岐阜基地ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
8月の納涼祭は、天候にも恵まれ、沢山の方々にお越し頂きました。
2年連続無事に開催でき、皆様と触れ合うことができ、本当に良かったと感じております。
暑さが和らぎ、季節が変化していく中で、現在は航空祭に向けて準備を進めています。
話は飛びますが、子供の頃、私はウルトラマンが大好きでした。
熱心にカードを集めましたし、テレビに登場するヒーローや怪獣、その中で飛び交う乗り物を、本物なんだと信じきっていました。
しかしながら、ある日を境に、ヒーローやカッコいい乗り物というものは、みんなニセモノじゃないのかと、冷めた気持ちを持つようになりました。
小学校1年生の夏休み、両親が働くお店の近くのスーパー・マーケットの催物会場でウルトラマンのショーがあると聞き、私は母にねだり、連れて行ってもらいました。
ドキドキしながら、目を輝かせ、ヒーローの登場を待っている。日差しが照りつける暑い日でした。
でも時間が過ぎてもなかなか出てこない。
主題歌が何度も流され、周りがザワツキはじめた頃、お姉さんの「お待たせしました、正義の味方の登場です。」という声とともに、憧れのヒーローが出てきました!
ところが、そのヒーローは、スタッフに囲まれ、後ろのファスナーを背中まで開けている。
そしてスタッフの一人が氷入りのビニール袋で後頭部を冷やしている。
しかも着ぐるみの中から口は丸見えで、手は生身の人間の手。
握手を求めてきましたが、私はショックで手を引っ込めてしまいました。
光の国から来たヒーローが、こんなに暑さに弱いとは・・・・。「これではゼットンやバルタン星人には絶対に勝てない。果たして地球の平和は守れるのか。」と思いました。
その日から少しの間、私はあらゆるヒーローや、現実離れしたカッコいい戦闘機も、全てが架空のものだと思い込み、なにやら少し切ない気持ちになったことを覚えています。
そんな時代を過ごした私ですが、その夏の日の光景は、家族と過ごした眩しい記憶として、今でも鮮明に残り続けています。またウルトラマンも永遠の憧れとして、私の心の中で正義の味方として生き続け、戦い続けています。
そして今や、本物の戦闘機等、正義の味方と一緒に仕事をするようになり、平和を守ることそのものが自分自身の生業(なりわい)にもなっています。
現実離れし、とても遠い存在だと感じたものが近くにいる。少し不思議な気持ちですが、沢山の正義の味方とともに仕事ができる喜びを噛みしめる毎日です。
11月17日の航空祭では、たくさんの空を彩る正義の味方達が皆様をお待ちしています。
航空機、地上装備品、そして隊員達。本物のヒーロー達を肌で感じて頂きたいと思いますし、目を輝かしてお越しになる皆様が、小学生の私みたいに冷めないよう、素晴らしい航空祭にしたいと考えております。
航空自衛隊創設70周年を記念し、様々な企画も用意していますので、是非お越しになり、お楽しみください。
澄みわたる秋空が待ち遠しい今日この頃、御自愛専一に、皆様の御健康、御多幸をお祈り申し上げます。
今後とも岐阜基地への御理解、御指導をよろしくお願い致します。
令和6年10月2日
航空自衛隊岐阜基地司令 空将補 山本 光伸