沖縄問題についての内閣総理大臣談話

平成8年9月10日

閣議決定

 私は、過ぐる大戦において沖縄県民が受けられた大きな犠牲と、沖縄県勢の実情、そして今日まで沖縄県民が耐えてこられた苦しみと負担の大きさを思うとき、私たちの努力が十分なものであったかについて謙虚に省みるとともに、沖縄の痛みを国民全体で分かち合うことがいかに大切であるかを痛感いたしております。
 また、地位協定の見直し及び米軍基地の整理・縮小を求める今回の県民投票に込められた沖縄県民の願いを厳粛に受けとめております。
 日米安全保障条約は、日本の安全のみならず、アジア・太平洋地域の平和と安全を維持していく上で、極めて重要な枠組みであります。米軍の施設・区域はその中心的な役割を果たすものであり、その安定的使用を確保することが重要であると認識しております。
 政府としては、普天間基地の返還・移設や県道104号線越え実弾射撃訓練の本土移転などの諸課題について、米国と協議を進めるとともに、各地域住民の御理解と御協力を得ながら、その解決に向けて全力を尽くしてまいります。
 さらに米軍施設、区域の75%が沖縄県に集中し、住民の生活環境や地域振興に大きな影響を及ぼしている現状を踏まえ、引き続き米国との間で米軍の施設・区域の整理・統合・縮小を推進するとともに、地位協定上の課題について見直しを行い、一つ一つその改善に努力してまいる考えであります。
 私は、今年4月のクリントン米大統領との共同宣言で明らかにしたように、今後とも、アジア情勢の安定のための外交努力を行うとともに、米軍の兵力構成を含む軍事態勢について、継続的に米国と協議してまいります。
 豊かな自然環境や伝統、文化を生かしつつ、県土構造の再編、産業経済の振興及び生活基盤の整備等を進め、平和で活力に満ち、潤いのある地域の実現を目指した「21世紀・沖縄のグランドデザイン」は、沖縄県がその願いを込めた構想であると承知いたしております。
 政府としては、この構想を踏まえ、通信、空港、港湾の整備と国際経済交流、文化交流の拠点の整備を行うとともに、自由貿易地域の拡充等による産業や貿易の振興、観光施策の新たな発掘と充実、亜熱帯の特性に配慮し、医療、環境、農業等の分野を中心とした国際的な学術交流の推進とそれに伴う関連産業の振興等のプロジェクトについて沖縄県と共に検討を行い、沖縄県が地域経済として自立し、雇用が確保され、沖縄県民の生活の向上に資するよう、また、我が国経済社会の発展に寄与する地域として整備されるよう、与党の協力を得て全力を傾注してまいります。
 私は、このような趣旨に沿った沖縄のための各般の施策を進めるために、特別の調整費を予算に計上するよう大蔵大臣に検討を既に指示いたしました。
 また、内閣官房長官、関係国務大臣、沖縄県知事などによって構成される沖縄政策協議会(仮称)を設置し、沖縄に関連する基本施策について協議していただき、それを踏まえて政府として、沖縄に関連する施策の更なる充実、強化を図ってまいる所存であります。
 重ねて、沖縄問題について国民の皆様の御理解と御協力をお願いするものであります。

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