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自衛隊インビテ−ション
(6月放送内容)



テ−マ:イラク人道復興支援活動で見た天の川

パ−ソナリティ−:

 皆さんこんにちは、今日は東北防衛局の増田局長にお越しいただきました。局長  よろしくお願いいたします。


増田局長:

 よろしくお願いいたします。


パ−ソナリティ−:

 今日はどんなお話でしょうか。

増田局長:
 これから本格的な夏がやってくるわけですが、仙台で夏といえば七夕、七夕といえば天の川ということで、今日は私が見た中で、一番美しかった天の川に関する話をしたいと思います。防衛とあまり関係がないと言われてしまいそうですけれどもね。

パ−ソナリティ−:
 天の川とはまた夢のあるお話なんですが、私も小さいころはよく天の川が見えるかなあと夜空を眺めたりもしたんですが、はっきりと天の川を見たことはないですね。

増田局長:
 そうですね。私も東京生まれ、東京育ちなものですから、東京の空で天の川を見たという記憶はありません。街の灯りが明るすぎるんですよね。天の川といったら、せいぜい渋谷に五島プラネタリウムというのがあってですね、そこで見たくらいです。五島プラネタリウム良かったですね。今は無くなってしまいました。10年前に閉館してしまいまして、夏は冷房がよく効いていて、そこで星の投影を見るのが好きで、子供のころからよく行きました。

パ−ソナリティ−:
 一番美しかった天の川というのは、そのプラネタリウムの天の川なんですか。


増田局長:

 いいえ、ちょっと話が脱線してしまいましたけれどもね、私が見た一番美しい天の川というのは、イラクのサマーワで見た天の川です。本当に美しかったですね。イラクのサマーワといえば何しに行ったかわかりますか。


パ−ソナリティ−:

 自衛隊でイラクといえばPKOですか。

増田局長:
 サマーワでですね、自衛隊のイラク人道復興支援活動、これをやったわけですね。それの拠点となった宿営地があった場所です。私はポリティカル・アドバイザー、略してPOLADと言いますけれども、そういう役職で約半年間サマーワに行っておりました。陸上自衛隊によるイラク人道復興支援活動が終了してから、もう5年経ちますけれども、皆さんおぼえていますでしょうかねぇ。


パ−ソナリティ−:

 そうですねぇ、もう5年もたつんですねぇ。


増田局長:

 そうですねえ、この番組は、一応、自衛隊関係の番組ですので、イラク人道復興支援活動について、簡単に総括しておきたいと思いますけれども、陸上自衛隊は、2003年12月から2006年9月まで、イラク特措法に基づいて、人道復興支援活動を行いました。人道復興支援の内容としては、医療、給水、公共施設の復旧整備、輸送とかですね、イラクの南西部にあるサマーワに宿営地を築いて、そこを拠点に活動を行いました。約1キロ四方の宿営地に、約500名の隊員が滞在して活動を行っておりまして、私もその一員であったわけです。それとあと、航空自衛隊は2008年12月まで、陸上自衛隊の部隊、あるいは多国籍軍、国連などのために空輸支援活動を行っていました。


パ−ソナリティ−:

 そのサマーワでの天の川ということなんですね。


増田局長:

 そうですね、サマーワは、広大な砂漠の中に位置していますので、風さえなければ、空気がきれいなうえに乾燥していてですね、天の川がよく見えるんですね。もちろん砂嵐のときには、近くさえ見えにくくなりますので、天の川どころではありませんけれども。


パ−ソナリティ−:
 そうでしょうねぇ。

増田局長:
 天の川が一番よく見えるのは、月が出ていないときなんですね。月明かりがあると星が見えにくくなります。真に真っ暗なときが最適なわけですけれども。じつは、この時が一番危険な時なのです。

パ−ソナリティ−:
 危険というのは。

増田局長:
  自衛隊は、サマーワで迫撃砲やロケット弾による攻撃を何度も受けましたが、敵は、月が出ていない、真の暗闇のときに迫撃砲などを撃ってくるわけです。月明かりが出ているときだと、すぐに見つけられて反撃されますから、月明かりって結構明るいもので、実際、私がサマーワへ着任して4日目にですね、その日は新月の日でしたけれども、ロケット弾の攻撃を受けました。

パ−ソナリティ−:
 そうなんですか。
増田局長:
 ヘルメットと耐弾ベストを着て、星空を見るというのも結構オツなものですよ。夜間は、迫撃砲などが飛んでくるので、耐弾施設の外ではヘルメットと耐弾ベストの着用が義務づけられていました。トイレは臭いがしますので少し離れたところにあるんですけれども、夜中にトイレに行くためにトボトボと歩いて、ヘルメットと耐弾ベストを着ているわけですけれども、それでふっと空を見上げると、ドワっと天の川が見えるわけですね。初めは雲かと思いましたですねえ。でも違うんですね、雲ではなくて無数の星なわけで、雲霞のごとくとでもいうのでしょうか。都会育ちの私にとっては、大変驚きでした。
パ−ソナリティ−:
 そんな天の川は私も見たことはないですね。
増田局長:
 あるときですね、天の川の辺りから、ブーンと音が聞こえるんですね。飛行機が飛んでいる音ですね。普通であれば、夜間はチカチカと光を点滅させながら飛ぶわけですけれども、当時のイラクでそんなことをしたら、たちまち武装勢力から対空ミサイルで撃ち落とされてしまいます。だから、光を消して飛んでいるので、どこを飛んでいるのかよくわからないわけです。それで、私はですね、「ここはやはり「戦地」なんだなあと思いましたね。法的には「戦闘地域」ではないんですけれども・・・」ね。
パ−ソナリティ−:
 そういうことになっていますからね。
増田局長:
 雲霞のような天の川をバックに手前を飛行機が飛んでいるので、ひょっとしたら飛行機の形に黒い陰影が見えるのではないかなあと、目を凝らして見ましたけれども、私の視力では何も見えませんでしたね。
パ−ソナリティ−:
 サマーワでの天の川、すばらしくきれいだったんでしょうね。
増田局長:
 そうですね。
パ−ソナリティ−:
 今日はイラクノサマーワでの天の川の話ということで、貴重な話をどうもありがとうございました。
増田局長:
 いいえ。どうもありがとうございました。
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