自 衛 隊 百 科
自衛隊インビテーション
(6月放送内容)



テ-マ:熊本地震への対応について


パ-ソナリティ-:
 
本日も東北防衛局の齋藤雅一局長にお話をいただきます。齋藤局長よろしくお願いいたします。
 
齋藤局長:
 よろしくお願いします。
 
パーソナリティー:
 今日は、「熊本地震」における東北防衛局及び東北地方の各自衛隊の活動について、お話をしていただけるのですね。
 
齋藤局長:
 はい。
 改めて、この度の熊本地震により犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。また、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 最初に、東北防衛局の対応についてお話します。
地震発生の翌日から、当局内に私を本部長とする対策本部を立ち上げ、防衛省・自衛隊・政府の動きなど情報収集を行いました。
 また、当局内の備蓄食料在庫状況の確認を行い、九州防衛局及び熊本防衛支局への支援要員のリストアップを実施し、夜間休日の連絡体制も構築しました。
 偶々、九州防衛局長を同期が務めており、発災翌日には、九州防衛局長にお見舞いの電話を入れ、併せて現地状況について話を直接、聞きました。
 
パーソナリティー:
 東北防衛局の所在する仙台市と被災地は遠く離れているのに、色々と対応されているのですね。
 
齋藤局長:
 はい。5年前の東日本大震災を経験した東北防衛局は、当時の経験等から人的・物資の支援などの支援の可能性があると考え、迅速な対応、情報収集等を行うこととしました。
 
パーソナリティー:
 では、自衛隊は、どのような活動をしているのでしょうか。報道では、全国の自衛隊が被災地に派遣されたようですが。
 
齋藤局長:
 はい、全国各地から多くの隊員が派遣されています。
 東北地方に関係する主な部隊としては、陸上自衛隊としては、宮城県柴田町に所在する船岡駐屯地の第2施設団、仙台市に所在する霞目駐屯地の東北方面航空隊、山形県東根市に所在する神町駐屯地の第20普通科連隊、第6施設大隊、第6飛行隊、第6後方支援連隊、福島県福島市に所在する福島駐屯地の第44普通科連隊、秋田県秋田市に所在する秋田駐屯地の第21普通科連隊、青森県八戸市に所在する八戸駐屯地の第4地対艦ミサイル連隊、海上自衛隊としては、青森県八戸市に所在する八戸航空基地、同県むつ市に所在する大湊地方隊、航空自衛隊としては、青森県三沢市に所在する三沢基地などの、たくさんの部隊の隊員が活動しました。
 活動内容としては、人命救助、物資の運搬、瓦礫撤去等の活動をしています。給食支援、入浴支援、給水支援等はニュース等でご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。また、巡回問診の支援や音楽隊による慰問演奏なども行われました。
 
パーソナリティー:
 熊本地震では、震度7という大きな地震が2度あり被害も大きかったですが、震災への対応や準備について、齋藤局長として、どのようなことを意識されていますか。
 
齋藤局長:
 はい、当局は、東日本大震災を経験していますが、時間の経過により震災対応経験者が減り震災対応未経験者が多くなってきています。その震災対応未経験の当局職員に対して、防災に対する意識高揚が重要と考えているところです。
 東日本大震災の5年を迎えた3月11日には、東日本大震災五周年追悼行事として、追悼式及び「東日本大震災から5年目の今、伝えるべきこと」と題してパネルディスカッションを実施しました。
 パネルディスカッションでは、東日本大震災における東北防衛局の活動、課題・教訓を風化させることなく将来に継承することを目的として、当時の東北防衛局長、防衛補佐官にも参加して頂き、当時勤務された方々等によるディスカッションを実施して、当時の活動内容や課題・教訓を語ってもらい、改めて防災に対する意識を深めてもらったところです。
 また、勤務時間外に大規模な地震が発生した際に、局職員が迅速に、職員自身及び家族の安否を確認し、その確認結果を局に報告すること並びに地震により公共交通機関が使用できない場合に、徒歩により庁舎まで登庁するルートを確認することを目的に、安否確認・徒歩参集訓練を年に数回実施するとともに、局内に危機管理能力の向上などを目的とした防災意識推進プロジェクトを立ち上げ、職員の啓蒙活動を行うこととしています。
 更に、各自治体との連携も大切だと考えており、自治体などが計画・実施する防災訓練にも積極的に参加しています。
 
パーソナリティー:
 普段から訓練を行い、その対応について意識を持つとともに自治体などとの連携を確認しておくことは、とても大切なことですね。
 
齋藤局長:
 災害を軽減するためには、「自助、共助、公助」が重要であると言われています。
 「自助」とは自らの命は自分で守ること、「共助」とは隣近所が助け合って地域の安全を守ること、「公助」とは行政が個人や地域の取組みを支援したり、「自助・共助」では解決できない大くくりの仕事を言います。
 自助・共助・公助の概念がわかると、防災というのは、国・都道府県・市町村・町内会・企業・家族・個人が、それぞれのパートで積極的に取り組むべきものであることが分かりますし、その対策には、災害発生を予見する予防対策、災害発生に伴う応急対策、災害後の復旧・復興対策という三段階があり、いずれも「自助・共助・公助」の三つの力が連携することが必要になります。
 我々東北防衛局としては、公助の部分を担う国の機関の一つとして、職員一人一人の防災意識を高揚してまいりたいと考えています。
 ただし、国の機関がやる「公助」にも限界があります。地域事情に応じたきめ細かい施策を実施するためには、地域の皆様方の協力も不可欠ですので、それぞれが連携して、防災施策を実施していければとも願っています。
 
パーソナリティー:
 局長、今日は有り難うございました。
 本日は、東北防衛局の齋藤局長から、お話をお伺いいたしました。どうも、ありがとうございました。
 
齋藤局長:
 はい、こちらこそ、どうも有り難うございました。



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