防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(3月放送内容)



 

テ−マ:防衛計画の大綱等について

 
 



パーソナリティー:
 本日は東北防衛局長の伊藤茂樹局長からお話を伺います。伊藤局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい、よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 本日は、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画についてお話を伺います。

局長:
 はい。今日は昨年12月18日に策定されました新たな「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」について、お話ししたいと思います。 「防衛計画の大綱」につきましては、防衛大綱と略すこともありますが、これは、国家安全保障戦略を踏まえ、我が国の防衛の基本方針や防衛力の役割、自衛隊の具体的な体制の目標水準等を示すものとして、おおむね10年程度の期間を念頭に策定するものです。 この「防衛計画の大綱」に示された防衛力の目標水準等を踏まえ、5年間を対象として策定されるのが「中期防衛力整備計画」略して「中期防」でありまして、この計画に従って、各年度の防衛力整備を推進します。

パーソナリティー:
 防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画が策定されたということでしたが、前回はいつ策定されたのでしょうか。

局長:
 はい。前の防衛計画の大綱は平成25年に策定されていますので、5年前となります。

パーソナリティー:
 先ほど、防衛計画の大綱については、おおむね10年程度の期間ということでしたが、前回から5年と間隔が短いのには何か理由があるのでしょうか。

局長:
 はい。我が国を取り巻く安全保障環境は、前回の防衛計画の大綱の策定時に想定していたよりも、極めて速いスピードで変化しています。特に、国家間のパワーバランスの変化の加速化や複雑化、グレーゾーン事態の長期化、そして宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域の利用が急速に拡大したことで、これまでの国家の安全保障のあり方が根本から変わろうとしています。 こうした中、我が国に対する脅威が現実化し、国民の命と平和な暮らしを脅かすことを防ぐためには、安全保障の現実に正面から向き合い、従来の延長線上ではない、真に実効的な防衛力を構築するため、防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保していくことが必要です。 このため、平成30年1月の総理大臣による施政方針演説において、30年末までに前回の防衛計画の大綱を見直すとの方針が示され、有識者懇談会「安全保障と防衛力に関する懇談会」においても議論をいただきつつ、政府として検討を進めてきた結果、平成30年12月18日、新たな「防衛計画の大綱」を閣議決定したところです。

パーソナリティー:
 安全保障環境が速いスピードで変化しているということですね。先ほど、国家間のパワーバランスの変化というワードがありましたが、日本と関係のある各国の動向はどのようになっているのでしょうか。

局長:
 はい。まずは同盟国であるアメリカですが、全領域における軍事的優位の維持、核抑止力の強化に取り組むとともに、インド太平洋地域を優先地域と位置づけ、同盟国とパートナーシップを強化する方針です。 次に北朝鮮ですが、核・ミサイル能力に本質的な変化は生じておらず、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっています。中国は、透明性を欠いたまま、核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心とした軍事力を広範囲かつ急速に強化しており、地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっています。 また、ロシアについては、核戦力を中心に軍事力の近代化に向けた取り組みを継続しており、北方領土を含む極東においても軍事活動を活発化させる傾向にあります。 こうした我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさと不確実性を増す中、今回の防衛計画の大綱では、我が国の防衛の基本方針として、専守防衛等の基本方針の下、国民、領域や主権といった国益を守るため、我が国自身の防衛体制、日米同盟及び安全保障協力をそれぞれ強化していきます。

パーソナリティー:
 防衛の基本方針として、防衛体制、日米同盟、安全保障協力を強化していくということでしたが、具体的にどのようなことなのでしょうか。

局長:
 はい。まず我が国の防衛体制の強化についてですが、前の防衛計画の大綱では「統合機動防衛力」というキーワードを設けておりましたが、これまでに直面したことのない安全保障環境の現実の下、防衛力を主体的・自主的に強化することが必要であり、「統合機動防衛力」の方向性を深化させつつ、真に実効的な防衛力として、「多次元統合防衛力」を構築することとしています。 少し専門的になってしまいますが、「多次元統合防衛力」を説明しますと、全ての領域における能力を有機的に融合し、その相乗効果により全体としての能力を増幅させる領域横断作戦が実施でき、平時から有事までのあらゆる段階における柔軟かつ戦略的な活動を常時継続的な実施を可能とし、日米同盟の強化及び安全保障協力の推進が可能な性質を有する防衛力のことを言います。 特に宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力は、各国の作戦遂行能力を著しく向上させるものでありますので、各国が注力している分野です。防衛省・自衛隊としても、このような能力やそれと一体となって、航空機、艦艇、ミサイル等による攻撃に効果的に対処するための能力の強化や後方分野も含めた防衛力の持続性・強靱性の強化を重視していくこととしています。

パーソナリティー:
 ちょっと難しいお話でしたが、「統合機動防衛力」と「多次元統合防衛力」というキーワードがあるということがわかりました。引き続き、日米同盟と安全保障協力の強化についてもお話いただけますか。

局長:
 はい。次に日米同盟の強化についてですが、日米同盟の抑止力及び対処力を強化することに加え、幅広い分野における協力を強化・拡大するとともに、在日米軍駐留に関する施策を着実に実施します。 また、安全保障協力の強化につきましては、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえ、共同訓練・演習、能力構築支援等の防衛協力や交流に取り組むとともに、グローバルな課題への対応にも貢献するものです。

パーソナリティー:
 防衛計画の大綱について、詳しくご説明いただき、ありがとうございました。

局長:
 時間の都合もあり、防衛計画の大綱等について、全てをお話しすることはできませんでした。ご興味のある方は、防衛省のホームページに「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の全文が掲載されておりますので、ご覧ください。

パーソナリティー:
本日は、防衛計画の大綱等について、東北防衛局の伊藤茂樹局長からお話を伺いました。伊藤局長、ありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、どうもありがとうございました。

パーソナリティー:
  このコーナーでは、よりよい内容にしていくため、ラジオをお聞きの皆さまのご意見やご感想を募集しておりますので、お聞きのコミュニティ放送局までご連絡ください。 



 
 
  
 
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