防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(3月放送内容)



 

テ−マ:安全保障協力について

 
 


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長からお話をお伺いします。 熊谷局長、よろしくお願いいたします。

局長:
 はい、よろしくお願いします。 本日は、わが国の安全保障協力の取組について、お話したいと思います。

パーソナリティー:
 安全保障協力といいますと、昨年9月に「わが国の安全保障政策」をテーマに、安全保障の基本的な考えや日米同盟の役割などについてお話を伺いましたが、関連がありそうですね。

局長:
  はい。安全保障・防衛分野における国際協力の必要性が高まる中、防衛省・自衛隊としても、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、わが国の安全そして地域の平和と安定、さらには国際社会全体の平和と安定、繁栄の確保に積極的に寄与していく必要があります。  
 このため、新防衛大綱は「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンを踏まえ、インド太平洋地域における各国との防衛協力や交流などの取組を推進することとしています。

パーソナリティー:
 はい。先程、自由で開かれたインド太平洋というキーワードがありましたが、どのようなビジョンなのでしょうか。

局長:
 はい。インド洋と太平洋、この2つの大洋を介し、成長著しいアジアと潜在力あふれる「アフリカ」の2つの大陸は、世界人口の半数以上を養う世界の活力の中核であり、この地域を自由で開かれた「国際公共財」とすることにより、地域全体の平和と繁栄を確保していくことは日本の立場からも大変重要です。
 このため、防衛省・自衛隊は、地域の特性や相手国の実情を考慮しつつ、多角的・多層的な安全保障協力として、この地域において二国間・多国間の防衛協力や交流を強化することとしています。

パーソナリティー:
 はい。防衛協力や交流とは具体的にどのような取組をしているのでしょうか。

局長:
 はい。防衛協力・交流の形態としては、ハイレベルなどの対話や交流、共同訓練や演習のほか、他国の安全保障・防衛分野における人材育成や技術支援などを行う能力構築支援、自国の安全保障や平和貢献・国際協力の推進などのために行う防衛装備・技術協力などがあります。
 これまで、防衛省・自衛隊は、二国間の対話や交流を通じて、いわば顔が見える関係を構築することにより、対立感や警戒感を緩和し、協調的・協力的な雰囲気を醸成する努力を行ってきました。  
 近年では、国際協力の必要性の高まりに応じて、多様な手段を適切に組み合わせ、二国間の防衛関係を従来の交流から協力へと段階的に向上させてきています。

パーソナリティー:
 はい。それでは、各国との防衛協力・交流の事例を紹介していただけますか。

局長:
 はい。例えば、オーストラリアとの間では、日豪物品役務相互提供協定、英語の頭文字を取って、ACSA(アクサ)と言いますが、陸海空の各軍種の共同訓練などを通じて相互運用性を向上させており、今後も共同訓練の拡充などを通じて、一層の連携強化を図っていくこととしています。  
 また、インドとの間では、緊密な海軍間の交流に加え、陸軍・空軍間の交流、さらに防衛装備や技術協力の拡大も推進しています。  
 その他、西太平洋に影響力を有するカナダやニュージーランド、国際的な政策上の影響力と規範形成力を有するイギリスやフランスとの間では、ハイレベル交流や部隊間交流を継続しており、今後一層の関係強化に取り組んでいきます。  
 今後とも、各国との協力関係をさらに発展させ、法の支配に基づく、自由で開かれた海洋秩序を実現するとともに、インド太平洋地域の平和と安定に貢献していくこととしています。

パーソナリティー:
 はい。では、安全保障協力に関する、その他の取組がありましたら、教えていただけますか。

局長:
 はい。その他には「海洋安全保障の確保」、そして「宇宙領域及びサイバー領域の利用にかかる協力」があげられます。  
 まず「海洋安全保障の確保」についてですが、海洋国家であるわが国にとって、法の支配、航行の自由などの基本的ルールに基づく「開かれた安定した海洋」の秩序を強化し、海上交通及び航空交通の安全を確保することは、平和と繁栄の基礎であり、極めて重要です。  
 この観点から、防衛省・自衛隊は、インド、スリランカなどの南アジア諸国、また東南アジア諸国といったインド太平洋地域の沿岸国自身の海洋安全保障に関する能力向上に資する支援を推進しています。  
 また、共同訓練・演習や部隊間交流、これらに合わせた積極的な寄港などを推進するとともに、諸外国と協力した海賊対処への取組として、自衛隊は平成21年以来、ソマリア沖・アデン湾において、船舶を海賊行為から防護する活動を継続しています。
 平成23年に最大237件あった海賊事案は、わが国を含む国際社会の様々な取組の結果、平成30年には3件と低い水準で推移しています。

パーソナリティー:
 はい。資源や食料の多くを海上輸送に依存している日本にとって、船舶を海賊から守るということは、重要なことですね。  
 それでは、次に「宇宙領域及びサイバー領域の利用にかかる協力」についても、教えてください。

局長:
 はい。宇宙・サイバー領域は、平素から自衛隊の活動を妨げる行為を未然に防止するため、常時継続的に監視し、情報の収集・分析を行うとともに、事象が発生した場合には速やかに対処する必要があります。 さらに、社会全般が宇宙空間やサイバー空間への依存を高めていく傾向などを踏まえ、国際的なルールや規範作りが安全保障上の課題となっています。  
 新防衛大綱に基づき、関係国と情報共有、協議、演習、能力構築支援などを通じて連携・協力を強化することとしています。

パーソナリティー:
 はい。具体的に、どのような連携や協力を行っているのでしょうか。

局長:
 はい。宇宙領域に関しては、これまで、米軍が主催するシュリーバー演習と言われる宇宙安全保障に関する多国間机上演習等に参加し、宇宙空間の脅威認識を共有したり、宇宙状況監視にかかる協力や宇宙システムの機能保証にかかる知見の蓄積に努めています。  
 また、サイバー領域に関しては、オーストラリア、イギリス、ドイツ、エストニアなどとの間で、防衛当局間によるサイバー協議を設け、脅威認識やそれぞれの取組に関する意見交換を行っています。

パーソナリティー:
 はい。様々な国との情報共有や意見交換といった取組を行っているのですね。

局長:
 はい。これまでお話してきました安全保障協力に関する取組の実施にあたっては、日米同盟を基軸として、普遍的価値や安全保障上の利益を共有する国々との密接な連携を図ることとしています。  
 今後も新防衛大綱に示された、これら平素からの取組を通じて、わが国にとって望ましい安全保障環境を創出していく考えです。

パーソナリティー:
 はい。本日は、安全保障協力について、東北防衛局の熊谷昌司局長から、お話をお伺いいたしました。
 熊谷局長、どうもありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、どうもありがとうございました。

パーソナリティー:
 このコーナーでは、よりよい内容にしていくため、ラジオをお聞きの皆さまのご意見やご感想を募集しておりますので、お聞きのコミュニティ放送局までご連絡ください。

 
 
  
 
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