重要技術分野
The important technology areas
ABOUT 重要技術分野について
将来にわたり、我が国を守り抜く上で重要な技術分野(以下「重要技術分野」という。)を具体化する。この重要技術分野には、 10 年以上先も見据え、将来にわたって技術的優越を確保し、他国に先駆けて先進的な能力を実現するために、防衛省の自己投資で獲得すべき技術分野と、官民で連携して獲得していく技術分野の両方が含まれる。 また、重要技術分野のうち、我が国を守り抜くために必要な機能・装備の早期創製につながるものについては、時宜を逸することなく防衛省として取り込み、防衛力の強化につなげていく。
重要技術分野の12分野について
隊員の負担、損害を局限しつつ、隊員以外の付随的な損害も局限する無人化、自律化
我が国を守り抜く上で最も重要な要素は「人」である。人口減少、特に生産年齢人口の減少が進展する中、その負担、損害を局限することは、我が国を守り抜く上で極めて重要である。
また、有事、グレーゾーンと平時の境目が曖昧になる中、隊員以外への付随的な影響を局限することも、新たな活動の中では重要になってくる。このような機能・能力は、物理分野のみならず、情報分野及び認知分野での優勢を獲得する上でも重要である。
従来使っていなかったプラットフォームの活用
これまでの、車両、船舶、航空機といったプラットフォームは、高烈度な活動においては、引き続き重要な役割を果たすと見込まれる。一方で、様々な技術の活用等により、これまでの当たり前が成り立たなくなる可能性もある新たな活動の場においては、従来のプラットフォームが役に立たない状況が生起する可能性も高い。
このような新たな活動の場においても、我が国を守り抜くため、プラットフォームについても、従来の常識にとらわれない発想で考えていく必要がある。
従来使っていなかったエネルギーの活用
各種のエネルギーは、あらゆる活動の源となるとともに、相手に直接エネルギーを投射することで効果を及ぼすなど、様々な局面で重要な役割を果たしている。
特に、無人機の動力源としてのエネルギーや、高出力レーザに代表される新たな効果を及ぼす手段としてのエネルギーについては、従来の延長とは異なる発想で技術の活用を考えていく必要がある。
新たな機能を実現する素材・材料、新たな製造
これまでの「当たり前」を超えた機能を実現する素材・材料や新たな製造手法を獲得することで、防衛省・自衛隊の装備、能力を抜本的に強化することも必要となる。
より早く、正確に情報を得るためのセンシング
情報を得るためのセンシングは、様々な活動を行うための基本的な機能・能力となる。
そのセンシングをより早く、より正確に行うことは、より効果的、効率的な活動の実現につながる。
このような機能・能力は、情報分野のみならず、認知分野での優勢を獲得する上でも重要である。
膨大な情報を瞬時に処理するためのコンピューティング
活動の場の情報化、IoT*化により、これまでは想定していなかったような膨大な情報を活動の場で扱う必要が出てきているが、過剰な量の情報は、場合によっては現場の隊員を混乱に陥れることにもなりかねない。これを避けるためには、膨大な情報を瞬時に処理し、隊員が理解しやすい形にする機能・能力も必要になる。そのためには、従来型コンピュータの段階的な能力向上を待つだけでなく、新たな情報処理技術、演算技術等を創出していくことも必要である。このような機能・能力は、情報分野のみならず、認知分野での優勢を獲得する上でも重要である。
* IoT: Internet of Things。あらゆるモノがネットワークに接続され、情報等をやりとりできる状態。
これまで見えなかったもの(例えば遠くのもの、電磁波や隊員の意思決定プロセス)の見える化
これまで防衛省・自衛隊は、様々な活動や様々なアセットの活用により、我が国及び周辺の状況を見える化してきたが、その範囲は、レーダ等の情報収集アセットがカバーする覆域や、直接行ける場所に限られているというのが常識だった。
その限界を超え、これまで見えなかった範囲、例えば、地球の裏側にある物体、目には見えない電磁波、さらには隊員の意思決定プロセスも見える化できれば、”彼を知り、己を知る”能力を高度化できる。このような機能・能力は、情報分野のみならず、認知分野での優勢を獲得する上でも重要である。
仮想、架空情報をあたかも現実かのように見せる能力
膨大な情報を得たとしても、うまく指揮官等に伝えられなければ、それらは活用できない。また、情報は伝え方によって、役に立つものにもなるし、混乱要素にもなる。情報は、これを受け取った指揮官等が正確に理解することで、効果を発揮するものである。
かかる観点を踏まえれば、我々の中では、“見えない情報”を含めたあらゆる情報を認識しやすい形で我々自身に見せるとともに、相手に対しては、架空の情報を含む様々な情報を、我々に都合のよい形で見せることで、相手の状況観測活動を惑わせ、相手の行動を混乱させることも、我々の優越を確保するという観点で必要になる。このような機能・能力は、情報分野のみならず、認知分野での優勢を獲得する上でも重要である。
未来の状況を予測して先手を打つ判断能力の強化
「今」に関する情報を大量かつ高精度に取得して高度に見える化できれば、高度な情報関連技術を活用し、その情報を元に未来を精度よく見通すこともできるようになるのではないか。
もし、我々と相手の未来を予測できるのであれば、我々の利点を伸ばすこと、我々の弱点を補うこと、対応に必要な資源を確保することなどを、将来の活動に先立って行うことで、将来の活動に備えることが可能になる。また、相手の未来を予測できれば、相手の弱点を突き、相手の強みを避けて活動する、といった 先手先手 の対応が可能になる。
このような機能・能力は、情報分野のみならず、認知分野での優勢を獲得する上でも重要である。
組織内外において、どこでも誰とでも正確、瞬時に情報共有を可能とするネットワーク
活動の現場で得た情報は、単一の組織内のみならず、防衛省・自衛隊全体として迅速かつ正確に共有しなければ、活動の場で有効に活用することはできない。
現在は、必要な者をつなぐネットワークは構築されているが、それを”面”としてさらに広げ、全ての者が、必要に応じて、いつでも、どこでも、誰とでも安心してつながることができる状況を創っていく必要がある。
効率的、効果的にサイバー空間を防御する能力
サイバー空間における攻撃は、あらゆるルートから、あらゆる手段で、あらゆるタイミングで実施されるため、常時継続的な対応を行う必要がある。一方、全てに人力で対応するとなると、膨大なリソースと人的負担を強いられることになる。
それを避けるためには、あらゆるルート、手段、タイミングで実施されるサイバー攻撃を可能な限り効率的、効果的に防御する能力を実現する必要がある。
認知能力の強化
認知分野での活動においては、我々の認知能力を上げ、相手の認知能力を下げることで、我々の優勢を高めることが必要である。そのためには、隊員一人一人、特に認知分野の中心となる「指揮官、幕僚」の認知能力を強化する必要がある。