防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(2月放送内容)



 

テ−マ:日米共同方面隊指揮所演習(YS)について

 
 


パーソナリティー:

 本日も東北防衛局長にお話を伺います。深澤局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい。よろしくお願いします。
 今日は、昨年11月から12月にかけて実施された、日米共同方面隊指揮所演習について、お話したいと思います。

パーソナリティー:
 よろしくお願いします。

局長:
 日米共同方面隊指揮所演習は、通称YS(ワイエス)・ヤマサクラと呼ばれております。
 これは、在日米陸軍のシンボルである富士山の「山」と、陸上自衛隊のシンボルである「桜」のそれぞれの頭文字をとっているものです。

パーソナリティー:
 日米共同方面隊指揮所演習という正式名称以外にも、通称も使用されているのですね。
 ここからは、私も通称のYSと呼ばせていただきますが、YSはどういった目的で実施される演習なのでしょうか。

局長:
 はい。この演習は、陸上自衛隊と米陸上部隊が、それぞれの指揮系統に従って、共同して作戦を実施する場合における方面隊以下の指揮幕僚活動を演練し、その能力の維持・向上を図る目的で実施されるものです。
 本演習は、昭和56年度から始まり、日米で年2回交互に開かれ、また、全国の陸上自衛隊5個方面隊が持ち回りで実施しており、ここ東北地方を担任している東北方面隊では5年ぶりの実施となるものです。
 今回の演習には、小野寺防衛大臣や米国のハガティ駐日大使らも視察に訪れました。

パーソナリティー:
 YSではどのような状況を想定して演習が実施されたのでしょうか。

局長:
 はい。本演習のシナリオについては、我が国有事における対処要領等が推察されるおそれがありますので、詳細は申し上げられませんが、白紙的な想定に基づき、着上陸侵攻する敵に対応するための日米の共同作戦を演練するとともに、弾道ミサイルやサイバー攻撃など複合的な脅威への対応についても演練しました。
 また、本演習の場を活用して、国民保護訓練も実施されました。

パーソナリティー:
 YSにおける国民保護訓練とは、どのようなものだったのでしょうか。

局長:
 はい。武力攻撃事態等における住民避難を主体とした図上訓練等により、関係機関の理解促進を図るとともに、事態対処能力を向上させることを目的として、3回に分けて段階的に実施されました。
 1回目は、9月に、内閣官房等の中央省庁や自衛隊から地方公共団体、関係機関等に対して、国民保護に関するブリーフィングを行うとともに、大規模テロのような緊急対処事態における図上訓練を実施して、緊急対処保護措置や連携要領に関する理解を深めました。
 2回目は、11月に、武力攻撃が予測される事態における各県の国民保護措置案、これは、住民避難や受入要領について記載されているものですが、これらを図上にて検討し、住民避難等に関する問題点、検討課題等について共有し、今後の国民保護業務の資を得ました。
 3回目は、12月に、地方公共団体や関係機関等の参加者を対象としたYSの総合訓練の研修を実施し、演習部隊による武力攻撃事態対処の様相や国民保護窓口における業務の状況を実際に見ていただき、国民保護に関する平素からの準備の必要性について再認識していただきました。

パーソナリティー:
 地方公共団体等も参加した訓練が実施されたのですね。
 それでは、東北防衛局は、YSにおいてどのような活動をされたのでしょうか。

局長:
 はい。本演習が着上陸侵攻する敵を日米共同で撃破するということで、主に防衛局の役割としては、米軍が武力攻撃を排除する上で不可欠となる土地等を使用するための「米軍等行動関連措置法」に基づく手続や、米軍が必要とする物品や役務業者の斡旋等を実施するとともに、自衛隊が任務遂行上必要となる土地等を使用するための自衛隊法に基づく手続等について助言を行いました。
 また、YSの期間中に当局独自の訓練として、各種手続や問合せ対応等を実施しました。

パーソナリティー:
 YSのように自衛隊と米軍が実施する演習で、防衛局が実際に参加されるのはあまりないような印象があります。

局長:
 はい。実際に射撃や車両等を走行させる実動訓練と違い、YSは、図上訓練ということもありますし、また、自衛隊や米軍が実際の事態に対処するためには、法律に基づく手続も必要となりますので、そういった手続についても理解を深めることで、より効果的な演習になるということで、当局も参加しています。
 また、当局にとっても、米軍のニーズですとか、事態における流れを体感するよい機会となりました。

パーソナリティー:
 防衛局の持っている行政的知見があるからこそ、より効果的な演習となるのですね。
 東北防衛局独自の訓練では具体的にどのようなことがなされたのでしょうか。

局長:
 はい。当局独自の訓練では、例えば、武力攻撃事態において米軍が必要とする土地等を使用するために公用令書という文書を発出する必要がありますが、その公用令書を作成し発出するまでの手順を確認しました。
 また、米軍が移動する際に、通行に支障がある場所を迂回して、個人所有の畑を通行し農作物に被害が生じたときの補償に係る問合せ対応や調整記録の作成も行いました。
 その他、米軍が、例えば、携帯電話などの物品や食料品を調達したいと要望してきた際に、対応可能な事業者の所在地や問合せ先などのリストを米軍に提示するまでの作業や手順の確認などを実施しました。

パーソナリティー:
 YSで想定されている状況にならないことが最良ですが、万が一起こってしまった際にも迅速に対応できるよう行われている演習ということが分かりました。

局長:
 はい。このような演習により、日米同盟全体の抑止力・対処力が強化され、我が国の平和と安全の確保に万全を期すことができるようになりますので、当局としても、引き続き、このような取組に積極的に参画していきたいと思います。

パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局の深澤局長から、お話をお伺いいたしました。どうも、ありがとうございました。

局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。

 
   
  
 
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