自 衛 隊 百 科
12月放送内容)


テ-マ:海上自衛隊と防衛局について


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局で、総合調整官として勤務している當銘(とうめ)1等海尉からお話をお伺いいたします。よろしくお願いします。

総合調整官:
 はじめまして。當銘です。よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 當銘さんは聞き慣れない名字ですね。どちらの出身ですか。

総合調整官:
 はい、沖縄県出身で9年前に自衛官に任官、全国の基地で勤務し、平成29年5月に、京都府舞鶴市にあります海上自衛隊舞鶴地方総監部から東北防衛局へ転勤しました。

パーソナリティー:
 そうですか。沖縄出身なのですか。珍しい名字ですね。當銘さんは、海上自衛官ですから、普段は護衛艦などの船に乗って仕事をしているのですか。

総合調整官:
 私は、海上自衛隊の「施設」という職域で、基本的に艦船に乗ることはありません。皆さん、海上自衛官は船に乗っていると考えている人が多いと思いますが、航空機のパイロット、その整備をする者、護衛艦搭載武器等の整備や購入調達を行う者など多くの職域があり、船に乗らない海上自衛官は大勢います。

パーソナリティー:
 海上自衛官は、基本的に船に乗っていると考えていました。「施設」という職域があるのですね。當銘さんは東北防衛局でどのような仕事をしているのですか。

総合調整官:
 私は、東北に所在する、海上自衛隊基地の施設建設工事について、使用する部隊側からの要望の取りまとめや、部隊側への連絡、確認などの調整業務をしています。
 東北防衛局で勤務をする前は、京都府の海上自衛隊舞鶴地方総監部で勤務しており、建物の雨漏りや機械の故障などの維持・補修を担当しておりました。部隊で感じた不具合などを新しい施設建設工事に役立てていきたいと考えています。

パーソナリティー:
 海上自衛隊の建物というとあまり想像がつかないのですが、陸上自衛隊や航空自衛隊にはない海上自衛隊ならではの施設・建物はありますか。

総合調整官:
 はい、海上自衛隊にも陸上自衛隊や航空自衛隊と同じように、執務を行う事務室のある庁舎、隊員の生活場所である隊舎も設置されています。また、海上自衛隊は、護衛艦や潜水艦以外にP-3CやSH-60Kといった航空機もあり、滑走路や格納庫といった航空基地も持っています。
 海上自衛隊ならではというと、船を係留する岸壁や船の修理・検査を行うドックがあります。

パーソナリティー:
 岸壁も施設という扱いなのですね。船が航海から帰ってきて休む場所という意味では、なくてはならない施設ですね。

総合調整官:
 そうですね。海上自衛隊の施設は、米軍や旧海軍から引き続き使用している建物が多く、老朽化が進んでおり、逐次、建替などの更新が行われています。

パーソナリティー:
 新しい装備品などに目が行きがちですが、施設が海上自衛隊の艦船等の能力の発揮になくてはならない存在ということがよくわかりました。海上自衛隊には、施設以外にはどのような職域があるのですか。

総合調整官:
 それでは、海上自衛隊の職域について簡単に紹介したいと思います。海上自衛隊の下士官である曹士には、大きく分けて7つの区分があり、その内訳は、船の運行に関する船務要員、船に装備された武器に関する攻撃要員、船のエンジン等に関する機関要員、航空機の管制などに関する航空基地要員、航空機の整備に関する航空整備要員、経理業務等を行う経理補給要員、音楽・衛生といったその他に分かれます。この要員が更に細かく分かれており、それぞれ特技職と呼ばれています。それぞれの特技職の者が定められた業務を実施し、船や航空機の運航が行われています。

パーソナリティー:
 隊員それぞれの仕事が歯車のようにかみ合って、船や航空機が運航できているのですね。當銘さんの職域は、施設ということですが、施設職域について、お話をしていただけますか。

総合調整官:
 それでは、施設職域の話をさせていただきます。
 海上自衛隊の施設職域では、主に全国の海上自衛隊基地施設の維持・補修や施設整備に関する計画を立てたりする業務を行っています。私は入隊してからの9年間で西は長崎県佐世保市、東は今回の勤務地である宮城県仙台市と通算5回の転勤を経験し、いろいろな基地施設を担当してきました。
 例えば、トイレの詰まりとか電気がつかないといった小さな維持・補修から、庁舎を新しく建てる際の担当者として防衛局と調整を行うなど様々な業務を行いました。なかでも印象深いのは、滑走路の補修を行ったことです。航空機のフライトが終わった夜中に基地滑走路のひび割れや剥離などの点検・補修を明け方まで行っていました。補修を終え、飛び立つ航空機を見ながら飲む缶コーヒーは格別でした。
 話は変わりますが、青森県の海上自衛隊八戸航空基地には、海上自衛隊唯一施設職域のみで編成された「機動施設隊」という部隊があり、「機動施設隊」は、全国の基地の維持補修を行う「派遣作業」、冬期における「除雪作業支援」、自然災害等の「応急復旧作業」を行っています。最近ですと熊本地震の際は、東北から機動展開し、道路啓開などを行いました。
 また、ソマリア沖アデン湾における派遣海賊対処行動においては、基地業務要員としてインフラの維持・補修のため施設職域の隊員が派遣されています。
  
パーソナリティー:
 海上自衛隊の施設職域って、いろんなことをするんですね。

総合調整官:
 そうですね。今日の話を聞いて、東北防衛局や海上自衛隊に興味を持っていただければうれしいですね。

パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局で総合調整官として勤務している當銘1等海尉から、お話をお伺いいたしました。どうもありがとうございました。

総合調整官:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。





TOPページへ