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自 衛 隊 百 科
(2月放送内容)



テ−マ:新防衛大綱

パ−ソナリティ−:

 自衛隊百科のコ−ナ−です。さて、毎月1回、このコ−ナ−では、東北防衛局の増田義一局長にお話しをいただいております。局長、今日もどうぞよろしくお願い致します。


増田局長:

 よろしくお願いします。


パ−ソナリティ−:

 はい、早速ですが、今日はどういったお話しをいただけますでしょうか。


増田局長:

 はい、今日はですね、新防衛大綱についてお話ししたいと思います。昨年の12月にこの新防衛大綱が策定されまして、今後おおむね10年後までを念頭に置いた、我が国の安全保障及び防衛力の在り方について指針を示すものです。非常に重要なものなので、私も東北各県の知事の方々に時間をいただける方には直接お会いして、説明をして参りました。これまで、岩手、青森、秋田、山形の各県知事に説明をしてきたんです。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、非常に重要なものであるということですが、では、その新防衛大綱の内容についてお伺いしてよろしいでしょうか。

増田局長:
 はい、この新防衛大綱の正式名称は、平成23年度以降に係る防衛計画の大綱というのですが、A4で18ページほどの分量でありますので、ですからポイントを掻い摘んでお話したい思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、では早速ですが、どういったポイントがありますでしょうか。


増田局長:

 そうですね、まず最初に大規模着上陸侵攻等の我が国の存立を脅かすような本格的な侵略事態が生起する可能性は低いと、こういうことを言い切っております。これを受けまして、後で出てきますが、もはや冷戦型の装備や編成は縮減しますということになってくるわけです。それで本格的な侵略事態への備えというのは、最小限の専門的知見や技能の維持に必要な範囲に限り保持することとすると、いう風になっております。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、我が国の存立を脅かすような本格的な侵略事態が生起する可能性が低いと言い切っているというところがとても強い表現だなと思ったのですが、これを受けて、冷戦型の装備や編成の縮減ということなのですが、こちらはどういったことでしょうか。


増田局長:

 はい、例えば、北海道に最新鋭の戦車等が重点的に配備されておりますが、これはこの新大綱でいっている冷戦型の装備・編成といえると思います。新大綱では、戦車6百両、火砲6百門の態勢をそれぞれ4百両、4百門の態勢へとドラスチックに削減するという風にしております


パ−ソナリティ−:

 はい、6百から4百ということで、かなりの削減だなというイメ−ジを受けました。では、その他のポイントとしてはどういったことがあるのでしょうか。


増田局長:

 もう1つのポイントとして、従来、基盤的防衛力構想、こういうものを執ってきたのですが、これによることなく、動的防衛力を構築するということに今回の新防衛大綱ではなっております。ここでいう基盤的防衛力構想の基盤的防衛力というのはどういう事かといいますと、わが国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも、自らが力の空白となって、我が国周辺地域の不安定要因とならないよう、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという考え方でした。しかし、これを新しい動的防衛力というものに変えまして、この新しい動的防衛力というのは、運用に焦点を当てたもので、即応性、機動性、柔軟性、持続性、多目的性等を備えました防衛力であります。我が国は、昭和51年の51大綱と言っておりますが、その以前から、ずっと基盤的防衛力構想でやってきましたので、ここで従来の基盤的防衛力構想によることなくと言い切っているところが大きなポイントです。今後は、この運用に焦点を当てた動的防衛力でやっていくことになります。戦車・火砲は縮減となりますが、逆に潜水艦などは、周辺海空域の安全を確保し、実効的な抑止及び対処を確保するということで、16隻から22隻へと増勢されるようなことになっております。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、基盤的防衛力構想から動的防衛力ということで、大きな変化があるということですね。さて、他にポイントはありますでしょうか。


増田局長:

 もう1つのポイントとしては、南西地域も含め、防衛態勢の充実を図るとしておりまして、、さらに島嶼部における対応能力の強化、これが謳われているところです。すなわち、南西地域重視、それと島嶼部対応能力強化といわれるものであります。これによりまして、自衛隊配備の空白地域となっております、島嶼部に必要最小限の部隊が新たに配置されるということになるわけであります。


パ−ソナリティ−:

 南西地域重視ということになりますと、沖縄への装備や部隊の配置がどう強化されるのでしょうか。


増田局長:

 細かい話は先の話になりますが、南西地域に陸の沿岸監視部隊を配置したりとか、あるいは南西地域に初動を担当する部隊を新編すると、これに着手するというようなことになります。あと早期警戒機のE−2Cの那覇基地での運用基盤を整備したりとか、あるいは、那覇基地の戦闘機部隊、これを現行の1個飛行隊から2個飛行隊へ増強したり致します。さらに、沖縄へのBMD対処能力を持つペトリオットPAC−3、これの配備も行われるというようなことになります。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、分かりました。今ペトリオットPAC−3の話が出ましたが、新大綱では弾道ミサイル防衛についてはどうなっているのでしょうか。


増田局長:

 はい、新大綱に別表というのが付いておりまして、それを見ていただくと分かるのですが、イージス・システム搭載護衛艦が4隻から6隻に増えることになります。具体的には、イージス艦の「あたご」と「あしがら」にBMD機能が付加されることになります。それと先ほどあったとおり、現行に加えまして、さらに1個高射隊がPAC−3化されるというようなことになるわけであります。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、ここまでお話しを伺ってまいりましたが、色々なポイントがあるのですね。


増田局長:

 はい、そうですね、他にも陸上自衛官定数が千人削減されるとか、サイバー空間攻撃への対応とか、色々ありますが、時間の関係もありますので細部は省略させていただきたいと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、分かりました。では、また機会がありましたらお話しを伺いたいと思います。今日のこの時間、東北防衛局の増田義一局長にお話しをいただきました。ありがとうございました。

増田局長:
 どうもありがとうございました。


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