自 衛 隊 百 科
6月放送内容)


テ-マ:防衛施設紹介シリーズ その⑨ ~三沢対地射爆撃場~


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局長の伊藤茂樹局長からお話を伺います。伊藤局長、よろしくお願いいたします。

局長:
 はい。よろしくお願いいたします。 本日は、青森県三沢市と六ヶ所村にまたがる三沢対地射爆撃場についてお話をしたいと思います。 つまり、飛行機から地上への射撃や爆撃を行う訓練場のことですね。 三沢対地射爆撃場は、旧日本海軍航空隊が天ヶ森射爆撃場として使用を開始し、戦後、連合軍の接収を経て、昭和27年7月に天ヶ森射爆撃場として米軍に提供されました。 昭和36年4月には、三沢対地射爆撃場と名称を変更しまして、昭和44年10月以降は、米軍と航空自衛隊が共同で使用しております。 面積は、約766万㎡、東京ドーム約164個分の広さがありまして、三沢飛行場に所在する米空軍第35戦闘航空団や航空自衛隊第3航空団をはじめ、全国の部隊が、本土唯一の空対地射爆撃の訓練を行える施設として、模擬爆弾の投下訓練や射撃訓練を行っております。

パーソナリティー:
 米軍と自衛隊が一緒に訓練を実施することもあるのですか。

局長:
 はい、実施しております。最近ですと昨年の5月に、航空自衛隊三沢基地所属のF-2戦闘機や北海道の千歳基地所属のF-15戦闘機などが、山口県の米軍岩国基地所属のF-35B戦闘機との共同訓練を実施しております。この訓練は、日米間の相互運用性の向上を図ることを目的とするものですが、従来は沖縄県で実施されていた空対地射撃訓練の一部を、三沢対地射爆撃場に移転することによって、沖縄県の負担を軽減することを目的とした米軍再編事業の一環となっております。 東北防衛局では、訓練期間中、当局の三沢防衛事務所内に現地対策本部を設置し、米軍の支援に加え、周辺住民の方々の安心、安全を図るため、訓練に係る情報収集や関係機関への情報提供等を行うなど、訓練の円滑な実施と周辺住民の方々の不安解消に努めました。 また、この訓練の実施に合わせまして、三沢飛行場周辺の三沢市と東北町、三沢対地射爆撃場周辺の六ヶ所村の計10箇所で、騒音測定を実施しまして、その結果を訓練期間終了後、速やかに関係機関に情報提供しております。

パーソナリティー:
 騒音測定は、訓練の時だけ実施しているのですか。

局長:
 いいえ、訓練の時だけではなく、常時、騒音測定器を設置しまして、騒音の測定を実施しております。三沢飛行場や三沢対地射爆撃場のほか、八戸飛行場や宮城県の松島飛行場などにて騒音測定器を設置しておりまして、その設置場所や測定結果は、月ごとにまとめて、東北防衛局のホームページで公表しております。

パーソナリティー:
 騒音測定は、東北防衛局だけが実施しているのですか。

局長:
 いいえ、関係自治体も行っておりまして、三沢対地射爆撃場につきましては、六ヶ所村も騒音測定を実施しておりますが、実はこの六ヶ所村の騒音測定器の購入には、再編交付金という防衛予算が活用されております。 この再編交付金とは、米軍再編、つまり米軍基地が集中する沖縄を始め基地周辺の負担を軽減するために、抑止力の維持を図りつつ、在日米軍の配置などの見直しを進めておりますが、この再編を実施する上で負担を受け入れていただいた地元自治体の貢献に国として応えるため、負担が増える自治体に対して、負担に応じた額を交付しているものです。 現在、再編交付金という名前の交付金の交付は終了しておりますが、米軍再編に伴う訓練移転等が実施される三沢飛行場や三沢対地射爆撃場の周辺地域では、航空機騒音による地域住民の皆さまの生活の安定に及ぼす影響が継続していることを考慮しまして、「再編関連訓練移転等交付金」というものが交付されております。

パーソナリティー:
 只今伺いました交付金以外にも、三沢対地射爆撃場が所在していることによって、ほかにも行っている対策などは何かあるのでしょうか。

局長:
 はい、学校等の防音工事への助成や住宅の防音工事への助成、それと建物等の移転に対する補償などがあります。

パーソナリティー:
 ほかにも3つの対策があるのですね。1つ目の「学校等の防音工事への助成」とは、どのような施策でしょうか。

局長:
 はい、これは、地方公共団体等が学校等について、航空機等の騒音を防止・軽減するため防音工事を行う場合に、その費用の全部又は一部を補助するものです。 防音工事は、音を遮るために防音サッシを取り付けたり、密閉された室内空気の換気や温度保持のために空調機器を取り付けたり、室内の壁や天井を音を吸収する素材のもので仕上げることが主な内容で、六ヶ所村などにおいても小学校や保育所などで実施しております。

パーソナリティー:
 2つ目の「住宅の防音工事への助成」とは、どのような施策でしょうか。

局長:
 はい、これは、住宅の所有者などの方が、航空機等による騒音を防止・軽減するために、防音サッシ等の取り付けや空調機器の取り付けですとか、壁や天井を防音効果の高いものに改造する工事を実施する場合に、助成するもので、三沢市、六ヶ所村及び東北町においても実施しております。

パーソナリティー:
 最後に、3つ目の「建物等の移転補償」とは、どのような施策でしょうか。

局長:
 はい。建物等の移転に対する補償とは、航空機の騒音等が著しくうるさい地域の方が、建物等の移転を希望される場合に、建物等の移転補償や土地の買い入れを行うもので、三沢市及び六ヶ所村においても個人の住宅や事業所で実施しています。また、六ヶ所村においては、平成26年度には、小学校の移転補償も実施しています。この小学校は、三沢対地射爆撃場から約2㎞と近距離に所在しているため、航空機騒音や各種訓練の飛行コースが集中し、学校教育環境に影響を及ぼしていたことから、教育環境を改善するため、六ヶ所村から移転要望がなされ、移転補償を実施したものです。
  
パーソナリティー:
 様々な施策を実施することにより、地域の方々のご理解とご協力を得ているのですね。局長、今日はありがとうございました。本日は、東北防衛局の伊藤局長から、お話をお伺いいたしました。どうも、ありがとうございました。

局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。




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