2015年4月27日
岸田外務大臣
中谷防衛大臣
ケリー国務長官
カーター国防長官
2015年4月27日、ニューヨークにおいて、岸田文雄外務大臣、中谷元防衛大臣、ジョン・ケリー国務長官及びアシュトン・カーター国防長官は、日米安全保障協議委員会(SCC)を開催した。変化する安全保障環境に鑑み、閣僚は、日本の安全並びに国際の平和及び安全の維持に対する同盟のコミットメントを再確認した。
閣僚は、見直し後の新たな「日米防衛協力のための指針」(以下「指針」という。)の了承及び発出を公表した。この指針は、日米両国の役割及び任務を更新し、21世紀において新たに発生している安全保障上の課題に対処するための、よりバランスのとれた、より実効的な同盟を促進するものである。閣僚は、様々な地域の及びグローバルな課題、二国間の安全保障及び防衛協力を多様な分野において強化するためのイニシアティブ、地域協力の強化の推進並びに在日米軍の再編の前進について議論した。
2015年の米国国家安全保障戦略において明記されているとおり、米国はアジア太平洋地域へのリバランスを積極的に実施している。核及び通常戦力を含むあらゆる種類の米国の軍事力による、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントがこの取組の中心にある。日本は、この地域における米国の関与を高く評価する。この文脈において、閣僚は、地域の平和、安全及び繁栄の推進における日米同盟の不可欠な役割を再確認した。
日本が国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の政策を継続する中で、米国は、日本の最近の重要な成果を歓迎し、支持する。これらの成果には、切れ目のない安全保障法制の整備のための2014年7月1日の日本政府の閣議決定、国家安全保障会議の設置、防衛装備移転三原則、特定秘密保護法、サイバーセキュリティ基本法、新「宇宙基本計画」及び開発協力大綱が含まれる。
閣僚は、新たな指針並びに日米各国の安全保障及び防衛政策によって強化された日米同盟が、アジア太平洋地域の平和及び安全の礎として、また、より平和で安定した国際安全保障環境を推進するための基盤として役割を果たし続けることを確認した。
閣僚はまた、尖閣諸島が日本の施政の下にある領域であり、したがって日米安全保障条約第5条の下でのコミットメントの範囲に含まれること、及び同諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することを再確認した。
1978年11月27日に初めて了承され、1997年9月23日に見直しが行われた指針は、日米両国の役割及び任務並びに協力及び調整の在り方についての一般的な大枠及び政策的な方向性を示してきた。2013年10月3日に東京で開催されたSCCにおいて、閣僚は、変化する安全保障環境に関する見解を共有し、防衛協力小委員会(SDC)に対し、紛争を抑止し並びに平和及び安全を促進する上で同盟が引き続き不可欠な役割を果たすことを確保するため、1997年の指針の変更に関する勧告を作成するよう指示した。
本日、SCCは、SDCが勧告した新たな指針を了承した。これにより、2013年10月に閣僚から示された指針の見直しの目的が達成される。1997年の指針に代わる新たな指針は、日米両国の役割及び任務についての一般的な大枠及び政策的な方向性を更新するとともに、同盟を現代に適合したものとし、また、平時から緊急事態までのあらゆる段階における抑止力及び対処力を強化することで、より力強い同盟とより大きな責任の共有のための戦略的な構想を明らかにする。
新たな指針と切れ目のない安全保障法制を整備するための日本の取組との整合性を確保することの重要性を認識し、閣僚は、当該法制が、新たな指針の下での二国間の取組をより実効的なものとすることを認識した。米国は、日本の「積極的平和主義」の政策及び2014年7月の閣議決定を反映する当該法制を整備するために現在行われている取組を歓迎し、支持する。
指針の中核は、引き続き、日本の平和及び安全に対する揺るぎないコミットメントである。新たな指針は、日米両政府が、二国間協力を次の様々な分野にもわたって拡大しつつ、切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な同盟としての対応を通じてそのコミットメントを果たすための能力を強化し続けるための方法及び手段を詳述する。
同盟調整メカニズム: 新たな指針の下で、日米両国は、平時から緊急事態までのあらゆる段階における切れ目のない対応を可能とする、平時から利用可能な、政府全体にわたる同盟内の調整のためのメカニズムを設置する。
地域的な及びグローバルな協力: 新たな指針は、同盟が、適切な場合に、日本の国内法令に従った方法により、平和維持活動、海洋安全保障及び後方支援等の国際的な安全保障上の取組に対して一層大きな貢献を行うことを可能とする。閣僚は、地域の及び他のパートナー並びに国際機関と協力することの重要性を改めて表明した。
新たな戦略的な協力: 変化する世界は現代的な同盟を必要としており、新たな指針は、日米両国が、宇宙及びサイバー空間において、また、領域を横断する形で効果をもたらすことを意図した活動を行うに当たり、協力を行うための基盤を構築する。
人道支援・災害救援: 新たな指針は、日本及び世界各地における大規模災害への対処における二国間協力の実効性を一層向上させるために日米両政府が協働し得る方法を示す。
力強い基盤: 新たな指針はまた、防衛装備・技術協力、情報協力・情報保全及び教育・研究交流を含む、二国間協力のあらゆる側面に貢献する取組及び活動を示す。
閣僚は、新たな指針の下での共同の取組に着手するとの意図を確認した。この文脈において、SCCは、SDCに対し、平時から利用可能な同盟調整メカニズムの設置及び共同計画策定メカニズムの改良並びにこれによる共同計画の策定の強化を含め、新たな指針を実施するよう指示した。閣僚はまた、新たな指針が展望する後方支援に係る相互協力を実施するための物品役務相互提供協定を迅速に交渉するとの意図を表明した。
閣僚は、様々な分野における二国間の安全保障及び防衛協力を強化することによって同盟の抑止力及び対処力を強化するための現在も見られる進捗について、満足の意をもって留意する。閣僚は、
さらに、閣僚は、在日米軍駐留経費負担が、複雑さを増す安全保障環境において日本の平和及び安全に資するものである前方展開した在日米軍のプレゼンスに対する日本の継続的な支援を示してきたことを確認した。閣僚は、2011年6月のSCC文書に示す現行の在日米軍駐留経費負担のコミットメントが2016年3月に終了することに留意し、適切な水準の在日米軍駐留経費負担を行う将来の取決めに関する協議を開始する意図を表明した。
共同の活動の範囲が拡大していることを認識し、閣僚は、同盟管理プロセスの効率性及び実効性を強化する適切な二国間協議の枠組みを可及的速やかに検討するとの意図を確認した。
日米同盟がアジア太平洋地域の平和及び安全の礎であり、また、より平和で安定した国際安全保障環境を推進するための基盤であることを認識し、閣僚は、次の分野における最近の進展を強調した。
閣僚は、在日米軍の再編の過程を通じて訓練能力を含む運用能力を確保しつつ、在日米軍の再編に係る既存の取決めを可能な限り速やかに実施することに対する日米両政府の継続的なコミットメントを再確認した。閣僚は、地元への米軍の影響を軽減しつつ、将来の課題及び脅威に効果的に対処するための能力を強化することで抑止力が強化される強固かつ柔軟な兵力態勢を維持することに対するコミットメントを強調した。この文脈で、閣僚は、普天間飛行場から岩国飛行場へのKC-130飛行隊の移駐を歓迎し、訓練場及び施設の整備等の取組を通じた、沖縄県外の場所への移転を含む、航空機訓練移転を継続することに対するコミットメントを確認した。
この取組の重要な要素として、閣僚は、普天間飛行場の代替施設(FRF)をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することが、運用上、政治上、財政上及び戦略上の懸念に対処し、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを再確認した。閣僚は、この計画に対する日米両政府の揺るぎないコミットメントを再確認し、同計画の完了及び長期にわたり望まれてきた普天間飛行場の日本への返還を達成するとの強い決意を強調した。米国は、FRF建設事業の着実かつ継続的な進展を歓迎する。
閣僚はまた、2006年の「ロードマップ」及び2013年4月の統合計画に基づく嘉手納飛行場以南の土地の返還の重要性を再確認し、同計画の実施に引き続き取り組むとの日米両政府の決意を改めて表明し、2016年春までに同計画が更新されることを期待した。閣僚は、この計画に従ってこれまでに完了した土地の返還のうち最も重要な本年3月31日のキャンプ瑞慶覧西普天間住宅地区の計画どおりの返還を強調した。
閣僚は、日米両政府が、改正されたグアム協定に基づき、沖縄からグアムを含む日本国外の場所への米海兵隊の要員の移転を着実に実施していることを確認した。
閣僚は、環境保護のための協力を強化することへのコミットメントを再確認し、環境上の課題について更なる取組を行うことの重要性を確認した。この目的のため、閣僚は、環境の管理の分野における協力に関する補足協定についての進展を歓迎し、可能な限り迅速に同協定に付随する文書の交渉を継続する意図を確認した。