリッドになったものです。これによってSPECT単独の検査よりもRI製剤の分布を高精度に診ることができ、質の高い検査結果を提供できるようになっています。当院では2026年に導入しており従来機よりも検出精度が高まっています。
SPECT検査では骨シンチグラフィや甲状腺シンチグラフィ、ガリウムシンチグラフィが多く行われていますが、脳の状態を診る99mTc-ECD、123I-IMP、123I-ioflupaneなどを用いた検査や、心臓の状態を診る99mTc-tetrofosminを用いた検査、肺の血流や換気を診る99mTc-MAA、81mKrを用いた検査、その他にも肝機能や腎機能・形態を診る検査などがあり長い歴史と共に適用範囲の広い検査となっています。

IVR(interventional radiology: インターベンション: 放射線カテーテル治療)
血管造影は1927年に脳血管の造影に始まり現在に至るまでその応用範囲が拡大し続けている検査です。
当院でも長く行われており、2026年度はIVR-CT装置を更新中です。フラットパネル・ディスク(FPD)と3次元画像の再構成も可能なC-armを備えており、全身のインターベンション(IVR)をカバーする汎用性の高い診断・治療装置となる予定です。
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| 【シーメンスヘルスケア社製AXIOM Artis dTA】 |
スタッフ紹介
| 氏 名・職 名 | 資格等 |
| 梅田 諭 放射線科部長 ![]() |
・ 日本医学放射線学会放射線診断専門医 ・ 日本専門医認定機構放射線科専門医 ・ 日本医学放射線学会研修指導医 ・ 日本核医学会核医学専門医 ・ 日本核医学会PET認定医 |
| 藤井 学 放射線科副部長 |
・ 日本医学放射線学会放射線診断専門医 ・ 日本医学放射線学会研修指導医 ・ 日本専門医認定機構放射線科専門医 |
| 實 素行 放射線科診断医長 |
・ 日本医学放射線学会放射線診断専門医 ・ 日本医学放射線学会研修指導医 ・ 日本専門医認定機構放射線科専門医 |
| 渡邉 定弘 放射線科治療医長 |
・ 日本医学放射線学会放射線診断専門医 ・ 放射線カテーテル治療専門医 ・ 日本医学放射線学会研修指導医 ・ 日本専門医認定機構放射線科専門医 ・ 日本核医学会核医学専門医 ・ 日本核医学会PET認定医 ・ 医学博士(防衛医科大学校、2016年取得) |
| 見越 綾子 精査室医長 |
・ 日本医学放射線学会放射線診断専門医 ・ 日本医学放射線学会研修指導医 ・ 日本専門医認定機構放射線科専門医 ・ 日本核医学会PET認定医 ・ 医学博士(防衛医科大学校、2023年取得) |
| 岡野 孔亮 | ・ 日本医学放射線学会放射線診断専門医 ・ 日本医学放射線学会研修指導医 ・ 日本専門医認定機構放射線科専門医 ・ 医学博士(防衛医科大学校、2024年取得) |
| 円城寺 康宏 | ・ 日本医学放射線学会放射線診断専門医 ・ 放射線カテーテル治療専門医 ・ 日本医学放射線学会研修指導医 ・ 日本専門医認定機構放射線科専門医 |
悪性腫瘍(がん)は正常な細胞よりも放射線に弱いことを利用したがん治療です。完全にがんを治す目的の根治的治療から、苦痛を取り除く目的の緩和的治療まで幅広く使用されます。がん患者さんは経過中に半数の方で放射線治療が必要になるとされており、さまざまな診療科と連携して多くのがん患者さんの治療に当たっています。近年の放射線治療の進歩は目覚ましく、より根治性が向上し副作用が少なくなってきています。放射線治療は患者さんへの負担が比較的少なく、いわゆる「切らずに治す」ことが見込める治療法です。高齢の方や他の病気をお持ちの方であっても、多くの場合で無理なく治療を受けていただくことができます。
① 主科の先生から御依頼をいただき、放射線科の外来を受診していただきます。外来日は火曜日です。
② 放射線科の診察を受けていただき、放射線治療の適応があるかどうかを判断いたします。適応がある場合、医師から治療の説明を行い、看護師がオリエンテーションをいたします。
③ 放射線治療計画を立案するために、治療する体勢でCTを撮影いたします。場合によっては身体固定具の作成やMRIなどの画像を撮影することもあります。
④ 医師と放射線技師が治療計画の立案と検証作業を実施したのちに治療開始します。CT撮影から治療開始までは、計画の複雑さによりますが2~7日程度を要します。
⑤ 放射線治療は基本的に1日1回、15分間程度です。じっと横になっているだけで治療は終わります。治療中は医師の診察を週1回受けていただきます。
⑥ 放射線治療終了後は、通院可能であれば定期的に経過を診させていただきます。
治療装置をTruebeam(Varian社)に更新し2025年6月に運用を開始

体表面位置照合システムIDENTIFYにより体表面領域の位置精度向上、呼吸性移動対策、皮膚マーキングの量と範囲を減らすことによる整容上の配慮が可能です。

当科は2009年に現在の新病院が開院して以来、積極的に高精度な放射線治療に取り組んできました。新病院開院から10年間の放射線治療件数は1373件でした。そのうち高精度放射線治療と言われるものの内訳は、頭部の定位放射線治療が63件、体幹部放射線治療が215件(肺癌: 183件、肝癌: 32件)、強度変調放射線治療155件(前立腺癌: 116件、その他の疾患: 39件)でした。じつに全体の3割以上を高精度放射線治療が占めています。2025年の装置更新により、放射線治療の高精度化をさらに推進しています。
● 強度変調放射線治療
放射線の当てる「強さ」を時間的空間的に変化させることで、標的であるがんに放射線を集中させ、周囲の正常な臓器にはなるべく放射線を当てない技術を強度変調放射線治療(IMRT: Intensity ModulatedRadiation Therapy)と言います。この治療法は治療時間がかなり長くなりがちなのが欠点でしたが、通常の治療とほとんど変わらず短時間で治療できる回転型の強度変調放射線治療(VMAT: Volmetric ModulatedArc Therapy)を当院ではかなり早い段階から導入しました。当科がこの技術で最も多く治療してきた病気は前立腺癌です。前立腺癌は放射線の投与量を上げることで成績が改善しますが、この技術によって正常臓器の副作用を抑えつつ、無理なく前立腺癌に放射線を多く当てることが可能になります。2019年から前立腺癌の患者さんの希望に応じてハイドロゲルスペーサーと金マーカーを留置したうえで強度変調放射線治療を実施しており、代表的な副作用である直腸出血がほとんどなくなりました。
● 定位放射線治療
限局した病変に放射線を多方向から集中させることで局所的に極めて強い放射線を当てることにより、あたかも病変を「焼き切る」ような治療法です。1回あたりに多くの放射線を投与するため治療回数は1~5回と少ない回数で済み、少ない負担で治療を終えることができます。転移性脳腫瘍、肺癌、肝癌、前立腺癌、腎癌、膵癌、転移性脊椎腫瘍、5個以下の少数個転移等に保険適用で本治療を実施できます(進行度等により適用にならない場合があります)。
PET/CT装置は悪性腫瘍(がん)の診断に有用な画像検査であり、2025年1月に新しいPET/CT装置であるBiograph Vision (Siemens社)の運用を開始しました。当院は核医学部門と放射線治療部門が密接であり、核医学検査であるPET/CTの撮影室に放射線治療に必要な装置(治療用の平坦な寝台、位置照合用のレーザーなど)が取り付けてあります。これによって、PET/CT画像から放射線治療計画を立案することができます。リンパ腫という病気ではPET/CTを治療計画に用いることがほぼ必須化しており、その他の病気でもPET/CT計画が威力を発揮します。

肺癌の放射線治療後に再発した症例ですが、CTのみでは治療後の変化と腫瘍の区別がつきにくい状態です。

治療計画にPET/CTを用いることで、腫瘍の局在が明確になります。

PET/CTで集積を認めた部位に対して治療計画を立案しました。
| 氏 名・職 名 | 資格等 |
| 國島 直晃 診療放射線技師養成所副所長 |
・ 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会放認定 射線治療専門医 ・ 日本医学放射線学会研修指導医 ・ 医学博士(順天堂大学、2018年取得) |