防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(10月放送内容)



 

テ−マ:日米防衛協力について

 
 


パーソナリティー:
 本日も東北防衛局の熊谷昌司局長からお話を伺います。本日も熊谷局長、よろしくお願いいたします。

局長:
 はい。よろしくお願いいたします。本日は、日米防衛協力についてお話をしたいと思います。 日米防衛協力につきましては、基本的な方針として「日米防衛協力のための指針」、いわゆる「ガイドライン」があります。 これは、日米安全保障協議委員会、いわゆる「2+2」で了承され、日米両国の役割、任務、協力及び調整の在り方についての一般的な大枠や政策的な方向性を示すものです。


パーソナリティー:
 日米防衛協力のための指針、ガイドラインというものは、いつできたものなんでしょう?

局長:
 日米両国は、1960年の日米安全保障条約の締結以来、民主主義の理想、人権の尊重、法の支配、そして共通の利益を基礎としまして、強固な同盟関係を築いてまいりました。そして、1978年に、日本に対する武力攻撃への対応を中心としまして、最初のガイドラインが策定されるなど、日米安保体制は、冷戦期において、我が国の安全の確保とともに、地域の平和と安定に寄与してきました。
 冷戦終結後、1996年には、日米両国首脳により冷戦後のアジア太平洋地域の情勢を踏まえて、日米同盟の重要性を再確認した「日米安全保障共同宣言」が発表されまして、この宣言を受けて同年末に、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告が取りまとめられました。
 また、この共同宣言で示された協力関係前進の一環として、翌年の 1997年の日米安全保障協議委員会「2+2」では、冷戦終結などの安全保障環境の変化を踏まえ、周辺事態への対応と協力を拡大させるなど、ガイドラインの見直しを行いました。


パーソナリティー:
 その後も、ガイドラインの見直しは行われているのでしょうか?

局長:
 はい、先ほどの1997年のガイドラインが策定されて以降、周辺国の軍事活動などの活発化、国際テロ組織などの新たな脅威の発生、海洋・宇宙・サイバー空間といった領域の安定的利用に対するリスクが顕在化するなど、様々な課題や不安定要因が顕在化・深刻化してきました。
 さらには、海賊対処、PKO、国際緊急援助活動のように自衛隊の活動や任務もグローバルな規模に拡大してきていました。そのため、日米 防衛協力の在り方をこのような変化に対応させる必要が生じておりました。
 このような背景のもと、日米両国間での精力的な見直し作業の結果、2015年4月、戦後70年という節目の年に、2+2において、新ガイドラインが了承されました。

パーソナリティー:
 それでは、「新ガイドライン」の内容とポイントについて教えていただけますでしょうか。

局長:
 はい、新たなガイドラインは、日米両国の役割や任務についての一般的な大枠や政策的な方向性を更新するとともに、同盟を現代に適合したものとしまして、また、平時から緊急事態までのあらゆる段階における抑止力及び対処力を強化することで、より力強い同盟と、より大きな責任の共有のための戦略的な構想を明らかにするものとなっております。  
 これにより、日米同盟の重要性についての国内外の理解を促進するものとなっております。 その内容を見ますと、平時から緊急事態までのいかなる状況においても日本の平和と安全を確保するとともに、アジア太平洋及びこれを越えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなるよう、日米両国間の安全保障及び防衛協力として、5つ事項を強調しています。
  ひとつは、切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応、2点目として、日米両政府の国家安全保障政策間の相乗効果、3点目として、政府一体となっての同盟としての取組、4点目として、地域及び他のパートナー並びに国際機関との協力、5点目として、日米同盟のグローバルな性質、となっております。
 日米両政府は、その国家安全保障政策に基づき、各自の防衛態勢を維持することや米国は引き続き、核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、 日本に対して拡大抑止を提供し、また、アジア太平洋地域に即応態勢にある戦力を前方展開するとともに、戦力を迅速に増強する能力を維持する、としております。

パーソナリティー:
 詳しくご説明いただき、ありがとうございました。 これまでのお話を伺いまして、日米の防衛協力の重要性が理解できましたが、防衛協力についての具体的な取組などがありましたら、ご紹介いただけますでしょうか。

局長:
 はい、先ほど、切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応と申しましたけれども、2015年11月、日米両政府は、ガイドラインに基づきまして、日本の平和と安全に影響を与える状況や、その他の同盟としての対応を必要とする可能性がある、あらゆる状況に切れ目のない形で実効的に対処することを目的としまして、「同盟調整メカニズム」というものを設置しました。

パーソナリティー:
 先ほどの「同盟調整メカニズム」というものは、どのようなことが行われているのですか?

局長:
 はい、このメカニズムでは、平時から緊急事態までのあらゆる段階における、自衛隊と米軍により実施される活動に関連しました政策面や運用面の調整を行い、適時の情報共有や共通の情勢認識の構築・維持を行います。
 特徴としましては、平時から利用可能であること、日本国内における大規模災害やアジア太平洋地域及びグローバルな協力でも活用が可能であること、日米の関係機関の関与を確保した政府全体にわたる調整が 可能であることで、これらにより日米両政府は調整の必要が生じた場合に適切に即応できるようになりました。  

パーソナリティー:
 先ほどの同盟調整メカニズムが活用された事例はあるのでしょうか?

局長:
 はい、例えば、平成28年熊本地震、北朝鮮の弾道ミサイル発射、尖閣諸島周辺海空域における中国の活動などについて、日米間ではこのメカニズムを活用しながら緊密に連携しております。

パーソナリティー:
 以前、共同訓練についてお話を伺いましたが、共同訓練も防衛協力の一環でしょうか?

局長:
 はい、平素から共同訓練を行うことは、戦術面などの相互理解や意思疎通といった相互運用性を深め、日米共同対処能力の維持・向上に大きく資するだけでなく、日米それぞれの戦術技量の向上を図るうえでも有益です。
 最近では、陸上自衛隊が本年6月3日から8月21日までの間、米海兵隊との実動訓練「タリスマン・セイバー19」をオーストラリアの演習場等で実施しました。
 この訓練には陸上自衛隊水陸機動団及び第1ヘリコプター団と水陸両用車「AAV−7」や輸送ヘリ「CH−47」が参加し、米海兵隊と着上陸・上陸後の戦闘訓練を行い、戦術技量と日米共同対処能力の向上を行っております。

パーソナリティー:
 詳しくご紹介いただき、ありがとうございました。本日は、日米防衛協力について、東北防衛局の熊谷局長から、お話をお伺いいたしました。どうも、ありがとうございました。

局長:
 ありがとうございました。

 
 
  
 
このペ−ジのTOPに戻る
 
   


日本の防衛Q&ATOPページ