自 衛 隊 百 科
月放送内容)


テ-マ:みちのくアラート2018について



パーソナリティー:

 本日は東北防衛局総務部長の北澤直樹部長からお話を伺います。北澤部長、よろしくお願いします。

部長:
 よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 本日は、昨年の11月に実施されました「みちのくアラート2018」について、お話を伺いたいと思います。

部長:
 はい。この訓練は、陸上自衛隊の東北方面隊を中心に実施する災害対処のための訓練でして、正式には、平成30年度東北方面隊実動演習「みちのくアラート2018」という名称です。災害対処を実動により訓練し、自衛隊、米軍、自治体、関係省庁、関係機関等との連携強化及び東北地区における災害対処能力の向上を図ることを目的とした訓練です。 訓練は、11月9日から11日の日程で、自衛隊員約1万3千人のほか、東北6県、139市町村、72の関係機関の職員が参加しました。

パーソナリティー:
 はい、このみちのくアラートではどのような状況を想定して訓練が実施されたのでしょうか。

部長:
 はい、今回は太平洋側で三陸沖地震、内陸型地震の発生及び日本海側で豪雨災害が発生するという想定の下で行われました。 地震の発生に留まらず、地震による津波の発生、原子力災害に加え、豪雨災害という複合災害が発生した場合に備えた訓練を実施しました。これまでのみちのくアラートでは、主として地震・津波を想定しており、太平洋側を中心とした実動訓練でした。しかし、今回の訓練では近年多発している豪雨災害を想定し、日本海側においても実態に即した訓練を行ったということが今回の訓練の特色でした。

パーソナリティー:
確かに昨年を思いだしてみると「平成30年7月豪雨」や台風による豪雨など、雨による災害が多いなと感じていました。こうしたあらゆる災害を想定した訓練だったのですね。具体的にはどのような訓練が行われたのですか。

部長:
 はい、まず総合訓練としまして、地震発生からの初動対応として災害対策本部立ち上げ訓練や自衛隊・関係機関との調整訓練が実施されました。また、機能別訓練として人命救助訓練、捜索救助訓練、原発対処訓練、物資輸送等の訓練が行われました。

パーソナリティー:
 多岐にわたる訓練が行われたのですね。山形県内では、どのような訓練が行われたのでしょうか。

部長:
 はい、航空自衛隊松島基地に患者の搬送拠点となる臨時医療施設を設けまして、設置・運営の手順を確認するとともに、松島基地から酒田市にあります庄内空港へ陸上自衛隊のヘリを使用しまして、患者搬送の実動訓練が行われました。

パーソナリティー:
 今回のみちのくアラートの訓練内容で特色のようなものはあるのでしょうか。

部長:
はい、陸上自衛隊東北方面隊と水陸機動団が共同し、水陸両用車AAV(エ-エ-ヴィ)や海上自衛隊の輸送用エアクッション艇、いわゆるLCAC(エルキャック)を活用した人命救助、捜索救助訓練が福島県の南相馬市で行われました。水陸両用車はその名の通り、地上だけでなく、水上も浮上航行することができる車両のことです。今回は、海水浴場に通じる道路が瓦礫でふさがれ、孤立した地域への救助という想定で用いられました。海上自衛隊の輸送艦で水陸両用車を輸送するなど、陸海での連携がみられた訓練でもありました。

パーソナリティー:
水陸両用車というものがあるんですね。他にも何か特色はありますか。

部長:
はい、今回のみちのくアラートとしては初めての試みとして「SIP(シップ)4(フォー)D(ディー)」と呼ばれる防災情報共有システムが導入されました。詳しく説明しますと、この「SIP4D」とは「S,I,P,4,D」と書きまして、簡単に言うと、「府省庁間連携災害情報システム」のことです。すなわち、所掌事務が異なる多数の府省庁・関係機関の間で横断的な情報共有や共有した情報の活用を可能とするものです。  これは東日本大震災の際に、災害対応に当たっている各機関が保有するデータの情報共有がうまくなされなかった教訓を生かし導入されました。これにより、自衛隊と自治体、関係機関の間で各地の被害状況を把握することができ、的確な災害対応が望めるものとしています。

パーソナリティー:
この訓練には、防衛局としても関わっていたのですか。

部長:
 はい、防衛局からは、宮城県庁に連絡員LO(エルオー)を派遣しました。

パーソナリティー:
  LOですか?初めて聞いたのですが、詳しく教えていただけますか。

部長:
 LOとは、liaison(リエゾン) officer(オフィサー)の訳で、派遣先機関で知り得た情報を局へ共有することや、関係機関との連絡調整をする人のことです。今回は宮城県庁に派遣され、県の対策本部会議の内容や県庁に入ってくるインフラ等の被害情報、自治体・関係機関の活動状況などの情報共有・連携を行いました。  今回のような東北6県をまたいだ大規模災害を想定した実動訓練は、4年に一度実施されていますが、東北防衛局としましても今後も積極的に参加し、関係自治体や関係機関との連携を深めていきたいと考えています。

パーソナリティー:
 本日は「みちのくアラート2018」について、東北防衛局の北澤直樹総務部長から、お話を伺ってまいりました。 今日は他にお知らせがあると伺っておりますが。

部長:
  はい、実はお知らせがありまして、東北防衛局は、来月、3月7日木曜日に、山形国際交流プラザ「山形ビッグウィング」で「防衛セミナーin山形」を開催します。「わが国を取り巻く安全保障環境」をテーマとしまして、講師には、山形県南陽市出身の元防衛事務次官で、現在は、内閣官房国家安全保障局参与をされている黒江哲郎さんと、陸上自衛隊第6師団副師団長兼神町駐屯地司令の滝澤博文陸将補をお迎えしまして、午後6時からの開会を予定しております。  詳しい情報は、東北防衛局ホームページに掲載いたしますので、ぜひ皆さまのお越しをお待ちしております。

パーソナリティー:
私も防衛セミナーに興味があるので、ぜひ伺いたいと思います。北澤部長、本日はどうもありがとうございました。

部長:
 こちらこそ、ありがとうございました。







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