自 衛 隊 百 科
自衛隊インビテーション
2月放送内容)


テ-マ:東北防衛局業務紹介シリーズ その③ 
防衛施設の建設工事


パーソナリティー:

 本日も東北防衛局長にお話を伺います。深澤局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい。よろしくお願いします。
 今日は、東北防衛局の業務紹介の3回目として、防衛施設の建設業務について、お話したいと思います。

パーソナリティー:
 よろしくお願いします。
 「防衛施設の建設」とはどういったものでしょうか。

局長:
 はい。自衛隊や在日米軍がその能力を発揮するためには、航空機や艦船などの装備が重要となるのはご理解いただけると思いますが、それらを受け入れるための「飛行場施設」や「港湾施設」なども欠くことのできない重要な基盤となっています。
 また、庁舎や格納庫、通信施設といった運用に関連する施設に加え、隊員が居住する隊舎や食堂、浴場、隊員が家族と住むための宿舎など生活関連の施設も自衛隊等が活動するには欠かせない施設です。このような施設を防衛施設と言っておりますが、東北6県の防衛施設の建設は、当局の重要な任務となっています。

パーソナリティー:
 陸・海・空の各自衛隊等の防衛施設の建設だけでなく、在日米軍の防衛施設の建設についても、東北防衛局が担当しているのですか。

局長:
 はい。在日米軍についても、自衛隊と同じ様に運用に関連する施設や生活に関連する施設の建設を担当しており、米軍人の家族のための学校や、教会、スーパーマーケット、郵便局、ゴミ処理施設などの建設も担当しています。
 当局では、これらの自衛隊や在日米軍の防衛施設の建設業務は、主に調達部という部署が行っています。

パーソナリティー:
 実際に調達部の皆さんが工事をしているのですか。

局長:
 いいえ、職員が実際に工事をしている訳ではありません。
 実際に工事にあたるのは、豊富な経験や技術力を有する建設会社であり、調達部はその工事を発注するための調査や設計、工事費用の積算、工事の現場監督や工事完成時の検査など一連の業務を行っています。

パーソナリティー:
 専門的なお仕事なんですね。

局長:
 はい。装備品を受入れるための特殊な施設まで造る必要がありますので、それらを建設するためには幅広い知識と技能を有する職員が必要になるわけです。
 そのため調達部は、建築、土木、電気、機械、通信と5つの技術に長けたエキスパートで構成されており、彼らの身分は防衛技官と称しています。
 一級建築士や電気工事士など、特殊な資格や技能を有する職員も多数在籍しています。

パーソナリティー:
 頼もしいですね。
 先程お話があった「飛行場施設」について伺いたいのですが。

局長:
 はい。皆さんも新聞やテレビのニュースなどでご存じかと思いますが、航空自衛隊は、 次期戦闘機としてF35Aを青森県の三沢基地に配備する予定です。それを受け入れるための飛行場施設として、順次、格納庫や教育訓練施設などを建設しているところです。
 このほかにも、宮城県東松島市に所在する航空自衛隊松島基地においては、滑走路、管制塔及び滑走路航空灯火、航空燃料施設、航空無線施設を建設しました。

パーソナリティー:
 松島基地における工事は、東日本大震災に関する復興工事ですか。

局長:
 はい。震災当時、宮城県の交通インフラは、地震と津波で機能しておらず、救援物資の輸送もままならない状況でした。松島基地も、海岸近くに所在するため、基地全体に津波が襲来し、航空機をはじめ格納庫や通信施設など甚大な被害が生じました。この松島基地を救難・救援のベースとして使用できるようにするため、当局職員は、不眠不休で知恵を出し、緊急修復工事により極めて短期間で復旧させました。
 また、松島基地の復興工事においては、震災当日松島基地に所在せず難を逃れたブルーインパルスの早い帰還を望む声に応え、仮設の高台化駐機場を2年で完成させ、平成25年3月には無事帰還を実現し、翌年ブルーインパルス用の専用施設も完成させました。

パーソナリティー:
 ブルーインパルスの早い帰還のために、何か特別な工事を実施したのですか。

局長:
 はい。曳家工事という工法を採用しました。
 ブルーインパルスの格納庫については、津波の影響を受けないよう3.5m高台化したのですが、早期帰還を実現するため、建て替えるのではなく、既設の格納庫を再利用する曳家工法としました。これは、既設の格納庫を変形させずにジャッキアップして水平移動させた上で、基礎部分を3.5m嵩上げし、その後で、以前の建物位置まで引き戻すというものです。これだけ大きな建物では非常に希な工事で、精度を求められる困難な工事でしたが、無事完成させました。

パーソナリティー:
 専門的な技術で、早期の復旧に寄与したのですね。

局長:
 はい。
 東北防衛局では、万々一に備え、平素より専門的な知識・技能の向上に努めるとともに、調達部にはそれらに対応できる専門のチームを編成し、緊急事態等を想定した訓練を実施するなど、万全を期しております。

パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局の深澤局長から、お話をお伺いいたしました。貴重なお話、どうもありがとうございました。

局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。
 


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