自 衛 隊 百 科
1月放送内容)


テ-マ:航空自衛隊と防衛局について


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局で、総合調整官として勤務している 浦口1等空尉からお話をお伺いいたします。よろしくお願いします。

総合調整官:
 はじめまして。浦口です。よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 はい、東北防衛局へはいつからお勤めですか。

総合調整官:
 はい。平成31年3月から総合調整官として勤務しています。

パーソナリティー:
 はい、東北防衛局には航空自衛官も勤務されているんですね。航空自衛官ということは、日頃から飛行機に乗られるんですか。

総合調整官:
 最近では、女性初の戦闘機パイロットが誕生したことも話題になっていましたね。
 航空自衛官と言うと多くの方は、パイロットというイメージをお持ちの方が多くいらっしゃいますが、残念ながら私は飛行機には乗れません。実際には、航空自衛隊においてパイロットとして勤務している隊員は、航空自衛隊全体の約15%程度しかいないんですよ。
 航空自衛隊には、「飛行」をはじめ「航空管制」「要撃管制」「高射」「整備」など直接防衛のための装備に係わるものから「情報」「気象」「通信電子」「プログラム」「輸送」「補給」などの後方支援を担当する分野まで多岐にわたります。 それらの職種の中で、私は、「施設」という職種に属しております。

パーソナリティー:
 そうなんですね。私もてっきり飛行機に乗れるものだと思っていました。
 浦口1尉は、東北防衛局ではどのような仕事をしているのですか。

総合調整官:
 はい。私は、東北6県に所在する、航空自衛隊の基地の施設の建設工事について、部隊側からの要望内容の取りまとめや、部隊側への連絡、確認などの調整業務をしています。
 特に、最近では、青森県三沢基地においてF-35戦闘機受入に伴う施設整備工事として各種施設の改修工事をはじめ、グローバルホークと言われる滞空型無人機受入のための建設工事等について部隊及び防衛局の調整窓口として業務に携わることができ、有意義な日々を送っております。
 また、これらの調整業務の他に、東北防衛局に勤務する職員は、豊富な知識と技能の優れたエキスパートが多数いることから、我々自衛官とは違った視点や考え方、識見に触れる機会が多く、非常に勉強になっています。

パーソナリティー:
 はい、浦口1尉にとって、東北防衛局は素晴らしい勤務環境なんですね。

総合調整官:
 はい。そう思います。実は10年以上前になりますが三沢基地と松島基地で勤務をしておりました。三沢も松島も10年経過すれば基地内の環境は大きく変わり、出張で両基地に行ったときは驚きました。特に松島基地は震災時に勤務をしていたので感慨深いものを感じました。

パーソナリティー:
 先程、浦口1尉は職種が「施設」とおっしゃっていましたが、通常、部隊ではどのような仕事を行っているのですか。

総合調整官:
  はい。航空自衛隊における「施設」の業務について簡単にご説明します。施設の業務は広範多岐にわたっており、具体的には、隊員の生活に直結する電気設備、空調設備、給排水設備、道路補修等の維持管理や消防救難業務、建物新設に係わる調整業務を行っております。
 また、航空自衛隊の「施設」の任務の中で特徴的であるのが、滑走路被害復旧といわれる任務があります。これは、何らかの脅威によって滑走路が爆破された場合に、部隊が保有する器材を駆使し、短時間で滑走路を復旧させ、作戦を継続させることが目的となります。そのため、部隊は日頃から各種訓練を通じ、脅威の変化に適応した被害復旧の要領の確立や、滑走路被害復旧能力の維持向上に努めています。
  先の東日本大震災の際にも、航空自衛隊は、人命救助や救援活動をはじめ、主に航空輸送を担任しました。その中で「施設」は全国の施設職域に属する隊員で松島、石巻地区等の流木や廃材の撤去等の道路啓開作業を実施しました。また、インフラの復旧のため、昼夜問わず尽力していた隊員の姿は今でも目に焼き付いています。
 「施設」は隊員の生活や戦力発揮の基盤として航空自衛隊における縁の下の力持ち的な存在であるということです。 施設職域の隊員たちは、平時有事を問わず、強い気概を持って勤務しています。

パーソナリティー:
 はい、そうなんですね。航空自衛隊における「施設」は災害の発生時にも重要な役割を担っているんですね。 隊員の生活に直結するインフラ整備のほかに、航空自衛隊独自の滑走路被害復旧という任務があるのは、大変、興味深い内容でした。

総合調整官:
 航空自衛隊は、同盟国であるアメリカと様々な共同訓練を行っていますが、「施設」についても滑走路被害復旧訓練を日米共同で行っているんですよ。
  本訓練については、一般の方の訓練参加は、できませんが興味のある方は、防衛省のホームページで検索していただければ訓練状況を確認できますので、是非一度御覧になってください。

パーソナリティー:
 はい、米軍との共同訓練も行っているんですね。浦口1尉も参加されたことはありますか。

総合調整官:
 残念ながら私は参加したことはありません。参加したことのある隊員から話を聞くと、「実戦に裏打ちされた米軍のノウハウを学ぶことができ、見聞が広まった。」と話を聞きます。
 米軍との共同訓練は今後、増えることはあっても減ることはないと思います。 特に語学は参加した隊員のほとんどが口を揃えて「語学は大切だ。」と言っておりました。
  また、東北防衛局でしか学ぶ事のできない業務がいっぱいありますので、それをしっかり吸収して、戻った時に部隊へフィードバックできればと思います。 今日の話を聞いて、東北防衛局や航空自衛隊に興味を持っていただければうれしいですね。

パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局で総合調整官として勤務している 浦口1等空尉から、お話をお伺いいたしました。どうもありがとうございました。

総合調整官:
はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。



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