防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(9月放送内容)



 

テ−マ:わが国の安全保障について

 
 


パーソナリティー:
 本日も東北防衛局の熊谷昌司局長からお話をお伺いします。熊谷局長、よろしくお願いいたします。

局長:
 はい。よろしくお願いいたします。本日は、少し堅いお話になりますが、わが国の安全保障政策について、お話をさせていただきたいと思います。
 まず、安全保障政策の前提となる基本的な考え方をご説明いたします。国家の独立は、国が政治、経済、社会の在り方を自ら決定して、その文化、伝統や価値観を保つため、守らなければならないものです。
 また、平和と安全は、国民が安心して生活し、国が繁栄を続けていく上で不可欠なものです。
 しかしながら、これら平和と安全は願うだけでは確保できません。 外交を通じて、安定し、かつ見通しのつきやすい国際環境を創出し、脅威の出現を未然に防ぐことが国家安全保障の要となります。

パーソナリティー:
 はい、最近も北朝鮮がミサイルを発射したというニュースがありましたけれども、なかなか解決しない問題ですよね。

局長:
 はい、そのとおりです。国際社会の現実をみますと、非軍事的手段による努力だけでは、必ずしも外部からの侵略を未然に防止できません。万一侵略を受けた場合に、これを排除することもできません。
 防衛力は、侵略を排除する国家の意思と能力を表す安全保障の最終的な担保でありますので、ほかのいかなる手段によっても代替がきかないものであります。
 このため、わが国は、国民の生命・財産とわが国の領土・領海・領空を守るため適切な防衛力の整備を進めるとともに、わが国と基本的な価値や利益を共にするアメリカとの間で、日米安全保障体制を基盤とする日米同盟関係を強化しています。

パーソナリティー:
 なるほど、防衛力の整備と日米同盟関係が重要ということですね。

局長:
 はい、自らの防衛力と日米安全保障体制があいまって、隙のない防衛態勢を構築することによって、わが国の平和と安全を確保していますけれども、わが国を取り巻く安全保障環境を改善して、わが国に対する脅威の発生を予防する観点から、アジア太平洋地域や国際社会の一員としての協力などの分野で防衛力が果たす役割の重要性も増しております。
 わが国は、このような防衛力の役割を認識した上で、様々な分野における努力を尽くすことにより、わが国の安全を確保するとともに、アジア太平洋地域、ひいては世界の平和と安全を目指しています。

パーソナリティー:
 はい、日本の安全保障の基本政策について、教えていただけますか。

局長:
 はい、これまでわが国は、憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従いまして、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備してきています。

パーソナリティー:
 はい、先ほど、「専守防衛」、「軍事大国とならない」、「非核三原則」、「文民統制」と4つのキーワードがありましたけれども、さらに具体的に解説していただけますか。

局長:
 はい、まず専守防衛ですが、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をあらわしています。
 次に軍事大国とならないについてですが、実は軍事大国という概念の明確な定義はありません。わが国が他国に脅威を与えるような軍事大国とならないということは、わが国は自衛のための必要最小限を超えて、他国に脅威を与えるような強大な軍事力を保持しないということです。

パーソナリティー:
 はい、ありがとうございます。
 次に「非核三原則」と「文民統制」についても教えていただけますか。

局長:
 はい、非核三原則とは、核兵器を持たず、作らず、持ちこませずという原則を指しておりまして、わが国はこれを堅持しています。核兵器の製造や保有は、原子力基本法の規定でも禁止されています。
 さらに、核兵器不拡散条約、いわゆるNPTにより、わが国は非核兵器国として、核兵器の製造や取得をしないなどの義務を負っています。
 次に文民統制ですが、英語ではシビリアン・コントロールと言い、民主主義国家における軍事に対して政治が優先されること、又は軍事力に対する民主主義的な政治による統制を意味しています。
 わが国の場合、終戦までの経緯に対する反省もあり、自衛隊が国民の意思によって整備・運用されることを確保するため、厳格な文民統制の制度を採用しています。

パーソナリティー:
 はい、日本の文民統制の制度は具体的には、どのような形をとっているのでしょうか。

局長:
 はい、日本の制度に即して申し上げますと、国民を代表する国会が、自衛官の定数や主要組織などを法律・予算の形で議決し、また、防衛出動などの承認を行います。
 国の防衛に関する事務は、一般行政事務として、内閣の行政権に完全に属しており、内閣を構成する内閣総理大臣その他の国務大臣は、憲法上文民でなければならないとされています。  
 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊に対する最高の指揮監督権を有しており、国の防衛に専任する主任大臣である防衛大臣は、自衛隊の隊務を統括します。  
 また、内閣には、わが国の安全保障に関する重要事項を審議する機関として、国家安全保障会議(NSC)が置かれています。

パーソナリティー:
 はい、国家安全保障会議とは、どのようなものか教えていただけますか。

局長:
 はい、近年、わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しておりまして、わが国が対応すべき安全保障上の課題は山積しています。
  こうした中、内閣総理大臣を中心とする政治の強力なリーダーシップのもと、戦略的観点から国家安全保障にかかる政策を進めていくため、わが国の安全保障に関する重要事項を審議する機関として、内閣に国家安全保障会議が設置され、外交・防衛政策の司令塔として機能しています。
  国家安全保障戦略や防衛計画の大綱もこの国家安全保障会議の審議を経て決定されています。

パーソナリティー:
 はい、詳しくご説明いただき、ありがとうございました。
 これまでのお話を伺いまして、普段はあまり意識することの少ない、安全保障の基本的な考え方や日米同盟の役割などがよくわかりました。
 本日は、わが国の安全保障について、東北防衛局の熊谷局長から、お話をお伺いいたしました。熊谷局長、どうも、ありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、ありがとうございました。

パーソナリティー:
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